【2026年最新版】保護具着用管理責任者教育とは?|選任義務・教育内容・罰則を解説!

2024年(令和6年)4月1日から、リスクアセスメント対象物を製造・取り扱う事業場で労働者に保護具を使用させる場合、「保護具着用管理責任者」の選任が義務化されました。根拠は労働安全衛生規則第12条の6で、選任を怠ると労働安全衛生法第120条第1号により50万円以下の罰金が科され得ます。
本記事では、保護具着用管理責任者の選任要件、教育の対象者、厚生労働省通達(基安化発1226第1号)に基づくカリキュラム、化学物質管理者との違いまで、現場の安全衛生担当者が判断に使える形で整理しました。
ご不明点はよくある問い合わせ、または問い合わせページからご相談ください。
■ この記事でわかること
- 保護具着用管理責任者の選任義務と根拠条文(労働安全衛生規則第12条の6)
- 選任が必要となる事業場の具体的な要件
- 厚生労働省通達に基づく教育カリキュラム(学科5時間+実技1時間/計6時間)
- 化学物質管理者・作業主任者との役割の違い
- 選任義務違反時の罰則と、記録の作成・保存方法
目次
- ■ この記事でわかること
- ■ 保護具着用管理責任者制度の早見表
- ■ 保護具着用管理責任者とは
- ■ 選任要件と資格
- ■ 保護具着用管理責任者教育のカリキュラム
- ■ 化学物質管理者との違い
- ■ 罰則と記録の保存
- ■ 受講前後のチェックリスト
- ■ まとめ
- ■ 関連する特別教育・安全衛生教育
- ■ 講習のお申込み・ご相談
- ■ 参考情報・公式リソース
■ 保護具着用管理責任者制度の早見表
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 根拠条文 | 労働安全衛生規則 第12条の6 |
| 関係通達 | 基発0531第9号(令和4年5月31日)/基安化発1226第1号(令和4年12月26日) |
| 施行日 | 令和6年(2024年)4月1日 |
| 選任対象事業場 | リスクアセスメント対象物(労働安全衛生法第57条の3関係)を製造・取り扱い、労働者に保護具を使用させる事業場 |
| 選任期限 | 選任すべき事由が発生した日から14日以内 |
| 教育時間 | 学科5時間+実技1時間(合計6時間以上) |
| 罰則 | 選任義務違反は労働安全衛生法第120条第1号により50万円以下の罰金 |
| 周知方法 | 事業場の見やすい箇所に氏名を掲示 等 |
■ 保護具着用管理責任者とは
保護具着用管理責任者は、化学物質規制の見直し(令和4年5月31日公布、令和6年4月1日施行)に伴い新設された安全衛生管理の役割です。リスクアセスメント対象物を扱う事業場で、防じんマスク・防毒マスク・化学防護手袋・化学防護服等の保護具が労働者に適正に選定・使用・保守されるよう統括する立場にあります。
▶ 選任が必要となるケース
労働安全衛生規則第12条の6および関連特別規則により、次の場合に選任が必要です。
■ ① リスクアセスメント対象物を扱う事業場で保護具を使用するとき
労働安全衛生法第57条の3に基づく通知対象物(リスクアセスメント対象物)を製造・取り扱う事業場において、ばく露低減措置として労働者に保護具を使用させる場合、安衛則第12条の6により選任義務が生じます。
■ ② 作業環境測定で第三管理区分となった場合の呼吸用保護具使用時
特定化学物質障害予防規則、有機溶剤中毒予防規則、鉛中毒予防規則、粉じん障害防止規則に基づく作業環境測定の結果、第三管理区分と評価され、呼吸用保護具を使用させる場合にも選任が必要です。この場合、作業主任者と保護具着用管理責任者の兼務はできません。
【実務ポイント】 石綿則は別体系のため、石綿作業における保護具管理は石綿作業主任者の職務に含まれます。リスクアセスメント対象物との混同を避けてください。
▶ 職務内容
労働安全衛生規則第12条の6に基づき、次の3点が職務とされています。
| 区分 | 具体的内容 |
|---|---|
| ① 保護具の適正な選択 | 化学物質の有害性・作業内容に応じた保護具の選定/JIS T8150(呼吸用保護具)等の規格適合確認 |
| ② 労働者の適正な使用 | フィットテストの実施/装着方法の指導/使用前点検の徹底 |
| ③ 保護具の保守管理 | 清掃・消毒・交換時期の管理/吸収缶・フィルタの使用記録/保管環境の整備 |
■ 選任要件と資格
労働安全衛生規則第12条の6では、「保護具に関する知識及び経験を有すると認められる者」のうちから選任しなければならないと規定されています。
▶ 選任可能な者(基発0531第9号)
通達では、次のいずれかに該当する者から選任することが示されています。
- 化学物質管理専門家の要件に該当する者
- 作業環境管理専門家の要件に該当する者
- 労働衛生コンサルタント試験に合格した者
- 第一種衛生管理者免許または衛生工学衛生管理者免許を受けた者
- 有機溶剤作業主任者技能講習、鉛作業主任者技能講習、または特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者技能講習の修了者
- 安全衛生推進者に係る講習の修了者
▶ 上記資格がない場合
①〜⑥に該当する者を選任できない場合は、厚生労働省通達(基安化発1226第1号)に基づく「保護具着用管理責任者教育」を受講した者を選任します。なお、①〜⑥に該当する者であっても、本教育の受講が望ましいとされています。
【注意】 「衛生管理者」とだけ表記される資料が見られますが、選任可能なのは第一種衛生管理者または衛生工学衛生管理者です。第二種衛生管理者は化学物質を扱う業種では選任資格として認められない点に留意してください。
▶ 選任期限と周知
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 選任期限 | 選任すべき事由が発生した日から14日以内 |
| 周知方法 | 氏名を事業場の見やすい箇所に掲示等 |
| 権限付与 | 事業者は保護具着用管理責任者に職務遂行に必要な権限を付与 |
| 複数選任 | 大規模事業場では複数人選任可 |
■ 保護具着用管理責任者教育のカリキュラム
教育内容は、厚生労働省通達「保護具着用管理責任者に対する教育の実施について」(基安化発1226第1号・令和4年12月26日)の別表に定められています。
▶ 学科・実技の内訳(合計6時間)
| 区分 | 科目 | 範囲 | 時間 |
|---|---|---|---|
| 学科 | Ⅰ 保護具着用管理 | 保護具着用管理責任者の役割と職務/保護具に関する教育の方法 | 0.5時間 |
| 学科 | Ⅱ 保護具に関する知識 | 保護具の適正な選択/労働者の適正な使用/保守管理 | 3時間 |
| 学科 | Ⅲ 労働災害の防止に関する知識 | 保護具使用にあたって留意すべき労働災害事例および防止方法 | 1時間 |
| 学科 | Ⅳ 関係法令 | 労働安全衛生法・安衛令・安衛則中の関係条項 | 0.5時間 |
| 実技 | Ⅴ 保護具の使用方法等 | 保護具の適正な選択/適正な使用/保守管理 | 1時間 |
| 合計 | 6時間 |
▶ 受講形態
通達では次の実施方法が認められています。
■ 学科教育
集合形式のほか、オンライン形式でも実施可能です。
■ 実技教育
対象保護具を用いて行う必要があり、完全オンラインでの実施は認められていません。
■ 分割実施
学科と実技を分割して行うことも可能ですが、実技は学科全科目を修了した者を対象とし、学科修了者と実技受講者が同一であることを確認できる体制が必要です。
【実務ポイント】 呼吸用保護具を扱う場合は、JIS T8150(呼吸用保護具の選択、使用及び保守管理方法)の内容を含む教材を使用することが通達で求められています。社内実施する場合は教材選定にも注意が必要です。
▶ 受講料の相場
| 形態 | 費用目安 |
|---|---|
| 会場講習 | 1名あたり10,000円〜20,000円 |
| 出張講習 | 人数・地域により変動(要見積) |
| Web講習(学科のみ) | 1名あたり7,000円〜15,000円(実技は別途会場で実施) |
正確な費用は料金シミュレーターでご確認ください。
迷ったら、まずはお電話でお気軽にご相談ください 📞 042-497-8840 年中無休|7:00〜21:00|30秒で段取りをご案内
■ 化学物質管理者との違い
2024年4月の制度改正では、保護具着用管理責任者と並行して「化学物質管理者」の選任も義務化されました。役割が混同されやすいため整理します。
| 項目 | 化学物質管理者 | 保護具着用管理責任者 |
|---|---|---|
| 根拠条文 | 労働安全衛生規則 第12条の5 | 労働安全衛生規則 第12条の6 |
| 主な役割 | リスクアセスメントの実施・記録、ばく露低減措置の管理 | 保護具の選択・使用・保守管理の統括 |
| 選任が必要な事業場 | リスクアセスメント対象物を製造・取り扱うすべての事業場 | 左記のうち労働者に保護具を使用させる事業場 |
| 受講要件 | 製造事業場は専門講習修了者から選任(学科9時間+実技3時間) | 一定の資格者から選任。資格者不在時は教育(学科5時間+実技1時間)修了者から選任 |
| 兼任 | 業種・要件により可能 | 一定の場合は可能(第三管理区分時の作業主任者との兼務は不可) |
【違反リスク】 化学物質管理者の選任義務違反(安衛則第12条の5違反)も、保護具着用管理責任者の選任義務違反と同様、労働安全衛生法第120条第1号により50万円以下の罰金の対象です。両者は別の責任者として、それぞれ選任が必要です。
特別教育と技能講習・能力向上教育の体系的な違いは、特別教育と技能講習の違いで整理しています。
■ 罰則と記録の保存
▶ 選任義務違反の罰則
労働安全衛生規則第12条の6に違反した場合、労働安全衛生法第120条第1号により50万円以下の罰金が科され得ます。両罰規定(法第122条)により法人にも罰金が科される場合があります。
【違反リスク】 罰則の直接対象は「選任義務違反」です。教育の未受講そのものに直接の罰則規定はありませんが、有資格者がいない事業場で教育修了者も選任していない場合、結果として選任義務違反となります。
▶ 教育記録の作成と保存
基安化発1226第1号の教育実施要領「5 実施結果の保存等」では、次のとおり記録の作成・保存が定められています。
| 実施主体 | 求められる対応 |
|---|---|
| 事業者が実施 | 受講者・科目等の記録を作成し、保存 |
| 安全衛生団体等が実施 | 全科目修了者に修了証等を交付し、修了者名簿を作成・保存 |
【注意】 通達には保存期間の明示はありません。一方、関連する作業記録(特定化学物質障害予防規則第38条の4等)は30年保存が義務付けられているケースもあるため、自社の取扱物質に応じて保存ルールを別途確認してください。
▶ 関連する記録保存義務
リスクアセスメント対象物のばく露状況や保護具使用記録は、安衛則第577条の2等に基づく管理が求められます。事業場での文書管理規程に「保護具着用管理責任者の選任記録」「教育修了記録」「保護具点検記録」をひとまとめに組み込むのが実務的です。
■ 受講前後のチェックリスト
▶ 受講前チェック
- 自社がリスクアセスメント対象物を製造・取り扱っているか確認した
- 労働者に保護具(呼吸用・化学防護具等)を使用させているか確認した
- 既に選任要件①〜⑥に該当する有資格者がいないか確認した
- 化学物質管理者の選任状況も併せて確認した
- 第三管理区分の作業がある場合、作業主任者との兼務不可を確認した
- 人材開発支援助成金の対象になるか確認した(厚生労働省の最新要領を確認)
- 受講形態(会場/出張/Web学科+会場実技)を選定した
▶ 受講後チェック
- 修了証を受領し、社内で原本保管した
- 選任すべき事由発生から14日以内に選任を完了した
- 保護具着用管理責任者の氏名を事業場の見やすい箇所に掲示した
- 必要な権限を文書で付与した
- 教育修了記録を作成・保存した
- 保護具の選定・使用・保守管理に関する社内手順書を整備した
- 呼吸用保護具を扱う場合、JIS T8150に基づくフィットテスト体制を整備した
■ まとめ
保護具着用管理責任者は、2024年4月1日施行の改正労働安全衛生規則第12条の6により選任が義務化された安全衛生管理の責任者です。リスクアセスメント対象物を扱い、労働者に保護具を使用させる事業場では、選任すべき事由が発生した日から14日以内の選任が必要です。
選任は労働衛生コンサルタント・第一種衛生管理者免許等の有資格者から行うのが原則ですが、該当者がいない場合は、厚生労働省通達(基安化発1226第1号)に基づく学科5時間+実技1時間(計6時間)の教育修了者から選任します。選任義務違反は労働安全衛生法第120条第1号により50万円以下の罰金の対象です。
化学物質管理者(安衛則第12条の5)とは役割が異なり、両者をそれぞれ選任する必要がある点に注意してください。
■ 関連する特別教育・安全衛生教育
- 特別教育と技能講習の違い
- 雇入れ時安全衛生教育
- 職長教育・安全衛生責任者教育
- 粉じん作業に係る特別教育
- 特定粉じんの種類
- 石綿取扱作業従事者特別教育
- 有機溶剤業務従事者安全衛生教育
- 有機溶剤作業主任者能力向上教育
- 特化則作業主任者能力向上教育
- リスクアセスメント担当者研修
- 安全衛生推進者能力向上教育
- 建設業で必要な特別教育
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