テールゲートリフター特別教育は、「社内で実施する」「外部の講習機関に申し込む」「講師に会社へ来てもらう(出張講習)」「学科をオンラインで受け、実技は対面で行う」のいずれかで受けられます。時間は学科4時間以上・実技2時間以上で、通常は1日で終わります。どの方法でも、法令で決められた科目と時間を満たし、記録を残すことが条件です。
2024年2月1日から、荷の積み卸しを伴うテールゲートリフターの操作は特別教育が必要な業務になりました。この記事では、運送会社・物流倉庫の安全担当者の方に向けて、受け方の選び方、費用の考え方、当日の流れ、省略できる人の条件、申込み前に決めておくことを整理します。義務化の背景や6時間の内容を詳しく知りたい方は、テールゲートリフター特別教育|義務化・6時間の内容もあわせてご覧ください。
■ テールゲートリフター特別教育が必要な人と法令の根拠
根拠は、労働安全衛生法第59条第3項と労働安全衛生規則(安衛則)第36条第5号の4です。
▶ 対象は「積み卸しを伴う操作」
安衛則第36条第5号の4は、特別教育が必要な業務として「テールゲートリフター……の操作の業務(当該貨物自動車に荷を積む作業又は当該貨物自動車から荷を卸す作業を伴うものに限る。)」を定めています。
つまり、トラックの荷台後部のリフトを操作して荷を積み卸しする人が対象です。正社員かどうかは関係なく、ドライバーだけでなく、倉庫側で積み込みを手伝ってリフトを操作する作業員も対象になりえます。
▶ 受けさせないと会社が罰せられる
特別教育は事業者の義務です(安衛法第59条第3項「行なわなければならない」)。違反すると、安衛法第119条第1号により6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象になります。罰則の考え方は特別教育の罰則で詳しく解説しています。
■ テールゲートリフター特別教育はどこで受ける?4つの方法
特別教育は国家試験ではないため、「ここで受けなければならない」という指定の機関はありません。事業者が自ら行うか、外部に依頼するかを選べます。代表的な方法は次の4つです。
▶ 1. 社内で実施する
自社で講師を立て、教材・カリキュラム・実技用の車両を用意して行う方法です。受講者が多く、テールゲートリフターに詳しい社員がいる会社に向いています。
ただし、安全衛生特別教育規程第7条の4の科目・範囲・時間を満たす教材づくり、講師の選定、記録の作成・保存(安衛則第38条・3年間)まで、すべて自社で責任を持つ必要があります。準備の手順はテールゲートリフター特別教育を社内で行うにはで詳しく解説しています。
▶ 2. 外部の講習機関に申し込む
講習機関の会場や日程に合わせて社員を送り出す方法です。1〜2名だけ受けさせたいときに使いやすい反面、開催日が限られ、移動時間や交通費がかかります。地域によっては近くに会場がないこともあります。
▶ 3. 出張講習(講師に会社へ来てもらう)
講師が自社の事業所や倉庫に来て講習を行う方法です。ふだん使っている車両とテールゲートリフターで実技ができるため、現場に近い内容で受講できます。社員の移動がなく、まとまった人数を1日で終えられるのが利点です。
▶ 4. 学科はオンライン+実技は対面
学科4時間をオンラインで受け、実技2時間を対面で行う方法です。営業所が離れている、人数が少ない、といった場合に検討されます。詳しい条件は次の章で説明します。
▶ 受け方の比較表
| 受け方 | 向いている会社 | 注意点 |
|---|---|---|
| 社内実施 | 受講者が多く講師役がいる | 教材・記録まで自社責任 |
| 外部講習機関 | 1〜2名だけ受けたい | 日程・移動の負担 |
| 出張講習 | 同じ拠点で数名以上 | 実技用の車両・場所が必要 |
| オンライン学科+対面実技 | 拠点が分散・少人数 | 実技は講師と同じ場所で |
■ テールゲートリフター特別教育はオンラインで受けられる?
学科は条件を満たせばオンラインで受けられますが、実技はオンラインでは受けられません。テールゲートリフター特別教育には実技2時間があるため、オンラインだけでは完結しません。
▶ 厚生労働省の通達で決まっていること
厚生労働省の通達「インターネット等を介したeラーニング等により行われる労働安全衛生法に基づく安全衛生教育等の実施について」(令和3年1月25日、令和8年9月2日一部改正)では、特別教育をeラーニング等で行う場合の主な条件として、次のような点が示されています。
- 教育内容が各特別教育規程に定める範囲を満たすこと
- 教育時間が規程に定める時間以上であることを担保できること
- 受講者からの質問を受け付けて回答できる体制があること
- 実技教育は、講師と同一場所で対面により実施していること
つまり、画面越しに講師が実技を見るだけ、という形は認められません。オンライン講習を選ぶときは、実技をどこで・誰が行うのかまで必ず確認してください。特別教育全般のオンラインの考え方は特別教育はオンラインで受けられる?学科と実技の条件で解説しています。
■ テールゲートリフター特別教育の費用の考え方
受講料は講習機関や受け方によって異なります。比べるときは、受講料の金額だけでなく、次の費用も含めた「1人あたりの総額」で考えるのがおすすめです。
- 受講料(教材費・修了証発行費が含まれるか)
- 会場までの交通費・移動時間の人件費
- 出張講習の場合の講師の交通費・出張費
- 受講中に現場を離れる時間(配車の調整など)
たとえば、営業所から5名を外部会場に送り出すと、受講料のほかに5名分の交通費と移動時間がかかります。同じ5名なら、出張講習で自社の車両を使って受けた方が、総額も現場への影響も小さくなることがあります。
社内実施は受講料がかからない一方、教材の準備や講師役の社員の工数がかかります。記録の作成・保存も自社で行う必要があります。
■ 日数は1日|当日の流れ
安全衛生特別教育規程第7条の4で定められた時間は、学科4時間以上・実技2時間以上の計6時間以上です。休憩を入れても、通常は1日で終わります。
| 区分 | 科目 | 時間 |
|---|---|---|
| 学科 | テールゲートリフターに関する知識 | 1.5時間 |
| 学科 | 作業に関する知識 | 2時間 |
| 学科 | 関係法令 | 0.5時間 |
| 実技 | 操作の方法 | 2時間 |
学科では、テールゲートリフターの種類・構造・点検の方法、荷や台車(ロールボックスパレットなど)の扱い方、保護具、災害防止、関係法令を学びます。実技では、実際にリフトを操作して積み卸しの手順を身につけます。
例えば、午前に学科、午後に実技という組み方ができます。オンライン学科の場合は、学科と実技を別の日に分けることもできます。
▶ 修了証について
特別教育を修了すると、実施者から修了証が交付されるのが一般的です。法令で決まっているのは、事業者が受講者・科目等の記録を作成し3年間保存すること(安衛則第38条)です。紛失時の対応は特別教育の修了証の再発行|紛失時の申請先をご覧ください。
「うちの人数と拠点なら、どの受け方がいちばん負担が少ない?」と迷ったら、一度ご相談ください。
📞 042-497-8840 に電話して相談する(相談無料・年中無休・7:00〜21:00)
人数・場所・時期をお聞きして、出張講習かオンライン学科か、進め方と概算をご案内します。
■ 省略・短縮できる人(免除の条件)
厚生労働省の資料で示されている経験・受講歴による特例は、科目の一部を省略・短縮するもので、特別教育そのものを受けなくてよくなる扱いではありません。
まず一般的な規定として、安衛則第37条は、科目の全部または一部について「十分な知識及び技能を有していると認められる労働者」については、その科目を省略できるとしています。
テールゲートリフターについては、施行通達(令和5年3月28日付け基発0328第5号)にもとづき、東京労働局の資料で次の3つが示されています。
| 対象者 | 省略・短縮できる科目 |
|---|---|
| 施行日時点で操作業務に6か月以上従事 | 知識1.5h→45分、実技2h→1h |
| 荷役作業安全ガイドラインの教育(テールゲートリフターを含む)を受講 | 知識1.5h・作業知識2hを省略 |
| 陸災防の荷役作業安全講習会を受講 | 作業知識2hを省略 |
1つ目は、資料上「改正告示の施行日時点において、荷を積み卸す作業を伴うテールゲートリフターの操作の業務に6月以上従事した経験を有する者」とされています。2つ目は「陸上貨物運送事業における荷役作業の安全対策ガイドライン」に基づく安全衛生教育、3つ目は陸上貨物運送事業労働災害防止協会の「ロールボックスパレット及びテールゲートリフター等による荷役作業安全講習会」が対象です。
上の3つの特例では、いずれも関係法令(0.5時間)は省略の対象になっていません。特例の細かい適用条件は、所轄の労働基準監督署にもご確認ください。経験期間や受講歴は、会社として記録で確認できることが前提です。施行日時点での6か月以上の経験がなく、上記の教育・講習も受けていない人は、全科目を受ける必要があります。個別の判断に迷うときは、所轄の労働基準監督署にご確認ください。
■ 申込み前に準備しておくもの
外部講習や出張講習を申し込む前に、次の4点を決めておくと、見積もりや日程調整がスムーズです。
▶ 1. 受講人数
ドライバーだけでなく、倉庫でリフトを操作する人、応援で積み込みに入る人も含めて洗い出します。省略の対象になる人がいるかどうかも、このときに確認します。
▶ 2. 実技に使う車両
実技はテールゲートリフター付きの貨物自動車で行います。ふだん使うリフトの種類(垂直式・格納式など)や台数を確認しておきましょう。
▶ 3. 講習の場所
学科を行う部屋(机・椅子、オンラインならパソコンと通信環境)と、実技で車両を停めてリフトを昇降できる安全な場所が必要です。
▶ 4. 日程
1日を確保できる日を候補にします。配車の少ない曜日や繁忙期を外した時期を選ぶと、現場への影響を抑えられます。拠点ごとに日を分ける方法もあります。
■ 産業技能センターのテールゲートリフター特別教育講習
産業技能センターでは、テールゲートリフター特別教育を出張講習とオンライン講習でご案内しています(会場講習の定期受付は停止中です)。
- 料金:多くの科目が1名8,000円〜(税込・教材費・修了証発行費込み。人数・地域・実技の準備などにより変わる場合があり、正確な金額はお見積もりでご案内します)
- 出張講習:関東1都6県(東京・神奈川・埼玉・千葉・茨城・栃木・群馬)は5名様から。交通費・宿泊費・出張基本費はかかりません。遠方は20名様以上が目安です。
- オンライン講習:Google Meetで1名から(学科)。実技の進め方を含め、受講方法はお問い合わせの際にご案内します。
お申込みは、お問い合わせ→お見積もり→お見積もりのご確認後、お振込みをもって講習日を確定します。人数の変更は講習日の3日前まで承ります。
ご相談は、お電話またはお問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。
■ よくある質問
▶ Q. テールゲートリフターの講習は、運転免許のような国家資格ですか?
A. いいえ。安衛法第59条第3項にもとづき、事業者が労働者に行う特別教育です。国家試験はなく、規程の科目・時間を修了すれば、その業務に就かせることができます。
▶ Q. テールゲートリフター特別教育はオンラインだけで修了できますか?
A. できません。学科は条件を満たせばオンラインで受けられますが、実技2時間は講師と同じ場所で対面で行う必要があります。
▶ Q. 東京・神奈川・埼玉・千葉で出張講習を頼めますか?
A. 産業技能センターでは、関東1都6県は5名様から出張講習を承っています。交通費・宿泊費・出張基本費はかかりません。4名以下の場合の受講方法(実技の進め方を含む)は、お問い合わせの際にご案内しますので、ご相談ください。
▶ Q. 修了証はいつ受け取れますか?
A. 交付の時期や方法は実施者によって異なります。産業技能センターでは修了証発行費が料金に含まれています。受け取り方法はお問い合わせの際にご確認ください。
▶ Q. 長年テールゲートリフターを使っているベテランは免除されますか?
A. 全部の免除ではなく、一部短縮です。施行日時点で6か月以上の操作経験がある人は、「テールゲートリフターに関する知識」が45分、実技が1時間に短縮されますが、作業に関する知識と関係法令は受ける必要があります。
■ まとめ
- 荷の積み卸しを伴うテールゲートリフターの操作は、2024年2月1日から特別教育が必要(安衛則第36条第5号の4)
- 受け方は社内実施・外部講習機関・出張講習・オンライン学科+対面実技の4つ
- 学科4時間以上・実技2時間以上で、通常は1日。実技はオンライン不可
- 費用は受講料だけでなく、移動や現場を離れる時間も含めた総額で比べる
- 経験者などは一部を省略・短縮できる(示されている特例では関係法令は対象外)
■ 講習のお申込み・ご相談
ドライバーや倉庫スタッフのテールゲートリフター特別教育、まだ済んでいない方はいませんか。
📞 042-497-8840 に電話して相談する(相談無料・年中無休・7:00〜21:00)
受講人数と場所をお伝えいただければ、受け方とお見積もりの流れをご案内します。
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■ 参考情報・公式リソース
- 労働安全衛生法 第59条第3項、第119条第1号
- 労働安全衛生規則 第36条第5号の4、第37条、第38条
- 安全衛生特別教育規程 第7条の4(令和5年3月28日 厚生労働省告示第104号による改正、令和6年2月1日適用)
- 令和5年3月28日付け基発0328第5号(改正労働安全衛生規則等の施行通達)
- 東京労働局「改正労働安全衛生規則等の概要について(貨物自動車関係)」
- 厚生労働省「インターネット等を介したeラーニング等により行われる労働安全衛生法に基づく安全衛生教育等の実施について」(令和3年1月25日、令和8年9月2日一部改正)
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