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作業環境測定とは|対象・頻度・管理区分と2026年10月改正

作業環境測定とは

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作業環境測定とは、有害な業務を行う屋内作業場などで、空気中の有害物質の濃度や騒音などを決められた方法で測り、その結果を記録することです。労働安全衛生法 第65条で、政令で定める作業場(粉じん・有機溶剤・特定化学物質・騒音など)について事業者に義務づけられています。測った結果は第一〜第三管理区分で評価し、悪い場合は改善しなければなりません(同法 第65条の2)。

2026年10月1日には法改正が施行され、労働者の身体に試料採取機器を付けて測る「個人ばく露測定」が作業環境測定の一つとして法律に位置づけられました。この記事では、対象の作業場と測定頻度、作業環境測定士が必要な「指定作業場」、管理区分と第三管理区分の措置、個人ばく露測定、記録の保存期間、罰則までを、法令の条文と厚生労働省の資料(いずれも2026年11月4日に確認)をもとに整理しました。

なお、産業技能センターは作業環境測定を行っていません。測定は作業環境測定機関にご依頼ください。測定結果を受けた後の教育のご相談はよくある問い合わせ、個別のご相談はお問い合わせページからどうぞ。

■ この記事でわかること

  • 作業環境測定とは何か、法律上の根拠(労働安全衛生法 第65条・第65条の2・第65条の3)
  • 測定が必要な作業場10種類と、それぞれの測定頻度・記録の保存期間
  • 作業環境測定士が測らなければならない「指定作業場」と、作業環境測定機関への依頼
  • A測定・B測定とC測定・D測定(個人サンプリング法)の違い
  • 第一〜第三管理区分の意味と、第三管理区分になったときの措置
  • 2026年10月1日施行の改正(個人ばく露測定の法定化)と、測定しない場合の罰則

■ 作業環境測定の早見表

項目内容根拠
義務の内容政令で定める作業場で作業環境測定を行い、結果を記録する安衛法 第65条第1項
測定の方法厚生労働大臣が定める作業環境測定基準に従う安衛法 第65条第2項
結果の評価作業環境評価基準に従って評価し、第一〜第三管理区分に区分。評価結果も記録安衛法 第65条の2、有機則 第28条の2など
対象の作業場粉じん、暑熱・寒冷・多湿、騒音、坑内、中央管理方式の空調の事務所、放射線、特定化学物質・石綿、鉛、酸素欠乏危険場所、有機溶剤安衛令 第21条
作業環境測定士が必要な作業場指定作業場(粉じん・特定化学物質・石綿・鉛・有機溶剤の屋内作業場、放射線の一部など)作業環境測定法 第3条、同法施行令 第1条
2026年10月1日の改正個人ばく露測定を作業環境測定に含め、第三管理区分の場所などでの測定を法律上の義務に(第65条の3を新設)令和7年法律第33号、令和8年政令第196号
罰則第65条第1項・第65条の3第1項の違反は6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金安衛法 第119条第1号

■ 作業環境測定とは(わかりやすく)

結論として、作業環境測定は「その職場の空気や環境が、働く人の健康にとって安全な状態か」を数値で確かめる仕組みです。労働安全衛生法 第2条第4号は、作業環境測定を「作業環境の実態(作業環境における労働者の有害な因子へのばく露の程度を含む。)を把握するため空気環境その他の作業環境について行うデザイン、サンプリング及び分析(解析を含む。)」と定めています。

ここでいう「デザイン」は測定の計画(どこで・いつ・何点測るか)、「サンプリング」は空気などの試料を採ること、「分析」は採った試料の濃度を求めることです。ばく露の程度を含むという部分は、2026年10月1日施行の改正で明記されました。

▶ 作業環境測定の義務と法律上の根拠(第65条・第65条の2)

結論として、事業者に測定と記録を義務づけているのは労働安全衛生法 第65条第1項です。条文は「事業者は、有害な業務を行う屋内作業場その他の作業場で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、必要な作業環境測定を行い、及びその結果を記録しておかなければならない」としています。

  • 第65条第2項:測定は、厚生労働大臣の定める作業環境測定基準に従って行う。
  • 第65条第5項:都道府県労働局長は、労働衛生指導医の意見にもとづき、事業者に作業環境測定の実施などを指示できる。
  • 第65条の2:測定結果の評価にもとづき、施設・設備の設置や整備、健康診断の実施などの措置を講じる。評価は作業環境評価基準に従い、評価の結果も記録する。

つまり、作業環境測定は「測って終わり」ではありません。測定→評価→改善→記録までが一続きの義務です。

■ 作業環境測定の対象作業場・対象物質と測定頻度

結論として、作業環境測定が必要な作業場は、労働安全衛生法施行令 第21条の第1号から第10号に列挙されています。具体的な範囲、測る項目、頻度、記録の保存期間は、それぞれの特別規則などで定められています。

安衛令 第21条作業場主な測定項目頻度記録の保存根拠条文
第1号土石・岩石・鉱物・金属・炭素の粉じんを著しく発散する屋内作業場(常時特定粉じん作業を行う屋内作業場)空気中の粉じん濃度、遊離けい酸の含有率(土石・岩石・鉱物の場合)6か月以内ごとに1回7年粉じん則 第26条
第2号暑熱・寒冷・多湿の屋内作業場(安衛則 第587条)気温、湿度、ふく射熱半月以内ごとに1回3年安衛則 第607条
第3号著しい騒音を発する屋内作業場(安衛則 第588条)等価騒音レベル6か月以内ごとに1回3年安衛則 第590条
第4号坑内の作業場(例:安衛則 第589条第1号の坑内)炭酸ガス濃度1か月以内ごとに1回3年安衛則 第592条
第5号中央管理方式の空気調和設備を備えた建築物の事務所の室一酸化炭素・二酸化炭素、室温・外気温、相対湿度2か月以内ごとに1回(条件により回数を減らせる例外あり)3年事務所則 第7条
第6号放射線業務を行う作業場(管理区域など)外部放射線の線量当量率または線量当量など原則1か月以内ごとに1回5年電離則 第54条
第7号特定化学物質を製造・取り扱う屋内作業場、石綿等を取り扱う屋内作業場など空気中の特定化学物質・石綿の濃度6か月以内ごとに1回特化物3年(特別管理物質など30年)、石綿40年特化則 第36条、石綿則 第36条
第8号一定の鉛業務を行う屋内作業場空気中の鉛の濃度1年以内ごとに1回3年鉛則 第52条
第9号酸素欠乏危険場所で作業を行う作業場酸素濃度(第二種酸素欠乏危険作業は酸素と硫化水素)その日の作業を開始する前3年酸欠則 第3条
第10号第1種・第2種有機溶剤を製造・取り扱う業務を行う屋内作業場空気中の有機溶剤の濃度6か月以内ごとに1回3年有機則 第28条

表は主な測定項目と頻度をまとめたものです。放射線の測定は、放射線装置を固定して使うなど一定の条件を満たす場合は6か月以内ごとに1回でよいとされています(電離則 第54条)。対象物質の一覧(どの有機溶剤・特定化学物質が対象か)は、安衛令の別表第三(特定化学物質)、別表第六の二(有機溶剤)などで確認してください。

▶ 有機溶剤・特定化学物質の測定

結論として、有機溶剤と特定化学物質の屋内作業場は、どちらも6か月以内ごとに1回、定期に測定します(有機則 第28条第2項、特化則 第36条第1項)。有機則の記録事項は、測定日時・測定方法・測定箇所・測定条件・測定結果・測定を実施した者の氏名、措置を講じたときはその概要です(有機則 第28条第3項)。

特定化学物質の記録は原則3年ですが、特別管理物質などに係るものは30年間保存します(特化則 第36条第2項・第3項)。ホルムアルデヒドなど、扱っている物質が特定化学物質(安衛令 別表第三)に当たるかどうかは、SDSと別表を照らし合わせて確認してください。

▶ 粉じん・騒音・溶接ヒュームの測定

結論として、粉じんは「常時特定粉じん作業を行う屋内作業場」で6か月以内ごとに1回、空気中の粉じん濃度を測り、記録は7年間保存します(粉じん則 第26条第1項・第8項)。土石・岩石・鉱物に係る特定粉じん作業では、粉じん中の遊離けい酸の含有率も測ります(同条第2項)。

騒音は、安衛則 第588条の著しい騒音を発する屋内作業場で、6か月以内ごとに1回、等価騒音レベルを測ります(安衛則 第590条)。

溶接ヒュームについては、金属アーク溶接等作業を継続して行う屋内作業場で、新たな作業方法を採用したり変更したりするときに、あらかじめ労働者の身体に装着する試料採取機器を用いて溶接ヒュームの濃度を測る決まりがあります(特化則 第38条の21第2項)。結果に応じて換気装置の風量を増やすなどの措置を講じ、その効果を同じ方法で確かめます(同条第3項・第4項)。記録は、その作業方法を用いなくなった日から3年を経過する日まで保存します(同条第10項)。

■ 作業環境測定法の「指定作業場」と作業環境測定士

結論として、指定作業場の測定は、自社の作業環境測定士に行わせるか、作業環境測定機関に委託する必要があります(作業環境測定法 第3条第1項・第2項)。自社に作業環境測定士がいない会社は、作業環境測定機関に依頼するのが一般的な流れです。

▶ 指定作業場の範囲

結論として、指定作業場は作業環境測定法施行令 第1条で定められています。同条第1項は「労働安全衛生法施行令(昭和四十七年政令第三百十八号)第二十一条第一号、第七号、第八号及び第十号に掲げる作業場」と、第6号(放射線)のうち厚生労働省令で定めるものを指定しています。

区分指定作業場になる作業場根拠
安衛令 第21条の作業場第1号(粉じん)、第7号(特定化学物質・石綿など)、第8号(鉛)、第10号(有機溶剤)の作業場作環令 第1条第1項第1号
放射線第6号の作業場のうち厚生労働省令で定めるもの作環令 第1条第1項第2号
2026年10月1日から追加安衛法 第65条の3第1項の測定が個人ばく露測定である場合の作業場(省令で定めるもの)、同条第2項の測定を行う作業場(省令で定めるもの)、同条第3項の測定が個人ばく露測定である場合の作業場作環令 第1条第2項

反対に、暑熱・騒音・坑内・事務所・酸素欠乏危険場所は指定作業場ではありません。作業環境測定士でなくても測定できますが、作業環境測定基準に従って測る義務は同じです(安衛法 第65条第2項)。

▶ 作業環境測定士(第一種・第二種)と作業環境測定機関

結論として、作業環境測定士には第一種と第二種があり、どちらも厚生労働大臣の登録を受けた人です(作業環境測定法 第2条第5号〜第7号)。違いは、行える分析の範囲です。

区分行える業務(概要)根拠
第一種作業環境測定士指定作業場の作業環境測定の業務(登録を受けた作業場の種類ごと)。第二種が行えない機器を用いた分析も行える作環法 第2条第6号
第二種作業環境測定士指定作業場の作業環境測定の業務。ただし、厚生労働省令で定める機器を用いて行う分析(解析を含む)の業務を除く作環法 第2条第7号
作業環境測定機関厚生労働大臣または都道府県労働局長の登録を受け、他人の求めに応じて事業場の作業環境測定を行うことを業とする者作環法 第2条第8号

厚生労働省の施行通達(令和8年7月30日 基発0730第2号)によると、2026年10月1日からは、個人ばく露測定のデザイン・サンプリングは個人ばく露測定の登録を受けた作業環境測定士が、分析は対象作業場の種類について登録を受けた第一種作業環境測定士が行う仕組みになりました。オキュペイショナルハイジニストなどは、個人ばく露測定のデザイン・サンプリングに限って行える第二種作業環境測定士として登録できるようになっています。

作業環境測定士になるための試験や講習の詳細は、この記事では扱いません。登録の要件は作業環境測定法 第5条などで定められています。

■ 作業環境測定基準によるA測定・B測定とC測定・D測定

結論として、作業環境測定の方法には、作業場の中の決めた場所で測る「場の測定」(A測定・B測定)と、作業者の身体に試料採取機器(個人サンプラー)を付けて測る「個人サンプリング法」(C測定・D測定)があります。どちらも作業環境測定基準(昭和51年労働省告示第46号)にもとづく方法です。

方法どう測るか位置づけ
A測定・B測定単位作業場所の中に測定点を置いて測る「場の測定」。B測定は発散源の近くで作業が行われる場合に行う従来からの方法
C測定均等ばく露作業ごとに、適切な数の労働者の身体に試料採取機器を付け、原則として作業に従事する全時間を測る2021年4月1日から選択可能(個人サンプリング法)
D測定発散源に近接する場所で作業が行われる場合に、C測定に加えて、濃度が最も高くなると思われる時間に連続15分間測る同上

C測定の「適切な数の労働者」は、原則として単位作業場所の全ての労働者で、作業内容の調査をふまえてばく露状態を代表できる方法で抽出した労働者でもよいとされています。採取時間の短縮が認められるのは、作業に従事する時間が2時間を超える場合だけで、2時間以下なら全時間について採取します(令和2年1月27日 基発0127第12号)。

厚生労働省が掲載している講習用教材(令和2年3月)では、同じ作業についてA・B測定と個人サンプリング法のどちらかを選ぶもので、A測定とD測定のように混ぜて使うことはできないと説明されています。個人サンプリング法を選べる対象物質・作業は、2025年1月から拡大されています(宮城労働局「作業環境測定基準等の改正の概要」)。

C・D測定は、溶接や吹付け塗装のように発散源が作業者と一緒に動く作業や、管理濃度が低い有害性の高い物質を扱う作業で、場の測定では実態をつかみにくい場合に向いた方法とされています(厚生労働省 資料「個人サンプラーを用いた作業環境測定」平成31年3月18日)。どちらを選ぶかは、依頼する作業環境測定機関と相談して決めます。

■ 管理区分(第一〜第三)をわかりやすく

結論として、測定結果は作業環境評価基準(昭和63年労働省告示第79号)に従って評価し、第一管理区分・第二管理区分・第三管理区分のどれかに区分します(安衛法 第65条の2第2項、有機則 第28条の2第1項など)。評価の物差しになるのは、作業環境評価基準の別表に示された「管理濃度」です。

管理区分状態(わかりやすく)事業者がすること
第一管理区分単位作業場所のほとんどの場所で、有害物質の濃度が管理濃度を超えない状態今の管理を続ける
第二管理区分単位作業場所内の濃度の平均が管理濃度を超えない状態設備・作業工程・作業方法を点検し、改善するよう努める(努力義務)。評価結果と措置を労働者に周知(義務)
第三管理区分単位作業場所内の濃度の平均が管理濃度を超える状態直ちに点検・改善し、第一・第二管理区分にする(義務)。効果の確認、呼吸用保護具の使用などが必要

状態の説明は高知労働局の解説によります。第二管理区分の改善は「努めなければならない」とされる努力義務ですが、評価の記録と講じた措置を労働者に周知することは義務です(有機則 第28条の4)。評価の記録は、有機則では3年間保存します(有機則 第28条の2第2項)。

なお、管理濃度は、作業場の管理の良し悪しを判断するための指標です。個々の労働者のばく露濃度と比べることを前提とした許容濃度などのばく露限界とは異なります(厚生労働省「職場のあんぜんサイト」用語解説)。

■ 第三管理区分になったときの措置

結論として、第三管理区分と評価された場所では、改善の義務に加えて、2024年4月から外部の専門家の意見聴取や、改善が困難な場合の測定・保護具の措置が求められています。以下は有機溶剤の例(有機則 第28条の3・第28条の3の2)で、鉛則・特化則・粉じん則にも同じ趣旨の規定があります。

  1. 直ちに点検・改善:施設、設備、作業工程または作業方法を点検し、改善して第一・第二管理区分にする(有機則 第28条の3第1項)。
  2. 効果の確認:改善後に有機溶剤の濃度を測定し、評価する(同条第2項)。
  3. 保護具と周知:有効な呼吸用保護具を使用させ、健康診断などの措置を講じる。評価の記録や措置を労働者に周知する(同条第3項)。
  4. 外部専門家の意見聴取:事業場に属さない作業環境管理専門家の意見を遅滞なく聴き、第一・第二管理区分にできるか、できるならどんな措置が必要かを確認する(有機則 第28条の3の2第1項)。
  5. 改善できると判断されたら:直ちに必要な措置を講じ、効果を測定・評価する(同条第2項・第3項)。
  6. 改善が困難・なお第三管理区分なら:直ちに、労働者の身体に装着する試料採取機器を用いる方法などで濃度を測り、結果に応じた有効な呼吸用保護具を使わせる。面体のある保護具は適切に装着されているかを確認して記録(3年保存)し、保護具着用管理責任者を選任し、意見の概要や措置を周知する(同条第4項)。
  7. その後も継続:第一・第二管理区分と評価されるまで、6か月以内ごとに1回の濃度測定と保護具の使用、1年以内ごとに1回の装着の確認を行う(同条第5項)。

2026年10月1日からは、改善が困難な第三管理区分の場所で身体装着型の機器を使って行う測定などが、労働安全衛生法 第65条の3第1項の「作業環境測定」として位置づけられました(安衛則 第42条の5)。この測定を怠ると、後で述べるとおり罰則の対象です。

保護具着用管理責任者の役割は保護具着用管理責任者の解説ページ、有機溶剤作業主任者の職務は有機溶剤作業主任者能力向上教育のページもあわせてご覧ください。

【注意】
第三管理区分の場所で呼吸用保護具を使わせても、それで「改善した」ことにはなりません。保護具はあくまで改善ができるまでの措置です。外部の作業環境管理専門家の意見を聴き、設備や作業方法の改善を検討し続けることが前提です。

作業環境測定で第二管理区分・第三管理区分が出て、現場の作業主任者や保護具の担当者に何を学ばせればよいか迷ったら、お電話でご相談ください。
📞 042-497-8840 に電話して相談する(相談無料・年中無休・7:00〜21:00)
測定結果と作業の内容をうかがい、関係する安全衛生教育の選び方と受講の段取りをご案内します(測定そのものは作業環境測定機関へご依頼ください)。

■ 個人ばく露測定とは(2026年10月1日施行の改正)

結論として、個人ばく露測定とは「作業環境測定のうち、作業環境における労働者の有害な因子へのばく露の程度を把握するために行うもの」です(作業環境測定法 第2条第3号)。働く人が実際にどれだけ有害物を吸い込んでいるかを、身体に付けた試料採取機器で測ります。

この定義は、労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律(令和7年法律第33号)によるもので、関係する政令(令和8年政令第196号、令和8年6月17日公布)とともに、2026年(令和8年)10月1日に施行されました。

▶ 新設された第65条の3の内容

結論として、第65条の3は、第65条の定期測定とは別に、次の場面で行う作業環境測定を定めています。

条項内容義務の強さ
第1項第22条(健康障害防止)の措置を講ずる場合で、厚生労働省令で定めるとき(改善が困難な第三管理区分の場所での身体装着型の測定、金属アーク溶接等作業の作業方法変更時の測定など。安衛則 第42条の5)義務(違反は第119条第1号の罰則)
第2項第65条の2第1項の措置(第三管理区分の改善)を講じた後、効果を確認するための測定(安衛則 第42条の6)義務
第3項リスクアセスメント(第57条の3第1項の調査)に当たり、必要に応じて行う測定「行うものとする」(必要に応じて)
第4項第1項〜第3項の測定は作業環境測定基準に従って行う義務

▶ 作業環境測定士が行う範囲の拡大

結論として、第65条の3の測定を行う作業場のうち政令で定めるものが、新たに指定作業場に加わりました(作業環境測定法施行令 第1条第2項)。とくに第3項の測定(リスクアセスメントのための測定)が個人ばく露測定である場合の作業場は、そのまま指定作業場になります。

このため、リスクアセスメント対象物について個人ばく露測定を行う場合は、作業環境測定士(または作業環境測定機関)に行わせることが必要です(作業環境測定法 第3条)。屋外作業場の扱いなど、自社の作業が当てはまるかの判断に迷うときは、所轄の労働基準監督署か作業環境測定機関に確認してください。

▶ 濃度基準値との関係(安衛則 第577条の2)

結論として、リスクアセスメント対象物のうち、厚生労働大臣が濃度の基準を定めた物については、屋内作業場で労働者がばく露される程度を「厚生労働大臣が定める濃度の基準以下としなければならない」とされています(労働安全衛生規則 第577条の2第2項)。そのほかのリスクアセスメント対象物も、ばく露を最小限度にしなければなりません(同条第1項)。

条文そのものには「個人ばく露測定」という言葉はありません。濃度基準値以下かどうかをどう確かめるかは、厚生労働省の「化学物質による健康障害防止のための濃度の基準の適用等に関する技術上の指針」(令和5年4月27日技術上の指針公示第24号)で示されています。厚生労働省は、簡易なリスク見積もりツールのCREATE-SIMPLEは個人ばく露測定の代わりにはならないとしています(令和8年7月29日 意見募集の結果)。

措置の状況やばく露の状況は1年を超えない期間ごとに記録し、原則3年間(がん原性物質に関するものなどは30年間)保存します(同条第11項)。化学物質の管理体制は化学物質管理者の解説ページ、リスクアセスメントの進め方はリスクアセスメントの解説ページをご覧ください。

■ 記録の保存期間

結論として、作業環境測定の記録の保存期間は規則ごとに違い、原則は3年ですが、粉じんは7年、放射線は5年、特別管理物質などは30年、石綿は40年です。

対象保存期間根拠
有機溶剤(測定・評価)3年有機則 第28条第3項、第28条の2第2項
特定化学物質3年(特別管理物質などは30年)特化則 第36条第2項・第3項
石綿40年石綿則 第36条第2項
粉じん7年粉じん則 第26条第8項
鉛3年鉛則 第52条第2項
騒音・暑熱など・坑内3年安衛則 第590条第2項(第591条・第592条・第607条で準用)
中央管理方式の空調の事務所3年事務所則 第7条第2項
酸素欠乏危険場所3年酸欠則 第3条第2項
放射線(線量当量率など)5年電離則 第54条
第三管理区分の場所での測定・装着の確認(有機溶剤)3年有機則 第28条の3の2第4項〜第7項

作業環境測定機関に委託した場合も、記録を保存する義務は事業者にあります。報告書を受け取ったら、作業場ごと・年度ごとにまとめて保管しておきましょう。教育の記録とあわせて整理するときは安全衛生教育の記録の保存期間も参考になります。

■ 罰則

結論として、作業環境測定をしない、または結果を記録しない場合は、労働安全衛生法 第65条第1項の違反として、同法 第119条第1号により6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象です。2026年10月1日に新設された第65条の3第1項の違反も、第119条第1号に列挙されています。

【違反リスク】
第65条第1項・第65条の3第1項は、労働安全衛生法 第119条第1号の列挙に含まれています(2026年11月4日にe-Govで確認)。一方、第65条の2(評価と措置)と第65条の3第2項・第3項は、第119条・第120条第1号の列挙に含まれていません。なお、第65条第5項にもとづく都道府県労働局長の指示に違反したときは、第120条第2号により50万円以下の罰金の対象です。ただし、評価や措置は各規則(有機則 第28条の2・第28条の3など)で義務づけられており、労働基準監督署の是正指導の対象となり得ます。

■ 作業環境測定機関に依頼する流れ

結論として、自社に作業環境測定士がいない場合は、作業環境測定機関に依頼します。依頼前に次のことを整理しておくと、測定の計画(デザイン)がスムーズです。

  1. 対象の洗い出し:安衛令 第21条のどの作業場に当たるか、使っている有機溶剤・特定化学物質などの名称と量を一覧にする(SDSを用意)。
  2. 作業の実態を伝える:作業時間、作業者の人数と動き、発散源の位置、換気設備の状況を伝える。
  3. 測定方法を相談する:A・B測定か、C・D測定(個人サンプリング法)か、対象と作業に合った方法を相談する。
  4. 結果の評価を受け取る:管理区分と、改善が必要な点の説明を受ける。
  5. 措置と記録:区分に応じて改善し、労働者に周知し、記録を規則どおりの期間保存する。

■ よくある質問

▶ Q. 作業環境測定とは、わかりやすく言うと何ですか?

結論として、有害な物質や騒音・暑熱などがある職場で、空気中の濃度などを決められた方法で測り、作業環境が良いか悪いかを確かめることです。労働安全衛生法 第65条で、政令で定める作業場について測定と記録が事業者に義務づけられています。2026年10月1日からは、労働者の身体に試料採取機器を付けて測る個人ばく露測定も、作業環境測定に含まれることが法律上はっきりしました。

▶ Q. 作業環境測定はどのくらいの頻度で必要ですか?

結論として、作業場の種類ごとに各規則で決まっています。有機溶剤・特定化学物質・石綿・粉じん・騒音は6か月以内ごとに1回、鉛は1年以内ごとに1回、中央管理方式の空調の事務所は2か月以内ごとに1回、暑熱などの屋内作業場は半月以内ごとに1回、酸素欠乏危険場所はその日の作業を開始する前です(有機則 第28条、特化則 第36条、石綿則 第36条、粉じん則 第26条、安衛則 第590条・第607条、鉛則 第52条、事務所則 第7条、酸欠則 第3条)。

▶ Q. 作業環境測定は自社の社員でもできますか?

結論として、指定作業場(粉じん・特定化学物質・石綿・鉛・有機溶剤の屋内作業場など)の測定は、自社に作業環境測定士がいればその人に行わせ、いなければ作業環境測定機関に委託しなければなりません(作業環境測定法 第3条)。指定作業場以外(騒音・暑熱・酸欠など)は資格の定めがありませんが、作業環境測定基準に従って測る必要があります。

▶ Q. 第三管理区分になったら何をしなければなりませんか?

結論として、直ちに設備や作業方法を点検して改善し、第一・第二管理区分にすることが義務です。そのうえで、事業場に属さない作業環境管理専門家の意見を遅滞なく聴き、改善が困難な場合は、個人サンプリング法などで濃度を測って有効な呼吸用保護具を使わせ、装着の確認、保護具着用管理責任者の選任、労働者への周知などを行います(有機則 第28条の3・第28条の3の2など)。

▶ Q. 作業環境測定をしないと罰則はありますか?

結論として、あります。労働安全衛生法 第65条第1項の違反は、同法 第119条第1号により6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象です。2026年10月1日に新設された第65条の3第1項(第三管理区分の場所などでの測定)の違反も、同じ第119条第1号に列挙されています。

■ 作業環境測定のチェックリスト

  • 自社の作業場が安衛令 第21条のどの号に当たるかを確認した
  • 指定作業場かどうかを確認し、作業環境測定士または作業環境測定機関に依頼する体制がある
  • 規則で決められた頻度(6か月以内ごと、1年以内ごとなど)で定期に測定している
  • 測定結果を第一〜第三管理区分で評価し、記録している
  • 第二管理区分・第三管理区分の場合に、点検・改善と労働者への周知を行っている
  • 第三管理区分の場所で、外部の作業環境管理専門家の意見を聴き、呼吸用保護具・装着の確認・保護具着用管理責任者の選任を行っている
  • リスクアセスメント対象物の個人ばく露測定を、作業環境測定士に行わせている(2026年10月1日以降)
  • 記録を規則ごとの期間(3年・5年・7年・30年・40年)保存している

■ まとめ

  • 作業環境測定は、政令で定める作業場で測定と記録を行う事業者の義務(労働安全衛生法 第65条)。
  • 対象は粉じん・暑熱・騒音・坑内・事務所・放射線・特定化学物質と石綿・鉛・酸欠・有機溶剤の10種類(安衛令 第21条)。頻度と保存期間は各規則で決まっている。
  • 粉じん・特定化学物質・石綿・鉛・有機溶剤などの指定作業場は、作業環境測定士か作業環境測定機関が測る(作業環境測定法 第3条)。
  • 結果は第一〜第三管理区分で評価し、第三管理区分は直ちに改善。改善困難なら個人サンプリング法などでの測定と呼吸用保護具の措置が必要。
  • 2026年10月1日から個人ばく露測定が作業環境測定に含まれ、第65条の3が新設された。第65条第1項・第65条の3第1項の違反は6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金。

■ 講習のお申込み・ご相談

産業技能センターは、作業環境測定そのものは行っていません。測定は作業環境測定機関にご依頼ください。当センターでは、測定結果を受けて現場で必要になる安全衛生教育のご相談を承っています。多くの科目で受講料は1名様8,000円〜(税込・教材費・修了証発行費込み)で、オンライン講習(Google Meet・1名様から)または出張講習(関東1都6県は5名様から)で受講できます。実施している科目はお問い合わせください。

測定結果が出たあと、作業主任者や現場の担当者にどんな教育が必要か迷ったら、お電話でご相談ください。
📞 042-497-8840 に電話して相談する(相談無料・年中無休・7:00〜21:00)
扱っている物質と作業の内容をうかがい、必要な教育と受講の段取りをご案内します。

■ 参考(一次情報・2026年11月4日確認)

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