フルハーネス型墜落制止用器具特別教育とは?|資格・費用・受講方法を解説!

建設・建築・土木業界で高所作業に従事する方にとって、「フルハーネス型墜落制止用器具特別教育」は安全管理上、そして法令上必須の特別教育となります。近年の法改正により、高所作業の安全帯使用ルールが大きく変わり、フルハーネス型安全帯の使用と特別教育の修了が義務付けられました。本記事では、このフルハーネス特別教育について法改正の背景から受講費用・受講方法まで詳しく解説します。全国の建設現場で働く皆様が安全に作業できるよう、必要な知識を整理しましたので参考にしてください。

目次

フルハーネス型墜落制止用器具特別教育とは?

高さ2 m以上の高所作業において、フルハーネス型の墜落制止用器具を使用する作業者に、学科と実技を合わせて最低6時間の教育を義務化する法定講習です。

2019年2月の労働安全衛生法施行令等の改正に伴い新設されたもので、高所作業における墜落事故防止を目的としています​まずはこの特別教育が生まれた背景と、使用する器具であるフルハーネス型と胴ベルト型の違いについて解説いたします。

法改正の背景:なぜフルハーネス特別教育が必要になったのか?

墜落・転落事故は建設業死亡災害の主要原因

建設業における死亡災害の原因のうち、
墜落・転落事故が全体の3〜4割 を占めており、最も多いことが統計から示されています。

安全帯の規制見直しと法改正のポイント

  • こうした 深刻な墜落事故の削減 を目的として、厚生労働省は従来の 「安全帯」 に関する規制を見直しました。
  • 名称は 「安全帯」 → 「墜落制止用器具」 に改められ、国際規格に準拠し安全性の高いフルハーネス型安全帯の使用が原則化 されました。
  • あわせて、高所作業従事者への 特別教育の受講が新たに義務付けられました。

具体的な制度改正の流れ

日付・時期改正内容
2019年2月1日以降高さ2m以上で作業床が設置困難な場所で フルハーネス型墜落制止用器具の使用と特別教育修了が義務化
2022年1月2日以降高さ6.75mを超える高所作業では 胴ベルト型安全帯の使用が禁止 され、フルハーネス型のみ使用可能 に変更

まとめ|法改正の背景:なぜフルハーネス特別教育が必要になったのか?

  • 高所作業における安全帯は、原則としてフルハーネス型が必須。
  • 労働者が 正しい使用方法と安全意識を身につけることが求められ、
    特別教育の重要性は一層高まっている。

フルハーネス型と胴ベルト型の違い|安全性能の比較

フルハーネス型と胴ベルト型では、墜落時の安全性能に大きな違いがあります。

  • 胴ベルト型 ― 腰一点支持によるリスク
    胴ベルト型は腰回りだけをベルトで囲み、そこからランヤード(命綱)を吊る構造です。装着が簡単で動きやすい一方、墜落すると 体重と落下衝撃が腰部に集中します。この衝撃は 内臓損傷や脊椎損傷を誘発することがあり、実際に墜落災害の事例が複数報告されています。現在は例外的に「高さ 6.75 m 以下(建設業の現場では 5 m 以下が目安)」で、ランヤードの長さが確保できない場合のみ限定的に使用が認められる形式になっています。もちろん、その場合でも 新しい規格(新JIS)に適合した製品であることが条件です。
  • フルハーネス型
    肩・胸・腿を含めた複数点で体を保持する構造になっており、墜落時の衝撃を身体全体に分散させるため比較的安全です。作業者が宙づり状態で意識を失った場合でも身体がベルトから抜けにくく、胴ベルト型に比べ墜落時の二次災害リスクを軽減できます。法改正後はフルハーネス型の使用が原則となっていますが、

例外的に高さ6.75m以下(建設業では目安として5m以下)の低所作業では、フルハーネスではランヤード(命綱)の長さが確保できず地面に到達するおそれがあるため、胴ベルト型(一方吊り)の使用も認められています​。

ただしこの場合でも、使用できるのは新規格に適合した安全な胴ベルトのみであり、墜落制止用器具としては胴ベルト型よりフルハーネス型の方が強く推奨されています​。総じて言えることは、高所作業の安全確保にはフルハーネス型安全帯とその適切な使用教育が不可欠だということです。

参考:厚生労働省「安全衛生用品の種類と特徴」(https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/dl/140526-1-3.pdf)

受講対象者と資格の必要性

では、どのような人が「フルハーネス特別教育」を受講しなければならないのでしょうか。また、もし受講せずに該当作業に従事した場合にはどうなるのでしょうか。この章では受講対象者と特別教育修了の必要性(法的義務)について解説します。

誰がフルハーネス特別教育を受講すべきか

受講対象者は法律で明確に定められています。高さ2m以上の高所で、作業床を設けることが困難な場所においてフルハーネス型の墜落制止用器具を使用して作業を行う労働者(※ロープ高所作業を除く)は、必ず本特別教育を受講・修了しなければなりません。​

これは例えば以下のようなケースに該当します。

  • 建設現場の鉄骨上や梁の上で、足場板などの作業床を設置できない状況で作業する場合
  • 高所での設備工事や塗装作業で、安全ネットや手すりが設置できずフルハーネスを装着して行う作業
  • ビルの窓清掃や送電線の点検作業など、命綱としてフルハーネス型安全帯を使用する作業
    (※ロープ高所作業【※】は別途「ロープ高所作業特別教育」が適用)

【※】ロープ高所作業:ロープや懸垂器を用いてぶら下がった状態で行う特殊な高所作業で、本記事で解説する一般的なフルハーネス使用作業とは区別されます。

上記に該当する可能性がある作業に携わる全ての作業員が受講対象です。新入社員や未経験者はもちろん、これまで胴ベルト型安全帯で高所作業をしていたベテラン作業員も例外ではありません。法改正前から高所作業の経験がある方でも、フルハーネス型の使用方法や最新の安全知識を身につけるために本特別教育を受講する必要があります。

特別教育を受講しないとどうなるのか

フルハーネス特別教育を受けずに該当作業に従事することは法律違反となります。その場合、万一労働基準監督署などの指摘を受ければ

事業者(会社)には6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金
実際に無資格で作業を行った作業者本人にも50万円以下の罰金が科される可能性があります​

これは労働安全衛生法第59条および第119条に定められた罰則で、高所作業の安全確保を徹底するための厳しい措置です。罰則だけでなく、安全面のリスクも見逃せません。

特別教育を受けていないということは、フルハーネスの正しい使用方法や墜落防止措置を十分に理解していない状態です。そのまま高所作業を行えば、誤った器具の装着や不適切な命綱の取り付けによって墜落事故のリスクが格段に高まります。​特別教育未修了で高所作業に従事することは労働災害の観点から見ても非常に危険です。実際、現場によってはフルハーネス特別教育の修了証の提示がない作業員は作業に就かせないという運用もなされており、修了していなければ仕事に就けないケースも増えています。

以上のように、特別教育の未受講は法的にも安全面でも大きなリスクとなります。高所作業に携わる可能性のある方は、必ず事前にフルハーネス特別教育を受講し、適切な知識と資格を身につけておきましょう。

フルハーネス特別教育のカリキュラム

フルハーネス型墜落制止用器具特別教育は、法律で学科4.5時間以上+実技1.5時間以上と定められたカリキュラムで実施されます​。カリキュラムは大きく分けて学科教育(座学)と実技教育の2種類があり、それぞれ以下のような内容が含まれます。

学科教育

科目時間主な内容
作業に関する知識約1時間高所作業設備・器具の種類・構造・取扱方法・点検整備・作業手順など
墜落制止用器具に関する知識約2時間フルハーネス・ランヤードの構造・正しい装着・取付設備と選定・点検整備・関連器具の使い方
労働災害の防止に関する知識約1時間墜落防止策、落下物対策、感電防止、ヘルメットの使い方・点検、事故時の対応など
関係法令約0.5時間労働安全衛生法・施行令・施行規則など関連条項

実技教育

科目時間主な内容
フルハーネスの装着方法約0.5時間フルハーネス型安全帯を正しく身体に装着する手順の実習。ベルトの緩み・よじれがないか確認し、体にフィットさせる。
ランヤードの取付け方法約0.5時間ランヤード(命綱)を構造物や仮設アンカーに正しくかける実習。フックの掛け方やアンカー点選定を学ぶ。
墜落時の衝撃・防止措置約0.25時間高所で宙づり状態時の対処や二次災害防止の措置。セーフティブロック等の使用方法含む。
器具の点検・整備方法約0.25時間ハーネス・ランヤードの使用前後の点検要領、損傷・劣化の確認、適切な保管方法の実技指導。

省略・免除制度(該当者のみ)

対象条件免除可能な科目
高所でフルハーネス使用6ヶ月以上作業に関する知識、器具知識、使用方法(実技)すべて免除可
胴ベルト使用6ヶ月以上作業に関する知識免除可
足場・ロープ高所作業の特別教育修了労働災害防止に関する知識免除可

まとめ|フルハーネス特別教育のカリキュラム

  • 通常フル受講の場合:学科4.5時間 + 実技1.5時間 = 計6時間
  • 内容は 表形式5科目構成(学科4科目+実技4科目)
  • 条件により 最大4.5時間免除可
  • 修了すれば 法的条件クリア

フルハーネス特別教育の受講費用の目安と費用の違い

一般的な受講費用の相場

項目費用の目安備考
一般的な相場(全国平均)約10,000~12,000円(税込)1日(6時間)講習、テキスト代・器材使用料込み
地域例(関東圏)12,100円(税込)例:大手講習センターの事例
地域例(地方圏)約10,000円前後(税込)一部地域では1万円を切ることもあり
団体申込時割引適用の場合あり法人申込で団体価格が設定される場合もある

ポイント解説

  • 費用に含まれるもの
    → テキスト代、講習に必要な器材使用料、指導料など
    追加料金が発生しないケースが多い
  • 所要時間
    → 原則 6時間(学科+実技)
    → 1日で完結する講習が基本
  • 法人申込のメリット
    → まとめて社員を申し込むことで 団体割引 を受けられるケースもあり
    → 受講人数や契約形態により条件は異なる

まとめ|フルハーネス特別教育の受講費用の目安と費用の違い

  • おおむね1人あたり約10,000~12,000円程度が相場
  • 地域・実施団体により若干の違いはある
  • 法人で複数名申込む際は 団体割引の有無を確認すると良い

費用に差が出る理由

同じ「フルハーネス型墜落制止用器具特別教育」でも実施機関によって費用に差が出るのはなぜでしょうか。
主な理由として以下のような点が考えられます。

主な要因と影響

要因内容費用への影響例
実施団体の種類公的機関(労働基準協会、労災防止協会)か民間教育会社か公的は一律料金が多く、民間は付加価値により変動
テキスト代・教材費の有無テキスト代込み or 別途購入表示料金+1,000〜2,000円程度かかるケースあり
会員割引・団体割引会員向け特別料金、団体申込時のボリュームディスカウント例:会員価格9,500円/非会員11,500円、20名以上で割引適用など
講習形態・サービス内容会場講習、出張講習、eラーニング併用など出張時は交通費加算、オンラインは安価に提供される場合あり

ポイント解説

  • 実施団体の違い
    公的機関は全国一律料金のことが多く、民間企業は サービス内容や利便性(例:日程の柔軟さ)に応じて価格が変動 する傾向があります。
  • テキスト代の扱いに注意
    受講料に 教材費が含まれていない場合 もあり、その場合は別途購入が必要。
    「安く見えて実は追加料金が発生」する例もあるため要確認。
  • 会員・団体割引の活用
    所属する業界団体の会員企業であれば 会員割引価格 が設定されていることも。
    また、法人でまとめて申し込む場合は団体割引 が適用されるケースも多い。
  • 講習形態の違いによる差
    • 出張講習:講師の交通費や出張費が加算される場合あり。ただし 出張費無料 の企業も存在。
    • eラーニング:座学をオンライン化することで コスト削減が図られる 場合がある。
    • 会場実施:一般的な料金水準。

まとめ|費用に差が出る理由

  • 費用は 主に「団体の種類」「教材費の有無」「割引の有無」「講習形態」 によって前後する
  • 基本的な相場は約1万円前後
  • 申し込み時には次の項目を必ず確認することが重要:
    • 教材費・消費税が含まれているか
    • 修了証発行手数料の有無
    • 出張費用が別途かからないか

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フルハーネス特別教育の受講方法と申し込み手順

フルハーネス型墜落制止用器具の使用は法令で原則義務化されているため、実務に就く前に特別教育(学科+実技 計6時間以上)を修了し、修了証を受け取る必要があります。ここでは 「どこで受講できるのか」「申込みはどう進むのか」 を、解説いたします。

受講できる場所 |4つの主な選択肢

高所作業に従事する地域や業種によって最適な機関は異なりますが、全国ほぼどこでも次の4系統から受講先を選べます。

主催・機関特徴受講者メリット
① 都道府県労働基準協会/安全衛生教育センター労働局などと連携し、定期日程で開催。枠が埋まりやすいが受講料が比較的安い“公的機関主催”の安心感。全国どこでもほぼ同一料金
② 建設業労働災害防止協会(建災防)など業界団体建設業界向けに特化。現場特有の事故事例を踏まえた講義が多い施工管理者や元請からの信頼が高い。社内教育計画に組み込みやすい
③ 民間の安全衛生教育専門機関(例:株式会社産業技能センター)定期開催に加え、出張講習やオンライン+対面実技のハイブリッド型を提供日程・場所の融通が利く。法人単位の一括申込で割安になるケースも
④ 職業訓練校・専門学校建設系学科のカリキュラムに組み込まれ、在学中に修了証を取得学生は追加費用なしで取得できる場合が多い

オンライン講習の現状
学科パートは e-ラーニング化が進んでいますが、実技は対面必須です。完全オンライン完結のコースはまだ少数派なので注意してください。

申し込み手順|フルハーネス特別教育を受講するまでの流れ

実施機関によって細部は異なりますが、大まかなフローは共通しています。以下では 5 つのステップに分けて、要所を押さえながら説明します。

講習日程の確認

まずは希望エリアで開催される講習スケジュールをチェックします。
各機関の公式サイトや労働局の案内ページに掲載されている「開催カレンダー」を見るのが早道です。

⚠️ 人気の日程は早く満席になるため、できれば1 か月前までに候補日を絞っておきましょう。

申し込み手続き

  • 個人申込
    • Webフォームが主流。氏名・連絡先・希望日程を入力して送信します。
    • 電話やFAX、窓口持参に対応している機関もあります。
  • 法人まとめ申込
    • 所定のExcel/PDF申込書に受講者リストを記入し、メール添付で送付。
    • 出張講習を依頼する場合は、この時点で希望日・会場も併せて相談します。

受講票・案内の受領

申し込み完了後、主催者から 受講票(または受付番号)と案内書類 が届きます。
内容を必ず確認してください。

  • 会場案内図
  • 持ち物リスト(身分証・筆記用具・写真など)
  • 受講料の支払い方法(事前振込 or 当日支払い)

メールでPDFが届くケースも増えています。印刷して当日持参できるよう準備しましょう。

受講料の支払い

支払いタイミング主な方法注意点
事前振込指定口座へ銀行振込期限までに入金し、振込控を保管
当日現金受付で支払いお釣りが出ないよう高額紙幣は避ける
請求書払い法人・団体向け見積段階で要相談

講習当日〜修了証の受領

  • 集合・受付
    • 受講票と身分証を提示。必要に応じて証明写真を提出します。
    • テキストを受け取り、着席。
  • 講習(学科+実技 6 時間程度)
    • 昼休憩を含むため、昼食は持参か周辺で調達。
    • 実技があります。動きやすい服装・安全靴・作業着が望ましい。
  • 修了証の交付
    • 全カリキュラム終了後、その場で 名刺サイズの修了カード が渡されます。
    • 高所作業時は常時携帯が推奨。ラミネート加工しておくと紛失・汚損防止に便利です。

申し込み時期の目安

受講希望時期予約の目安備考
閑散期(4〜5月、11〜12月)1〜2 週間前空席が比較的多い
繁忙期(年度末・夏場)3〜4 週間前工事・点検シーズンと重なり満席が続く

よくある質問と注意点

最後に、フルハーネス型墜落制止用器具特別教育に関してよく寄せられる質問と講習を受講する上での注意点をまとめます。

よくある質問(FAQ)

Q1. 胴ベルト型の安全帯はもう一切使えないのですか?

A1. 原則として高所作業ではフルハーネス型の使用が義務化されましたが、例外的に高さ6.75m以下(建設業では目安5m以下)の場合は、新規格適合品に限り胴ベルト型(一方吊り)の使用も認められています。

ただし、胴ベルト型だけでは墜落制止用器具(命綱)として不十分なため、可能な限りフルハーネス型を使用することが推奨されています。現場のルールによっては5m以下でもフルハーネス着用を求めるところもありますので、基本的には常にフルハーネス型を使用するという心構えでいた方が安全です。

Q2. フルハーネス特別教育の修了証に有効期限はありますか?

A2. 有効期限は特に設けられていません。一度特別教育を修了すれば、その資格(修了証)は基本的に生涯有効です。
国家資格のような定期的な更新手続きも不要です。

ただし、法改正などで新たな知識が必要になる場合もあるため、長期間高所作業から離れていた場合は再受講や再確認をするのが望ましいでしょう。また、修了証を紛失すると再発行手続きが手間になりますので、無くさないよう注意してください(再発行申請は講習実施機関で可能です)。

Q3. 他の特別教育や資格を持っていれば、フルハーネス特別教育は免除されますか?

A3. 完全な免除はできません。
法令上、フルハーネス型安全帯使用作業に関する十分な知識・経験を有する者については、一部科目を省略できる場合があります。
例えば、改正施行前に同等の教育を受けていた方は、重複する科目の受講が省略されるケースがありました。

しかし、特別教育自体の受講義務がなくなることはありません。他の高所作業資格(足場の特別教育や高所作業車運転技能講習など)では代替できず、フルハーネス特別教育固有のカリキュラムを受講して修了証を取得する必要があります。

Q4. どんな服装・持ち物で受講すればいいですか?

A4. 動きやすい服装で受講しましょう。実技ではハーネスの着脱を行うため、作業着やズボンなどが適しています。
ヘルメットや安全靴は必須ではありませんが、講習によっては着用を求められる場合もあります。

持ち物は、筆記用具と本人確認書類(免許証など)が基本です。多くの講習では証明写真(タテ3.0cm×ヨコ2.4cm程度)の提出が必要なので、事前に準備して持参してください。受付で受講票の提示を求められることもあるため、申し込み後に送られてきた案内書類一式も忘れずに持って行きましょう。

講習受講時の注意点

講習当日は、限られた時間内で重要な知識や技能を身につける貴重な機会です。
しかし、当日の持ち物やルール、事前準備を怠ると「修了証が発行されない」「講習を受けられない」といったトラブルにつながる場合もあります。

時間厳守

講習は定刻どおりに開始されます。開始時間に1分でも遅刻した場合、受講をお断りすることがあります。当日は渋滞や電車遅延などの影響も考慮し、十分な余裕を持って会場へお越しください。万が一遅れそうな場合は、必ず事前に電話でご連絡ください(連絡先は受講票に記載されています)。

全科目受講の必要

特別教育は、途中退出や一部科目のみの受講は認められていません。体調不良などにより途中で退出された場合は、修了証は交付されません。その際は、別日程で未受講科目を改めて受講する必要があります。事前に体調を整えて、全カリキュラムを最後まで受講できる状態でご参加ください。

体調管理

長時間にわたって 座学と実技 を行うため、十分な体調管理が重要です。前日は しっかりと睡眠を取り、体調を整えてご参加ください。空腹や睡眠不足は集中力の低下や事故につながるおそれがあります。また、夏場の講習時には熱中症対策も忘れずに。
水分補給用の飲み物(ペットボトル・スポーツドリンクなど)をぜひ持参してください。

安全第一

実技中は、必ずインストラクターの指示に従い、安全に行動してください。高所での実習は通常行いませんが、ハーネスを実際に装着した状態での動作確認を行います。その際には次の点にご注意ください。

  • ハーネス装着中は不用意に動かない
    → 不意の転倒や他者との接触を防ぐため、必要な動作以外は控えましょう。
  • 他の受講者の器具を勝手に触らない
    → 調整中や不完全装着の器具に触れると事故につながるおそれがあります。

疑似体験であっても、常に真剣に安全を意識し、正しい使い方と動作をしっかり身につけましょう。安全行動は実際の現場にそのまま直結します。受講時から意識高く取り組んでください。

質問や不明点はその場で解消

疑問があれば、遠慮なくその場で質問してください。他の受講者も現場で一緒に働く仲間です。疑問点を共有し、講師に確認することで、自分だけでなく全員の理解が深まります。特に 実技は現場で直接役立つ重要な技能です。納得いくまでしっかりと練習し、自信を持って使えるようにしておきましょう。

以上、フルハーネス型墜落制止用器具特別教育に関する詳細解説でした。高所での墜落事故を防ぐためには、正しい知識と技能の習得が不可欠です。法律で義務付けられた講習ではありますが、それ以上に「自分の身を守る命綱の使い方を学ぶ講習」ですので、ぜひ前向きに取り組んでいただきたいと思います。安全な作業環境づくりの一助として、本記事がお役に立てば幸いです。

安全はすべてに優先します。フルハーネス特別教育を修了し、知識と資格を身につけてから高所作業に臨みましょう。万全の準備で、皆様の現場作業の安全確保につなげてください。

参考サイト

​フルハーネス特別教育に関する詳細な情報や最新の指針については、以下の厚生労働省の公式資料をご参照ください。