テールゲートリフター特別教育とは、貨物自動車の荷台後部に設置されたテールゲートリフターを操作して荷の積み卸しを行う業務に労働者を就かせるとき、事業者が行わなければならない特別教育です(労働安全衛生規則 第36条第5号の4、労働安全衛生法 第59条第3項)。2024年(令和6年)2月1日から義務になり、学科4時間・実技2時間の科目と時間が厚生労働省の告示で定められています。
同じ改正で、2023年(令和5年)10月1日からは、最大積載量2トン以上5トン未満の貨物自動車にも昇降設備の設置と保護帽の着用の義務が広がりました。この記事では、特別教育の対象になる操作・ならない操作、カリキュラム、経験者の科目省略、罰則と、物流・配送の現場で担当者が確認すべき点を、告示・施行通達と厚生労働省・労働局の資料にもとづいて整理します。
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■ この記事でわかること
- テールゲートリフター特別教育が義務になる業務と、根拠条文
- 特別教育が必要な操作・不要な操作(扉の開閉だけ、リフター上を経由するだけ など)
- 学科4時間・実技2時間のカリキュラムと、経験者などの科目省略
- 同時に改正された昇降設備・保護帽の対象(最大積載量2トン以上)
- 罰則・記録の保存と、受講の段取り
■ テールゲートリフター特別教育の早見表
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 根拠条文 | 労働安全衛生規則 第36条第5号の4/労働安全衛生法 第59条第3項 |
| カリキュラムの根拠 | 安全衛生特別教育規程 第7条の4(令和5年厚生労働省告示第104号で追加) |
| 義務の開始 | 2024年(令和6年)2月1日 |
| 対象となる業務 | テールゲートリフターの操作の業務(貨物自動車に荷を積む作業または荷を卸す作業を伴うものに限る) |
| 教育の内容 | 学科3科目・4時間以上/実技1科目・2時間以上 |
| 科目の省略 | 2024年2月1日時点で6か月以上の業務従事歴がある者などは、一部の科目を省略・短縮できる(関係法令は省略不可) |
| 記録 | 受講者・科目等の記録を作成し3年間保存(労働安全衛生規則 第38条) |
| 罰則 | 特別教育を行わずに業務に就かせると、6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金(労働安全衛生法 第119条第1号)・両罰規定(同法 第122条) |
| 同時に改正された規定 | 昇降設備の設置(第151条の67)・保護帽の着用(第151条の74)の対象を最大積載量2トン以上に拡大(2023年10月1日施行) |
■ テールゲートリフター特別教育とは(義務の対象)
テールゲートリフターは、法令上「荷台の後部に設置された動力により駆動されるリフト」と定められています(労働安全衛生規則 第36条第5号の4)。荷の積み卸し中に昇降板から荷や作業者が落ちる災害を防ぐため、2023年(令和5年)3月28日公布の改正省令(令和5年厚生労働省令第33号)で、その操作の業務が特別教育の対象に加えられました。施行通達は令和5年3月28日付け基発0328第5号です。
▶ 特別教育が必要な業務は?
結論として、荷の積み卸しを伴うテールゲートリフターの操作の業務が対象です(労働安全衛生規則 第36条第5号の4)。条文では「当該貨物自動車に荷を積む作業又は当該貨物自動車から荷を卸す作業を伴うものに限る」とされています。
▶ 「操作」にはどこまで含まれる?
昇降スイッチを押すことだけでなく、キャスターストッパー等の操作や、昇降板の展開・格納の操作も「テールゲートリフターの操作」に含まれます(厚生労働省・労働局の改正ポイント資料)。キャスター付きのロールボックスパレットやかご車を昇降板に載せ、ストッパーをかける担当者も、操作の業務を行う人にあたります。
また、厚生労働省・労働局の資料では、荷を積んだロールボックスパレット等を昇降板に乗せる・降ろす作業を行う者も、できる限り特別教育を受けることが望ましいとされています(義務ではなく推奨)。
▶ 特別教育が不要なケースは?
荷の積み卸しを伴わない操作は、特別教育の対象外です。厚生労働省の改正のポイント・Q&Aでは、次のように整理されています。
| 場面 | 特別教育 |
|---|---|
| リフターを操作して荷を積む・卸す | 必要 |
| プラットフォームに接続した後、リフターを操作して荷を積み卸す | 必要 |
| 後部扉を開けるためだけにリフターを操作し、荷の積み卸しはしない | 不要(扉を開けた後に積み卸しも行うなら必要) |
| リフターを操作せず、リフターの上を経由して積み卸しだけを行う | 不要 |
| 荷の積み卸しを伴わない定期点検等 | 不要 |
| 介護用車両に設置された車いす用の装置等 | 対象外 |
▶ 白ナンバー・軽トラックも対象?
白ナンバーの自家用トラックでも、特別教育は必要です。厚生労働省・労働局のQ&Aでは、労働安全衛生法では緑ナンバーと白ナンバーを区別しないこと、軽自動車のトラックも積載量の規定がないため特別教育が必要であることが示されています。運送業に限らず、製造業・卸売業・小売業などで自社便を持つ事業場も対象になります。
【実務ポイント】
テールゲートリフター特別教育は、フォークリフトの運転資格とは別の教育です。同じ現場でフォークリフトを使う場合は、最大荷重1トン未満は特別教育、1トン以上は技能講習が必要です。区分の違いは特別教育と技能講習の違い、取得方法はフォークリフト免許の取得方法で解説しています。
■ カリキュラム(学科4時間・実技2時間)
テールゲートリフター特別教育は、学科3科目・合計4時間以上と、実技1科目・2時間以上で行います(安全衛生特別教育規程 第7条の4)。
| 区分 | 科目 | 主な範囲 | 時間 |
|---|---|---|---|
| 学科 | テールゲートリフターに関する知識 | テールゲートリフターの種類・構造・取扱い方法/点検・整備の方法 | 1.5時間以上 |
| 学科 | テールゲートリフターによる作業に関する知識 | 荷の種類・取扱い方法/台車の種類・構造・取扱い方法/保護具の着用/災害防止 | 2時間以上 |
| 学科 | 関係法令 | 労働安全衛生法・同施行令・労働安全衛生規則中の関係条項 | 0.5時間以上 |
| 実技 | テールゲートリフターの操作の方法 | テールゲートリフターの操作の方法 | 2時間以上 |
| 合計 | 6時間以上(学科4時間・実技2時間) | ||
■ 科目を省略・短縮できる人
特別教育の科目について十分な知識と技能を持っていると認められる労働者は、その科目を省略できます(労働安全衛生規則 第37条)。テールゲートリフター特別教育では、施行通達と厚生労働省・労働局の資料で、次の3区分の省略が示されています。どの区分でも「関係法令」は省略できません。
| 科目 | 2024年2月1日時点で6か月以上の業務従事歴がある者 | 荷役作業の安全対策ガイドラインに基づく教育を受けた者 | 陸災防の安全講習会を受講した者 |
|---|---|---|---|
| テールゲートリフターに関する知識(1.5時間) | 45分以上に短縮可 | 省略可 | 省略不可 |
| テールゲートリフターによる作業に関する知識(2時間) | 省略不可 | 省略可 | 省略可 |
| 関係法令(0.5時間) | 省略不可 | 省略不可 | 省略不可 |
| テールゲートリフターの操作の方法(実技2時間) | 1時間以上に短縮可 | 省略不可 | 省略不可 |
表中の「ガイドライン」は「陸上貨物運送事業における荷役作業の安全対策ガイドライン」、「陸災防の安全講習会」は陸上貨物運送事業労働災害防止協会の「ロールボックスパレット及びテールゲートリフター等による荷役作業安全講習会」です。
【注意】
6か月以上の業務従事歴による短縮は、2024年2月1日の施行日時点の経歴が基準です。施行日以降にテールゲートリフターの操作を始めた人は、この短縮の対象になりません。省略を適用する場合は、経歴や受講歴を確認できる記録を残し、判断に迷うときは所轄の労働基準監督署に確認しましょう。
■ 同時に改正された昇降設備・保護帽の義務
テールゲートリフター特別教育は、貨物自動車の荷役作業での墜落・転落を防ぐ一連の改正の一部です。昇降設備と保護帽の規定は、特別教育より先に2023年(令和5年)10月1日から施行されています。
▶ 昇降設備の設置義務(第151条の67)
結論として、荷の積み卸し作業で昇降設備が必要な車両は、最大積載量5トン以上から2トン以上に広がりました(労働安全衛生規則 第151条の67)。厚生労働省・労働局の資料では、踏み台などの可搬式のものや、車両に備え付けられた昇降用ステップも昇降設備に含まれるとされています。
▶ 保護帽の着用義務(第151条の74)
最大積載量5トン以上の貨物自動車に加え、最大積載量2トン以上5トン未満のうち次のいずれかにあたる車両でも、荷の積み卸し作業時に保護帽の着用が義務になりました(労働安全衛生規則 第151条の74)。
- 荷台の側面が構造上開放されているもの、または開閉できるもの(平ボディ車、ウイング車など)
- テールゲートリフターが設置されているもの(テールゲートリフターを使わずに積み卸す場合は対象外)
使用する保護帽は、型式検定に合格した「墜落時保護用」のものです。「飛来・落下物用」だけのものは要件を満たしません。上記以外の2トン以上5トン未満の車両や2トン未満の車両でも、墜落・転落の危険のある作業では着用が望ましいとされています。
▶ 運転位置から離れてリフターを操作する場合
同じ改正で、走行のための運転位置とテールゲートリフター等の操作位置が異なる貨物自動車では、テールゲートリフター等を操作している、または操作しようとしている場合は、運転位置から離れるときの原動機の停止義務が適用されないことになりました(2023年10月1日施行)。ただし、ブレーキを確実にかけるなどの逸走防止の措置は引き続き必要です。
■ 特別教育をしないと罰則はある?
特別教育を行わずにテールゲートリフターの操作の業務に就かせた場合は、労働安全衛生法 第59条第3項の違反として罰則の対象になります。
【違反リスク】
労働安全衛生法 第119条第1号では、第59条第3項に違反した者は6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金とされ、同法 第122条の両罰規定により法人にも罰金刑が科され得ます。罰則が実際にどう適用されるかは事案ごとに判断されるため、詳しくは所轄の労働基準監督署にご確認ください。
配送ドライバーや倉庫の作業者のうち、誰に特別教育が必要か判断に迷ったら、お電話でご相談ください。
📞 042-497-8840 に電話して相談する(相談無料・年中無休・7:00〜21:00)
作業内容をうかがい、必要な教育と受講方法をご案内します。
▶ 教育の記録は3年間保存
特別教育を行ったときは、受講者・科目等の記録を作成し、3年間保存する必要があります(労働安全衛生規則 第38条)。科目を省略した場合は、省略の根拠になった経歴・受講歴もあわせて残しておくと、監督署の確認や元請・荷主からの問い合わせに対応しやすくなります。
■ 当センターのテールゲートリフター操作特別教育
当センターのテールゲートリフター操作特別教育は、1名あたり8,000円〜(税込・教材費・修了証発行費込み)です。受講方法は、オンライン講習(1名から)と出張講習(関東1都6県は5名様から)からお選びいただけます。実技を含む教育のため、科目ごとの対応形式・実技の実施方法はお問い合わせください。
受講人数や開催地に応じた費用は料金シミュレーターで概算を確認できます。オンラインの受講環境はオンライン講習のご案内をご覧ください。
■ よくある質問
▶ Q. テールゲートリフターの操作は「資格」ですか?
国家試験のある免許や、登録教習機関の技能講習ではありません。事業者が労働者に行う特別教育で、修了すると操作の業務に就くことができます(労働安全衛生法 第59条第3項)。
▶ Q. 2024年2月より前から操作している人も受講が必要ですか?
必要です。施行日より前から操作している人も特別教育の対象で、2024年2月1日時点で6か月以上の業務従事歴がある人は、「テールゲートリフターに関する知識」を45分以上、実技を1時間以上に短縮できます。
▶ Q. 修了証に有効期限はありますか?
法令に有効期限の定めはありません。ただし、事業者には特別教育の記録を3年間保存する義務があります(労働安全衛生規則 第38条)。
▶ Q. 小型のトラックでも特別教育は必要ですか?
必要です。特別教育には車両の最大積載量の条件がなく、厚生労働省・労働局のQ&Aでは軽自動車のトラックも対象とされています。一方、昇降設備と保護帽の義務は、最大積載量2トン以上の車両(保護帽は2トン以上5トン未満の場合に条件あり)が対象です。
■ 荷役担当者を配置する前のチェックリスト
- テールゲートリフター付きの車両(白ナンバー・軽トラックを含む)を洗い出した
- 荷の積み卸しでリフターを操作する人(キャスターストッパー・昇降板の展開や格納の担当を含む)を特定した
- 対象者全員が特別教育(学科4時間・実技2時間)を修了している
- 科目を省略した人について、経歴・受講歴の記録を残した
- 最大積載量2トン以上の車両に、踏み台や昇降用ステップなどの昇降設備を用意した
- 保護帽の着用が必要な車両で、墜落時保護用の保護帽を支給している
- 特別教育の記録を3年間保存する方法を決めた
■ まとめ
テールゲートリフター特別教育は、荷の積み卸しを伴うテールゲートリフターの操作の業務に労働者を就かせるときに必要な特別教育で、2024年2月1日から義務になりました(労働安全衛生規則 第36条第5号の4)。学科4時間・実技2時間以上で、施行日時点の経験者などは一部の科目を省略・短縮できます。
白ナンバー・軽トラックも対象になるため、自社便を持つ事業場は、対象者の洗い出しと受講計画、昇降設備・保護帽の準備をあわせて進めておきましょう。
■ 関連する特別教育・安全衛生教育
■ 講習のお申込み・ご相談
テールゲートリフター操作特別教育のお申込み・ご相談は、受講方法の案内ページまたは問い合わせページから受け付けています。お問い合わせ後、お見積もり・お振込みを経て講習日が確定します。
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オンライン(1名から)・出張(関東1都6県は5名様から)のうち、受講人数と現場に合った方法をご提案します。
■ 参考情報・公式リソース
| サイト名 | 概要 | リンク |
|---|---|---|
| e-Gov法令検索|労働安全衛生規則 | 第36条第5号の4・第37条・第38条・第151条の67・第151条の74の条文 | 公式サイト |
| e-Gov法令検索|労働安全衛生法 | 第59条・第119条・第122条の条文 | 公式サイト |
| 労働政策研究・研修機構|令和5年厚生労働省告示第104号 | 安全衛生特別教育規程の改正(テールゲートリフター特別教育の科目・時間) | 公式サイト |
| 厚生労働省|荷役作業時の墜落・転落防止対策の改正リーフレット | 昇降設備・保護帽・特別教育の改正内容と施行日 | 公式サイト |
| 北海道労働局|労働安全衛生規則等の改正のお知らせ | 施行通達(基発0328第5号)・Q&Aへの案内 | 公式サイト |
| 福井労働局|改正のポイント | 操作の範囲、科目の省略、昇降設備・保護帽の解説 | 公式サイト |
| 岡山労働局|改正のポイント・Q&A | 特別教育の対象・対象外、白ナンバー・軽トラックの扱い | 公式サイト |
