特別教育は、学科はeラーニングやオンライン(ビデオ会議)で受けることができます。ただし、厚生労働省の通達で条件が決まっており、実技は「講師と同じ場所で、対面で」行う必要があります。オンラインだけで実技まで終わらせることはできません。
この記事では、2026年9月2日に一部改正された厚生労働省の通達「インターネット等を介したeラーニング等により行われる労働安全衛生法に基づく安全衛生教育等の実施について」をもとに、オンラインで特別教育を行うときの条件と、講座を選ぶときの確認ポイントを、社員に受けさせる立場の方向けに整理します。
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■ この記事でわかること
- 特別教育のうち、オンラインで受けられる部分と受けられない部分
- オンラインの学科に求められる3つの条件(受講時間の確認・講師・質問対応)
- 実技が「講師と同一場所で対面」とされている意味
- 職長教育・技能講習をオンラインで行う場合との違い
- オンライン講座を選ぶときのチェックリスト
■ 結論:学科はオンライン可、実技は対面
特別教育(労働安全衛生法第59条第3項)は、業務ごとの特別教育規程等で学科と実技の科目・時間が決められています。厚生労働省の通達では、eラーニング等で特別教育を行う場合の要件を、次のように示しています。
| 項目 | 通達が示す要件(特別教育) |
|---|---|
| 教育内容・時間 | 特別教育規程に定める範囲を満たし、規程の時間以上であることが担保できること |
| 講師 | 十分な知識または経験を有することが確認できること(動画の作成者・監修者も同様) |
| 実技教育 | 講師と同一場所で対面により実施していること |
| 質問への対応 | 受講者からの質問を受け付け、回答できる体制があること |
| 修了試験・人数 | 特段の要件の定めなし |
つまり、学科は条件を満たせばオンラインで行えますが、実技は対面が前提です。学科と実技の両方がある特別教育では、「学科はオンライン、実技は対面」という組み合わせになります。
■ オンラインの学科に求められる条件
▶ 規程の時間以上を受講したことを確認できること
通達では、受講者が受講した事実と、教材の閲覧・視聴による教育時間が法定の時間以上であることを、教育を行う側が担保することとされています。確認の方法として、次の3つが示されています。
- ビデオ会議ツールなどで、講師がリアルタイムに受講状況を確認する方法
- 動画の再生記録やパソコンの操作記録などで確認する方法
- そのほか、教育時間を合理的に証明できる方法
動画を流しっぱなしにするだけで、誰がどれだけ受講したかを確認できない形は、この条件を満たしません。
▶ 講師に十分な知識・経験があること
講師は、その業務について十分な知識または経験を持つことが確認できる人である必要があります。録画した動画を使う場合は、動画を作った人や監修した人にも同じことが求められます。
▶ 質問できる体制があること
受講者が質問したときに受け付けて回答できる体制が必要です。録画の動画で学ぶ形式でも、メールや問い合わせフォームなどで質問を受け付け、回答できるようにしておきます。
■ 実技は「講師と同一場所で対面」
実技は、通達で「講師と同一場所で対面により実施していること」とされています。カメラ越しに講師が見ているだけでは、この条件を満たしません。実技のある特別教育では、講師が受講者と同じ場所にいて、機械や器具の操作を直接指導する必要があります。
実技の時間は特別教育ごとに異なります。例えば次のとおりです。
| 特別教育の例 | 学科 | 実技 |
|---|---|---|
| フルハーネス型墜落制止用器具 | 4.5時間 | 1.5時間 |
| 低圧電気取扱業務 | 7時間 | 7時間(開閉器の操作のみは1時間) |
| 石綿使用建築物等解体等業務 | 4.5時間 | なし(学科のみ) |
石綿のように学科だけの特別教育は、条件を満たせばオンラインで完結できます。そのほかの業務の時間は特別教育・技能講習の一覧で確認できます。
なお、このeラーニングの通達には、学科と実技を別の実施者が分担する場合の手続きは示されていません。分担する場合は、それぞれの修了状況と実施する側の責任を確認しておきましょう。実技を社内で行う場合も、所定の科目・時間を満たし、十分な知識または経験を持つ講師が受講者と同じ場所で対面で行う必要があります。判断に迷うときは、所轄の労働基準監督署に確認してください。
■ 職長教育・技能講習の場合
同じ通達で、特別教育以外の教育についても要件が示されています。
- 職長等の教育:講師の要件に加え、15人以内を1単位とし、同一時間内に講師と受講者がやりとりできる(双方向の)形で行うこととされています。
- 技能講習:実技は講師と同一場所で対面、修了試験は登録教習機関の監視者と同一場所で対面とされています。就業制限業務の技能講習の修了証は、携帯が必要なためデジタルでの発行は認められていません。
■ 修了証はデジタルでも受け取れる?
通達では、修了証をデジタルで発行する場合は、電子的に本物であることを担保する(改ざんを防ぐ)ことに留意するよう示されています。また、事業者には、特別教育の受講者・科目等の記録を作成し、3年間保存する義務があります(労働安全衛生規則第38条)。記録の保存期間は安全衛生教育の記録の保存で解説しています。
■ オンライン講座を選ぶときのチェックリスト
- 学科の時間が特別教育規程の時間以上か
- 受講した時間をどう確認するか(ビデオ会議での確認、視聴記録など)
- 講師が、その業務について十分な知識・経験を持つ人か
- 受講中・受講後に質問できる窓口があるか
- 実技を誰が・どこで・どう行うか(講師と同じ場所で対面か)
- 修了証の発行方法と、会社で保存する受講記録
■ よくある質問
▶ Q. 録画の動画を見るだけの特別教育でも大丈夫ですか?
学科については、動画の再生記録などで規程の時間以上を受講したことを確認でき、講師(動画の作成者・監修者)の要件と質問対応の体制がそろっていれば、録画の形式でも行えます。実技は動画では代わりにならず、講師と同じ場所で対面で行う必要があります。
▶ Q. 実技は自社で行ってもよいですか?
このeラーニングの通達に分担の手続きは示されていませんが、実技は所定の科目・時間を満たし、十分な知識・経験を持つ講師が受講者と同じ場所で対面で行う必要があります。社内で行う場合は、講師を誰が務めるかを決め、実施した内容・時間を記録しておきましょう。判断に迷うときは所轄の労働基準監督署に確認してください。
▶ Q. 職長教育もオンラインで受けられますか?
通達では、15人以内を1単位とし、講師と受講者が同一時間内にやりとりできる形であれば、オンラインで行うことが想定されています。録画を一方的に見る形式は、この条件に当てはまりません。
▶ Q. オンラインで受けた特別教育の修了証は、対面と違いますか?
特別教育は事業者が行う教育で、修了証の様式は法令で決まっていません。所定の科目・時間や講師の要件など、通達に示された条件を満たして適切に行われた特別教育であれば、学科をオンラインで受けたことだけを理由に効力が変わるものではありません。デジタルで発行する場合は、改ざんを防ぐ仕組みがあるかを確認してください。
■ 講習のお申込み・ご相談
産業技能センターでは、特別教育・安全衛生教育のオンライン講習(Google Meet)を1名様8,000円〜で承っています。出張講習は関東1都6県で5名様から(交通費・宿泊費・出張基本費なし)です。なお当センターでは、伐木等特別教育(チェーンソー)・【初回】職長・安全衛生責任者教育・アーク溶接等特別教育のオンライン講習は行っておらず、対面のみ承っています。実技の進め方を含め、受講方法はお問い合わせの際にご案内します。詳しくはオンライン講習のご案内をご覧ください。
どの教育をオンラインで受けられるか迷ったら、お電話でご相談ください。
📞 042-497-8840 に電話して相談する(相談無料・年中無休・7:00〜21:00)
受講方法と日程の組み方をご案内します。
■ まとめ
特別教育は、学科はeラーニングやオンラインで受けられますが、規程の時間以上の受講を確認できること、講師に十分な知識・経験があること、質問に答えられる体制があることが条件です。実技は講師と同じ場所で対面で行う必要があります。オンライン講座を選ぶときは、実技を誰がどこで行うかまで確認しましょう。
