高所作業車(作業床の高さ10m未満)の特別教育は、学科6時間は条件を満たせばオンラインで受講できます。ただし実技3時間は、講師と同じ場所で対面により行う必要があるため、オンラインだけでは修了できません。10m以上の機械は特別教育ではなく技能講習が必要です。
「現場を止めずに受けさせたい」「受講者が少人数で会場まで行かせにくい」という法人担当者の方に向けて、オンライン受講の範囲、実技に必要な機械と場所、修了の扱い、費用の考え方を法令の根拠とあわせて整理しました。教育内容そのものの詳しい解説は高所作業車運転特別教育|10m未満・9時間・8,000円〜をご覧ください。
■ 結論:オンラインにできるのは学科だけ
高所作業車の特別教育は「学科」と「実技」の2つでできています。オンラインで受けられるかどうかは、この2つで答えが分かれます。
| 区分 | 時間 | オンライン |
|---|---|---|
| 学科(4科目) | 6時間以上 | 条件を満たせば可 |
| 実技(装置の操作) | 3時間以上 | 不可(講師と対面) |
| 10m以上の機械 | 技能講習 | 技能講習の受講先に確認 |
つまり「全部オンラインで完結する高所作業車の特別教育」はありません。学科をオンラインで受け、実技を別に対面で受ける、という組み合わせになります。
■ 法令上の位置づけ:10m未満は特別教育、10m以上は技能講習
▶ 10m未満は安衛則第36条第10号の5
労働安全衛生法第59条第3項は、危険・有害な業務に労働者をつかせるとき、事業者に特別の教育を行うよう義務づけています。その対象業務の一つが、労働安全衛生規則第36条第10号の5です。
条文では「作業床の高さ(中略)が十メートル未満の高所作業車(中略)の運転(道路上を走行させる運転を除く。)の業務」と定められています。道路上を走行させる運転は対象から除かれています。
▶ 10m以上は安衛法第61条の技能講習
作業床の高さが10m以上の高所作業車の運転は、労働安全衛生法施行令第20条第15号により、安衛法第61条第1項の就業制限業務です。技能講習を修了した者などでなければ、この業務につかせることはできません。
10m以上の機械を扱う可能性がある場合は、特別教育ではなく技能講習が必要です。両者の違いは特別教育と技能講習の違い|1t・5t・10mの境目で整理しています。
▶ 受けさせないとどうなるか
特別教育を行わずに業務につかせた場合も、無資格者に10m以上の機械を運転させた場合も、安衛法第119条第1号により「6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」の対象です。オンラインで学科だけ受けて実技が終わっていない人は、特別教育を修了したとはいえない点に注意してください。
■ 特別教育の中身:学科6時間・実技3時間
教育の科目と時間は、安衛則第39条にもとづく「安全衛生特別教育規程」第13条で定められています。
▶ 学科(合計6時間以上)
- 高所作業車の作業に関する装置の構造及び取扱いの方法に関する知識:3時間
- 原動機に関する知識:1時間
- 高所作業車の運転に必要な一般的事項に関する知識:1時間
- 関係法令:1時間
種類と用途、作業装置の構造、原動機と走行装置、運転に必要な力学、感電の危険性、関係法令などを学びます。
▶ 実技(3時間以上)
実技の科目は「高所作業車の作業のための装置の操作」で、範囲は「基本操作」と「定められた方法による作業床の昇降等」です。実際に機械を動かし、作業床を昇降させる操作を身につける内容です。
規程の時間は「以上」と定められた最低時間です。オンラインでも対面でも、科目の省略が認められる場合(安衛則第37条)を除き、この時間を短くすることはできません。
■ eラーニング通達で決まっていること
オンラインでの安全衛生教育については、厚生労働省の通達「インターネット等を介したeラーニング等により行われる労働安全衛生法に基づく安全衛生教育等の実施について」(令和3年1月25日、最終改正 令和8年9月2日)が考え方を示しています。
▶ 学科をオンラインで行うための主な条件
- 規程で定める範囲の内容を、定められた時間以上行うこと
- 講師が十分な知識・経験を持っていること(動画教材の場合は作成者・監修者も)
- 受講者から質問があったときに受け付けて回答できる体制があること
- 受講者が実際に受講したこと、学習時間が足りていることを確認できること
受講の確認方法として、通達ではビデオ会議ツールなどで講師がリアルタイムに受講状況を確認しながら行う方法や、動画の再生記録・パソコンの操作記録で確認する方法などが挙げられています。
▶ 実技は「講師と同一場所で対面」
通達は、特別教育の実技教育について「講師と同一場所で対面により実施していること」を求めています。画面越しに操作を見せる、受講者が自分で動画を見ながら練習する、といった方法では実技として扱えません。
▶ 会社側で準備しておくこと
リアルタイム型のオンライン学科では、講師が受講状況を確認しながら進めます。会社側では次のような準備をしておくと、当日あわてずに済みます。
- カメラとマイクが使えるパソコンやタブレット
- 6時間の受講に耐える安定した通信環境
- 途中で現場の呼び出しが入らない静かな部屋
- 受講者本人が最後まで画面の前で受講できる勤務調整
学科の途中で業務に戻ると、必要な時間を満たせなくなるおそれがあります。受講日は現場の担当から外しておくのが確実です。必要な機材や接続方法は、申込み先の案内に従ってください。
オンライン受講全般の考え方は特別教育はオンラインで受けられる?学科と実技の条件でも解説しています。
「学科だけオンラインで先に受けさせて、実技はどうすればいいの?」と迷ったら、まずはご相談ください。
📞 042-497-8840 に電話して相談する(相談無料・年中無休・7:00〜21:00)
受講人数や機械の有無をお聞きしたうえで、学科と実技の進め方をご案内します。
■ 実技に必要な機械と場所
▶ 高所作業車の実機が必要
実技は「作業床の昇降等」を実際に行う教育なので、高所作業車の実機が欠かせません。自社で保有している機械や、レンタルで手配した機械を使うのが一般的です。受講者がふだん使う機種で行えると、現場に戻ってからの操作にもつながりやすくなります。
▶ 安全に操作できる場所が必要
作業床を安全に昇降させられる広さがあり、地盤が平らで上部に電線などの障害物がない場所が必要です。自社の敷地や資材置き場、倉庫の屋外スペースなどを使うケースが考えられます。周囲の立入りを制限できるかも事前に確認しておきます。
▶ 実技の段取りで確認しておくこと
- 受講人数と、使える機械の台数
- 機械の作業床の高さ(10m未満の範囲で行うか)
- 場所の広さ、地盤、上空の障害物
- 実技の日程を学科の後にどう組むか
機械と場所がそろえば、学科をオンライン、実技を自社の敷地で対面、という組み方を検討できます。具体的な実技の進め方は、講習機関に相談して決めるのが確実です。
■ 修了の扱いと記録
▶ 学科と実技の両方が終わって修了
特別教育は学科と実技の両方を規程どおりに終えて、はじめて修了となります。学科だけを受けた段階では、高所作業車の運転業務につかせることはできません。学科と実技の間が空く場合は、実技が終わるまで運転させない運用を社内で徹底しておくと安心です。
▶ 科目の省略ができる場合
安衛則第37条により、科目の全部または一部について十分な知識・技能があると認められる労働者は、その科目を省略できます。省略できるかどうかは個別の判断になるため、迷う場合は所轄の労働基準監督署にご確認ください。
▶ 記録は3年間保存
安衛則第38条により、事業者は特別教育を行ったとき、受講者・科目などの記録を作成して3年間保存しなければなりません。外部の講習を受けさせた場合も、修了証の写しなどを社内で保管しておくと確認がしやすくなります。詳しくは安全衛生教育の記録の保存をご覧ください。
■ オンライン受講の費用の考え方
オンライン受講の費用を比べるときは、講習料だけでなく、実技までを含めた総額で考えることが大切です。
- 講習料(学科・実技)
- 実技で使う高所作業車の手配費(自社保有ならかからない)
- 実技会場までの移動費・移動時間
- 受講者が現場を離れる時間
学科をオンラインにすると、移動の時間と費用を抑えられます。一方で実技の機械や場所を自社で用意できるかどうかで、総額は大きく変わります。見積もりを取るときは、実技の進め方まで含めて確認しておくと比較しやすくなります。
■ 産業技能センターの高所作業車運転特別教育
株式会社産業技能センターでは、高所作業車運転特別教育(作業床の高さ10m未満)を実施しています。
- 料金:1名8,000円〜(税込・教材費・修了証発行費込み。人数・地域・実技の準備などにより変わる場合があり、正確な金額はお見積もりでご案内します)
- オンライン講習:Google Meetで1名から学科を受講できます。実技の進め方を含め、受講方法はお問い合わせの際にご案内します。
- 出張講習:関東1都6県は5名様から(交通費・宿泊費・出張基本費なし)。遠方は20名様以上が目安です。遠方で少人数の場合はオンラインをご案内しています。
お申込みは、お問い合わせ、お見積もり、お見積もりのご確認後のお振込みをもって講習日を確定します。人数の変更は講習日の3日前まで承ります。
ご相談はお問い合わせフォーム、またはお電話(042-497-8840、年中無休 7:00〜21:00)でお受けしています。
■ よくある質問
▶ Q. 高所作業車の特別教育は、すべてオンラインで受けられますか?
A. すべてはできません。学科6時間は条件を満たせばオンラインで受講できますが、実技3時間は通達により講師と同じ場所で対面で行う必要があります。
▶ Q. 10m未満の高所作業車なら、オンラインの学科だけで運転できますか?
A. 運転できません。安全衛生特別教育規程第13条で実技3時間以上が定められており、学科と実技の両方を終えて修了となります。
▶ Q. オンライン受講の費用はどのくらいですか?
A. 当センターの高所作業車運転特別教育は1名8,000円〜(税込・教材費・修了証発行費込み)です。実技の機械や場所の手配状況によって進め方が変わるため、詳しくはお見積もりの際にご案内します。
▶ Q. 実技はどこで受ければよいですか?
A. 高所作業車の実機と、作業床を安全に昇降させられる場所が必要です。自社の機械や敷地を使える場合もありますので、実技の進め方はご相談ください。
▶ Q. 作業床の高さが10m以上の機械もオンラインで資格を取れますか?
A. 10m以上の高所作業車の運転は技能講習が必要な業務(安衛法第61条第1項、施行令第20条第15号)で、特別教育では運転できません。技能講習の受け方は、実施する登録教習機関にご確認ください。
■ まとめ
- 作業床の高さ10m未満の高所作業車の運転は、安衛則第36条第10号の5の特別教育が必要です。
- 教育は学科6時間以上・実技3時間以上(安全衛生特別教育規程第13条)です。
- 学科は通達の条件を満たせばオンライン可、実技は講師と同じ場所で対面が必要です。
- 実技には高所作業車の実機と、安全に操作できる場所が必要です。
- 10m以上は技能講習(安衛法第61条第1項・施行令第20条第15号)で、特別教育では運転できません。
■ 講習のお申込み・ご相談
現場を止めずに高所作業車の特別教育を受けさせたい、とお考えの担当者様へ。
📞 042-497-8840 に電話して相談する(相談無料・年中無休・7:00〜21:00)
人数・地域・機械の有無に合わせて、オンラインと出張講習のどちらが合うかご提案します。
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- 特別教育の罰則
- 安全衛生教育の記録の保存
■ 参考情報・公式リソース
- 労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第59条第3項、第61条第1項、第119条第1号
- 労働安全衛生法施行令(昭和47年政令第318号)第20条第15号
- 労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)第36条第10号の5、第37条、第38条、第39条
- 安全衛生特別教育規程(昭和47年労働省告示第92号)第13条
- 厚生労働省「インターネット等を介したeラーニング等により行われる労働安全衛生法に基づく安全衛生教育等の実施について」(令和3年1月25日、最終改正 令和8年9月2日)
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