フルハーネス型墜落制止用器具特別教育を受けないとどうなる?|罰則やリスクを徹底解説!

高所作業を行う際に着用するフルハーネス。資格が必要なことを知ってましたか?未資格のまま、装備して使用すると、罰金や作業停止命令などの罰則が科される可能性があります。さらに法律的なことだけではなく、墜落事故などの重大な危険性や2次リスクも高まります。本記事では、教育未受講の場合に考えられる具体的な罰則内容やリスクについて詳しく解説します。また、安全性を向上させるために役立つ知識も紹介します。法律を守り、安心して高所作業に取り組むために、ぜひ最後までお読みください。

フルハーネス型墜落制止用器具とは?

出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_03290.html

フルハーネス型墜落制止用器具は、高所作業時の墜落防止を目的とした安全装備です。肩、腰、太腿を複数のベルトで支える構造になっているため、万が一の墜落時にも体が抜け出すことなく、特定部位に過度な圧迫がかかるのを防ぐ効果があります。

フルハーネス型墜落制止用器具の2つのポイント

ポイント内容
身体への負担軽減墜落時の衝撃を身体全体(肩・胸・腰・太ももなど)で分散し、局所的な圧迫や内臓損傷リスクを低減する。宙吊り状態でも血流障害が起きにくい。
墜落時の姿勢保持墜落時に正しい姿勢(ほぼ垂直)を維持しやすく、「逆さ吊り」や「横倒し姿勢」になりにくい。呼吸を維持しやすく、救助までの安全性が高い。

詳しく見る

厚生労働省公式ガイドライン(出典:「墜落制止用器具の安全な使用に関するガイドライン」)

フルハーネスの主な部位と役割

部位名役割・説明
肩ベルト・胸ベルト体全体をしっかり固定し、墜落時の衝撃を肩・胸部・腹部・腰部に分散させる設計。胸部や腹部への圧力集中を防ぎ、安全性を向上させます。
ランヤードフルハーネス側のD環と構造物を結ぶ“命綱”。墜落速度を抑制し、身体が地面に落ちるリスクを軽減します。
ショックアブソーバー墜落の衝撃荷重を緩和する装置。ランヤードに作用する力を減らし、体や器具への負担を軽減。摩擦によるランヤード損傷防止や器具への過負荷も抑えます。
D環ランヤードをハーネスに接続する金具。身体の重心近く(主に胸~背中)に配置され、墜落時の姿勢安定性を確保します。

フルハーネス型墜落制止用器具特別教育とは

フルハーネスを使用するときに必要な資格です。

具体的に高さ2m以上で作業床が設置できない場合や、5m以上の高所作業でフルハーネスを装備するのに必要な教育です。

制度の詳細については、厚生労働省のウェブサイトをご参照ください。
厚生労働省の公式ページで詳しく見る(出典:安全帯が「墜落制止用器具」に変わります!」(厚生労働省))

高さ2m以上で作業床が設置できない場合とは?

労働安全衛生規則では、高さ2m以上の場所では作業床の設置が原則義務付けられています。
しかし、物理的・技術的な制約により作業床の設置が困難な場合もあり、その際はフルハーネス型墜落制止用器具など代替措置が必要となります。

主なケース

ケース内容
鉄塔や電柱の上部での作業構造的に作業床を設置するスペースがなく、支柱や塔自体に登って作業する必要がある。
橋梁の高所部分の点検や補修作業橋桁・アーチ部・下面などに作業床を設けることが困難な箇所がある。
高層ビルの外壁清掃やメンテナンスゴンドラやロープ高所作業が主流であり、固定作業床は使用できない。
樹木の高所剪定樹木周囲に足場や作業床を設けることが現実的に難しく、ロープアクセスや高所作業車を使用する。

5m以上の高所作業とは?

5m以上の高さで行う作業は、より厳しい安全対策が求められ、フルハーネス型墜落制止用器具の使用が推奨される高さです。
6.75mを超える作業では原則フルハーネスの使用が義務化されています。

主な作業例

作業内容代表的な現場・作業状況
建設現場での鉄骨組立作業鉄骨建方作業、梁の取付け作業などで5m以上の作業が頻繁に発生。
電柱や通信塔の保守・点検作業電柱の上部作業、通信塔上部での設備交換・点検作業。
橋梁の補修・点検作業橋梁高所部や橋桁下面などでの補修・点検作業。
高層ビルの外壁清掃ゴンドラやロープアクセスによる外壁清掃作業。
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フルハーネス型墜落制止用器具特別教育を受けないとどうなる?

結論「自己責任」となります。無資格はなにかが起きた時に判明することが多いからです。持っていない状態でも監督者が暗黙を貫けば、作業自体はすることが可能です。ただ、判明した場合の想定されるリスクとして3つ挙げられます。

法律違反と罰則

日本の労働安全衛生法では、高所作業でフルハーネス型墜落制止用器具を使用する場合、特別教育の受講が義務付けられているため、この義務に違反した場合、以下のようなペナルティが発生する可能性があります。

  • 事業者への行政指導:法令違反が指摘され、是正を求められます。
  • 罰則:最大50万円以下の罰金が科されることもあります。

労働災害のリスク増加

教育を受けていないと、フルハーネスの正しい使用方法を理解していないため、以下の危険が生じる可能性があります。

  • 墜落事故による重傷や死亡
  • 吊り下げ状態による健康被害(サスペンショントラウマ)

補償や雇用の問題

仮に現場で資格がなくても発覚しなかった場合でも、後日「無資格作業」が判明した場合のリスクは極めて大きいです。
これは会社の信用問題に直結し、企業経営そのものにも重大な影響を与えかねません。

主なリスクと影響

項目内容
労働災害補償の制限労働基準監督署の調査で「資格不保持」が判明した場合、労災保険給付が減額・不支給になるケースもある。企業は自社での補償(損害賠償)を求められる可能性がある。
雇用者(会社側)の責任労働安全衛生法違反に問われ、刑事罰(罰金・送検)や行政指導の対象となる。再発防止策の強化命令や監督強化措置が課されることも。
キャリアへの影響(作業員側)無資格作業が履歴上に残り、同業他社への転職や現場での信頼喪失につながる可能性がある。安全意識に問題があると見なされることも。

なぜ信用問題になるのか?

  • 取引先や元請企業の安全管理体制評価でマイナス評価につながる
  • 社会保険・労働保険加入状況とともに資格保持状況のチェックが一般化している
  • 元請からの指名停止や契約解除につながるリスクも十分にある

逆にフルハーネス特別教育が不必要な場面

以下の条件下で教育を受けていなくてもフルハーネス型墜落制止用器具を使用することが可能です。

  • 高さ2m未満の場所での作業
  • 高さが2メートル以上であっても、作業床が設置されている場所での作業

高さが2m以上あっても、作業床がある作業とは?

主に以下の3つが挙げられます。

  1. 建設現場の足場上での作業
  2. 高架橋の上部での点検・補修作業
  3. 工場内の高所設備のメンテナンス

最近は足場があったとしても、安全のためにフルハーネスを着用する場面が多いので、高さ云々問わず、安全のために装備しておきましょう。

フルハーネス型墜落制止用器具特別教育の内容

講習時間:学科+実技あわせて約6時間程度(約半日)

フルハーネス型墜落制止用器具特別教育は、高さ2m以上で作業床の設置が困難な場所などで作業を行うために必要な資格です。
墜落事故を防ぐための正しい知識と技能を習得します。

学科教育(計4.5時間)

学習項目内容概要
作業に関する知識高所作業のリスク、作業手順の基本、作業環境の確認方法などを学ぶ。
墜落制止用器具に関する知識フルハーネス、ランヤード、ショックアブソーバーなど器具の種類・構造・正しい使用方法を学ぶ。
労働災害の防止に関する知識墜落災害の事例、原因分析、安全確保のための手順や管理手法について理解する。
関係法令労働安全衛生法・労働安全衛生規則・関係するガイドラインなど法的根拠と遵守事項を確認する。

実技教育(計1.5時間)

学習項目内容概要
装着方法フルハーネスの正しい着用手順、フィッティング(身体に合わせた調整)方法を実技で習得する。
点検・整備の方法使用前・使用後の点検ポイント、劣化や異常がある器具の識別方法、適切な整備と保管方法を学ぶ。

取得後に求められること

  • フルハーネスの正しい使用と管理を日常業務の中で実践すること。
  • 作業前後の点検作業を必ず実施すること。
  • 定期的な再確認や教育更新を行い、知識・技能の維持向上に努めること。

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