フォークリフトの運転の業務に係る特別教育とは?|資格・費用・受講方法

フォークリフトを安全に運転するためには、適切な資格の取得と定期的な再教育が不可欠です。特に、最大荷重1トン未満のフォークリフトを操作する際に必要な「フォークリフト運転特別教育」と、資格取得からおおむね5年が経過した方を対象とする「フォークリフト運転業務従事者安全衛生教育(再講習)」は、法令で義務付けられた重要な教育です。
本記事では、これら2つの教育について、受講対象者・講習内容・費用・申し込み方法などを詳しく解説します。これから資格取得を目指す方や、再講習の受講を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
目次
1t未満フォークリフト特別教育とは?
フォークリフト運転特別教育は、最大荷重1トン未満のフォークリフトを安全に操作するために必要な教育です。
労働安全衛生法第59条第3項および労働安全衛生規則第36条第5号に基づき
事業者は該当する業務に従事する労働者に対して、この特別教育を実施する義務があります。
この教育は、学科と実技の両面から構成されており、フォークリフトの基本的な構造や操作方法、安全な作業手順、関連法令などを学びます。なお、公道での走行には別途、道路交通法に基づく運転免許が必要となるため、注意が必要です。
学科|1t未満フォークリフト特別教育
- 走行装置の構造と取扱方法
フォークリフトの走行に関する装置の構造や操作方法について学習します。 - 荷役装置の構造と取扱方法
荷物の積み下ろしに関する装置の構造や操作方法、適切な作業手順を習得します。 - 運転に必要な力学の知識
フォークリフトの安定性や荷重バランスなど、安全運転に必要な力学の基本を理解します。 - 関係法令
労働安全衛生法など、フォークリフトの運転に関連する法令や規則について学びます。
実技|1t未満フォークリフト特別教育
- 走行の操作(4時間)
フォークリフトの基本的な走行操作を習得します。 - 荷役の操作(2時間)
- 荷物の取り扱いに関する操作方法を学びます。
フォークリフト運転業務安全衛生教育とは?
フォークリフト運転技能講習や特別教育を修了してから概ね5年が経過した方、または業務から一定期間離れ、再びフォークリフト運転業務に従事する方を対象に、この安全衛生教育が推奨されています。
学科|フォークリフト運転業務安全衛生教育
この安全衛生教育は学科のみとなります。
- 最近のフォークリフトの特徴(2時間)
- フォークリフトの取扱いと保守(2時間)
- 災害事例および関係法令(2時間)
申し込み方法|1t未満フォークリフト特別教育と安全衛生教育
基本講習機関にて、お申込みするのが基本の流れです。サイト、電話などからお申込みができます。
相場は12,000円~15,000円くらいとなっております。株式会社産業技能センターでは8,000円からお申込みが可能となっております。出張、会場問わず気楽にご連絡ください。
より具体的に知りたい方は以下の記事も併せてご参照ください。
よくある誤解と注意点|1t未満フォークリフト特別教育
「1トン未満の小型フォークリフトだから資格は必要ない」「自社の敷地内で使うだけなら問題ない」といった声を、現場で耳にしたことはありませんか?実はこれらはすべて誤解であり、労働安全衛生法では1t未満のフォークリフトであっても、業務で操作する場合は「特別教育」の修了が義務付けられています。知らずに違反してしまうと、事故や法令違反のリスクを伴うだけでなく、企業としての管理責任や安全配慮義務も問われかねません。
誤解①「小さいフォークリフトだから資格はいらない」
誤りです。最大荷重が1 t未満でも、業務で運転する場合は 「フォークリフト運転特別教育」 の修了が法令で義務づけられています。
根拠法令 | 内容 |
---|---|
労働安全衛生法 第59条③ | 事業者は労働者に必要な特別教育を行わなければならない。 |
労働安全衛生規則 第36条⑤ | 最大荷重1 t未満のフォークリフト運転業務に就かせるときは特別教育を実施すること。 |
具体例
- 倉庫内で電動ハンドリフトを使ってパレットを移動する。
- 工場内で小型バッテリーフォークリフトを運転して部品を搬送する。
これらはいずれも 特別教育を修了していなければ違法 です。
誤解② 「私有地だから資格は不要」
誤りです。労働安全衛生法は、公道・私有地を問わず 業務として行う作業を対象にしています。私有地であっても、フォークリフトを使う限り特別教育が必要です。
具体例
- 企業敷地内の物流ヤードで荷物を積み替える。
- 小売店のバックヤードで商品をラックに搬入する。
場所を問わず業務用途なら法令適用 となります。
項目 | 内容 |
---|---|
行政責任 | 労働基準監督署からの是正勧告・指導、場合によっては作業停止命令。 |
刑事罰 | 6 か月以下の懲役または50 万円以下の罰金(安衛法第120条)。 |
民事責任 | 事故が起きた場合、事業者には安全配慮義務違反による損害賠償リスク。 |
労災認定 | 無資格運転が原因の場合、労災給付の一部不支給・事業者負担増の可能性。 |
まとめ
- 1 t未満でも業務で運転するなら特別教育は必須。
- 私有地でも法適用。 敷地内作業でも資格が必要。
- 無資格運転は高リスク。 事業者と運転者双方が罰則・賠償責任を負う。
安全と法令順守のために、「フォークリフト運転特別教育」を確実に受講し、修了証を携帯して作業に臨みましょう。