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化学物質管理者とは|選任義務・講習12時間・保護具着用管理責任者との違い

化学物質管理者とは|選任義務・講習12時間・保護具着用管理責任者との違い

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化学物質管理者とは、ラベル表示・SDS(安全データシート)交付の対象になっている化学物質(リスクアセスメント対象物)を製造・取り扱う事業場ごとに選任が義務づけられた、化学物質の管理の技術的事項を担当する人です(労働安全衛生規則 第12条の5)。2024年(令和6年)4月1日から、業種や事業場の規模にかかわらず選任が必要になりました。

この記事では、選任が必要な事業場の見分け方、7つの職務、製造事業場で必要な講習(計12時間)と取扱い事業場で推奨される講習(計6時間)、保護具着用管理責任者との違いを、法令の条文と厚生労働省の通達・Q&A(いずれも2026年11月4日に確認)をもとに整理しました。

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■ この記事でわかること

  • 化学物質管理者の選任が必要な事業場と、選任しなくてよい事業場
  • 労働安全衛生規則 第12条の5に定められた7つの職務
  • 製造事業場の資格要件(講習12時間)と、取扱い事業場に推奨される講習(6時間)
  • 選任の期限(14日以内)・周知・届出の要否・外部委託の可否
  • 保護具着用管理責任者との違いと兼任の考え方

■ 化学物質管理者の早見表

項目内容
根拠労働安全衛生規則 第12条の5(令和4年厚生労働省令第91号で新設)
施行日2024年(令和6年)4月1日
選任が必要な事業場リスクアセスメント対象物を製造・取り扱う事業場、または譲渡・提供する事業場(業種・規模を問わない)
選任の期限選任すべき事由が発生した日から14日以内
資格要件製造事業場:厚生労働大臣が定める講習(講義9時間・実習3時間)の修了者など/取扱い事業場:講習修了の要件なし(職務に必要な能力がある人から選任。6時間の講習を推奨)
届出不要(氏名を掲示などで労働者に周知する)
関連する役割保護具を使わせる場合は保護具着用管理責任者も選任(同規則 第12条の6)

■ 化学物質管理者とは

▶ 化学物質の「自律的な管理」を担う人

結論として、化学物質管理者は、事業場で扱う化学物質の危険性・有害性を調べ、ばく露を減らす措置を決めて実行する仕組みの「管理役」です。国が物質ごとに細かく措置を決める方式から、事業者がリスクアセスメントの結果にもとづいて自ら措置を選ぶ方式(自律的な管理)へ移る中で、2022年(令和4年)5月31日の改正省令(令和4年厚生労働省令第91号)で新設され、2024年4月1日に施行されました。

化学物質管理者は、ラベル表示・SDS・リスクアセスメント・ばく露低減措置などの技術的事項を管理する立場です。厚生労働省のQ&Aでは、実際の業務を必ずしも自分で行う必要はないとされています。

▶ リスクアセスメント対象物とは

結論として、リスクアセスメント対象物は、労働安全衛生法でラベル表示・SDS交付が義務づけられている物質のことです(労働安全衛生法施行令 第18条各号の物と、労働安全衛生法 第57条の2第1項の通知対象物)。塗料・接着剤・洗浄剤・溶剤などの製品にも含まれていることが多く、製品のSDSを見て、対象物質が含まれているかを確認するのが第一歩です。混合物は対象物質を一定の濃度(裾切値)以上含むかどうかで判断し、主として一般消費者の生活の用に供される製品に係るものはリスクアセスメントの対象から除かれています。物質名だけでなく、含有率と製品の用途も確認してください。

【注意】
対象物質は2024年4月から国によって段階的に追加されており、2027年4月以降にも追加が予定されています。以前は対象外だった製品が対象になることがあるため、仕入れている製品のSDSは定期的に見直してください。最新の一覧は厚生労働省「職場のあんぜんサイト」で確認できます。

■ 選任が必要な事業場の見分け方

▶ 業種・規模を問わず「事業場ごと」に選任

結論として、リスクアセスメント対象物を製造し、または取り扱う事業場ごとに選任します(労働安全衛生規則 第12条の5第1項)。条文に業種を限る文言はなく、施行通達(令和4年5月31日 基発0531第9号)では労働者数によらず選任が必要とされています。製造業だけでなく、建設業の店社、清掃業、自動車整備業、医療・福祉など、対象物を扱えば選任が必要です。

対象物の譲渡・提供だけを行う事業場(製造・取扱いをしない販売拠点など)も、ラベル表示・SDSの交付と、それに関する教育の管理のために選任が必要です(同条第2項)。

▶ 選任しなくてよい・別の扱いになる例

  • 建設現場で塗装などを請け負う会社:選任は工場・店社などの事業場単位で行います。請負人にとって建設現場での作業は出張先での作業と位置づけられ、現場ごとに選任する必要はありません(基発0531第9号)。
  • 本社でラベル・SDSを一括作成している場合:表示等の管理の部分は本社の化学物質管理者が管理します(同規則 第12条の5第1項ただし書)。製造・取扱いをしている支社の選任が不要になるわけではなく、それぞれの事業場で選任が必要です(基発0531第9号)。
  • 営業窓口だけの事業場:化学物質の管理を行っていなければ、選任義務はありません(厚生労働省Q&A)。
  • 少量しか扱わない:量による免除の規定はありません。判断に迷う場合は所轄の労働基準監督署に相談してください。

■ 化学物質管理者の職務(7つ)

結論として、製造・取扱い事業場の化学物質管理者の職務は、労働安全衛生規則 第12条の5第1項の7つです(譲渡・提供だけを行う事業場では、ラベル表示・SDSと、それに関する教育の管理が職務になります)。条文の内容をわかりやすく言い換えると次のとおりです。

  1. ラベル表示・SDSの交付・通知に関すること
  2. リスクアセスメントの実施に関すること
  3. リスクアセスメントの結果にもとづく、ばく露を減らす措置の内容と実施に関すること(同規則 第577条の2など)
  4. リスクアセスメント対象物が原因の労働災害が起きたときの対応に関すること
  5. リスクアセスメントの結果の記録の作成・保存と、労働者への周知に関すること
  6. ばく露の状況などの記録(同規則 第577条の2第11項)の作成・保存と周知に関すること
  7. 1〜4の管理を行うための、労働者への必要な教育に関すること

事業者は、選任した化学物質管理者に、これらの職務を行える権限を与えなければなりません(同条第4項)。名前だけの選任にならないよう、社内での役割と決裁の範囲を決めておきましょう。

■ 資格要件と講習(12時間・6時間)

▶ 製造事業場:厚生労働大臣が定める講習(計12時間)

結論として、リスクアセスメント対象物を製造している事業場では、「厚生労働大臣が定める化学物質の管理に関する講習」を修了した人、またはこれと同等以上の能力があると認められる人から選任します(労働安全衛生規則 第12条の5第3項第2号イ、令和4年厚生労働省告示第276号)。

区分科目時間
講義化学物質の危険性・有害性と表示等2時間30分
講義化学物質の危険性・有害性等の調査(リスクアセスメント)3時間
講義調査の結果にもとづく措置等その他必要な記録等2時間
講義化学物質を原因とする災害発生時の対応30分
講義関係法令1時間
実習リスクアセスメントとその結果にもとづく措置等3時間
合計12時間

保有する資格によっては、一部の科目の受講が免除される場合があります(告示第276号)。

「同等以上の能力がある人」の例として、通達(令和4年9月7日 基発0907第1号「化学物質の管理に関する講習等の適用等について」)は、労働衛生コンサルタント(労働衛生工学)の登録を受けた人や、化学物質管理専門家の要件を満たす人などを挙げています。

▶ 取扱い事業場:資格要件なし(6時間の講習を推奨)

結論として、製造はせず取り扱うだけの事業場には、法令上の資格要件はありません(同号ロ)。ただし、職務を担当するのに必要な能力がある人を選ぶ必要があり、厚生労働省は、通達に示した計6時間の講習(危険性・有害性と表示等1時間30分、リスクアセスメント2時間、措置と記録1時間30分、災害時の対応30分、関係法令30分)の受講を推奨しています。厚生労働省のQ&Aでは、製品の小分けや破砕は「取扱い」にあたるとされています。ただし、小分けなどで新たな製品をつくる場合に「製造」と扱われることもあるため、作業の実態に応じて確認してください。

【違反リスク】
化学物質管理者を選任しない、権限を与えない、氏名を周知しないといった状態は、労働基準監督署の指導の対象になります。罰則の適用関係(労働安全衛生法のどの条文の違反になるか)は公表資料で個別に示されていないため、断定はできません。個別の判断は所轄の労働基準監督署にご確認ください。

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■ 選任の手続き(14日以内・周知・届出不要)

  1. 対象物の確認:使っている製品のSDSで、リスクアセスメント対象物が含まれているかを確認する。
  2. 製造か取扱いかを判断:製造している事業場なら、12時間の講習の修了者などから選ぶ。
  3. 14日以内に選任:選任すべき事由が発生した日から14日以内(同規則 第12条の5第3項第1号)。
  4. 権限を与える:職務を行える権限を与える(同条第4項)。
  5. 氏名を周知:事業場の見やすい箇所に掲示するなどして、関係労働者に知らせる(同条第5項)。労働基準監督署への届出は不要です。

化学物質管理者は事業場内の労働者から選任するのが原則とされています。外部の専門家に任せられるのは、化学物質管理者の管理のもとで行う実務の一部です(基発0531第9号、厚生労働省Q&A)。職務に支障がなければ、ほかの職務との兼務は差し支えないとされています。

■ 保護具着用管理責任者との違い

結論として、化学物質管理者が「化学物質の管理全体」を担うのに対し、保護具着用管理責任者は「保護具の選択・使用・保守管理」を担います。化学物質管理者を選任した事業者が、リスクアセスメントの結果にもとづく措置として労働者に保護具を使わせるときに、あわせて選任が必要です(労働安全衛生規則 第12条の6)。

項目化学物質管理者保護具着用管理責任者
根拠労働安全衛生規則 第12条の5労働安全衛生規則 第12条の6
選任が必要なときリスクアセスメント対象物を製造・取扱い・譲渡提供する事業場化学物質管理者を選任した事業者が、リスクアセスメントの結果にもとづき保護具を使わせるとき
職務ラベル・SDS、リスクアセスメント、ばく露低減措置、災害時の対応、記録、教育など7項目保護具の適正な選択、労働者の適正な使用、保護具の保守管理
資格要件製造事業場は講習(12時間)の修了者など保護具に関する知識・経験がある者(通達で例示。該当者がいなければ教育〔計6時間〕を受けた者)
選任期限・周知14日以内・氏名を周知14日以内・氏名を周知

なお、作業環境測定の結果が第三管理区分で改善が困難と判断された場所で呼吸用保護具を使わせる場合なども、特定化学物質障害予防規則・有機溶剤中毒予防規則などにもとづいて保護具着用管理責任者の選任が必要です。この場合は化学物質管理者の選任の有無にかかわりません。

保護具着用管理責任者の資格の例や、計6時間の教育の内容は保護具着用管理責任者とは|資格・講習6時間・選任義務で詳しく解説しています。兼任については、職務を適切に行える範囲なら化学物質管理者・作業主任者との兼任ができますが、第三管理区分の場所での措置として選任する保護具着用管理責任者は作業主任者と兼任できません(厚生労働省Q&A)。

■ よくある質問

▶ Q. 化学物質管理者は全ての会社で選任が必要ですか?

結論として、ラベル表示・SDS交付の対象となるリスクアセスメント対象物を製造・取り扱う事業場、または譲渡・提供する事業場では、業種・規模を問わず選任が必要です(労働安全衛生規則 第12条の5)。ただし、化学物質の管理を行わない営業窓口だけの事業場には選任義務はありません。ラベル・SDSの作成を本社で一括している場合は、その部分を本社の化学物質管理者が管理します。

▶ Q. 化学物質管理者になるのに資格は必要ですか?

結論として、リスクアセスメント対象物を製造する事業場では、厚生労働大臣が定める講習(講義9時間・実習3時間の計12時間)の修了者などから選任します。製造せず取り扱うだけの事業場には講習修了の要件はなく、職務に必要な能力がある人から選任しますが、厚生労働省は計6時間の講習の受講を推奨しています。

▶ Q. 化学物質管理者を選任したら労働基準監督署への届出は必要ですか?

結論として、届出は不要です(厚生労働省Q&A)。代わりに、選任した人の氏名を事業場の見やすい箇所に掲示するなどして、関係する労働者に知らせる必要があります(労働安全衛生規則 第12条の5第5項)。

▶ Q. 化学物質管理者と保護具着用管理責任者は兼任できますか?

結論として、職務を適切に行える範囲であれば兼任できます。なお、作業主任者が保護具着用管理責任者を兼ねることも原則できますが、作業環境測定の第三管理区分の場所で改善が困難と判断された場合などの措置として選任するときは兼任できません。

▶ Q. 化学物質管理者を外部のコンサルタントに任せられますか?

結論として、化学物質管理者は事業場内の労働者から選任するのが原則とされています。外部の専門家に任せられるのは、化学物質管理者の管理のもとで行うリスクアセスメントなどの実務の一部です。

■ 選任前のチェックリスト

  • 使っている製品のSDSを集め、リスクアセスメント対象物が含まれているか確認した
  • 製造事業場か、取扱いだけの事業場かを判断した
  • 製造事業場なら、12時間の講習の修了者(または同等以上の人)を確保した
  • 14日以内に選任し、職務を行える権限を与えた
  • 氏名を掲示するなどして、関係労働者に周知した
  • リスクアセスメントの結果にもとづき保護具を使わせる場合は、保護具着用管理責任者も選任した
  • リスクアセスメントの結果と、ばく露低減措置の記録を残す仕組みを決めた

■ まとめ

  • 化学物質管理者は、リスクアセスメント対象物を製造・取扱い・譲渡提供する事業場ごとに選任する(労働安全衛生規則 第12条の5、2024年4月1日施行)。業種・規模は問わない。
  • 製造事業場は講習(講義9時間・実習3時間の計12時間)の修了者などから選任。取扱いだけの事業場は講習修了の要件なし(職務に必要な能力がある人から選任。6時間の講習を推奨)。
  • 選任は14日以内。氏名は掲示などで周知し、労基署への届出は不要。
  • リスクアセスメントの結果にもとづく措置として保護具を使わせる場合は、保護具着用管理責任者(同規則 第12条の6)も選任する。
  • 罰則の適用関係は公表資料で示されていないため、個別には所轄の労働基準監督署に確認する。

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■ 参考(一次情報・2026年11月4日確認)

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