安全衛生委員会は、安全委員会と衛生委員会の両方を設けなければならない事業場が、2つの代わりに1つにまとめて置ける委員会です(労働安全衛生法 第19条第1項)。衛生委員会は業種を問わず常時50人以上の事業場で、安全委員会は業種により常時50人以上または100人以上の事業場で設置が必要です。委員会は毎月1回以上開き、議事の概要を労働者に周知し、記録を3年間保存します(労働安全衛生規則 第23条)。
「従業員が50人を超えたので、委員会をつくるよう言われた」「毎月の委員会のネタが尽きた」という担当者の方に向けて、労働安全衛生法・同施行令・労働安全衛生規則(安衛則)の条文(e-Gov法令検索で2026年11月に確認)をもとに整理しました。最後に、そのまま使える月別の議題例も載せています。
ご不明点はよくある質問、個別のご相談は問い合わせページからどうぞ。
■ この記事でわかること
- 安全衛生委員会・安全委員会・衛生委員会の違いと、設置が必要な事業場(業種・人数の早見表)
- メンバーの構成と決め方(議長・産業医・推薦に基づく指名)
- 何を話し合うか、毎月の開催・周知・議事録の保存のルール
- オンライン・メールで開催するときの条件、違反したときの罰則
- そのまま使える月別の議題例と、よくある質問
■ 設置が必要な事業場(早見表)
人数は事業場ごとに、常時使用する労働者の数で判断します。会社全体の人数ではありません。パート・アルバイトの数え方など判断に迷う場合は、所轄の労働基準監督署に確認してください。
| 委員会 | 設置が必要な事業場 | 根拠 |
|---|---|---|
| 衛生委員会 | すべての業種で、常時50人以上 | 法 第18条第1項、施行令 第9条 |
| 安全委員会(50人以上) | 林業、鉱業、建設業、製造業のうち木材・木製品製造業、化学工業、鉄鋼業、金属製品製造業、輸送用機械器具製造業、運送業のうち道路貨物運送業・港湾運送業、自動車整備業、機械修理業、清掃業 | 法 第17条第1項、施行令 第8条第1号 |
| 安全委員会(100人以上) | 上記以外の製造業(物の加工業を含む)・運送業、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゅう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゅう器小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業 | 法 第17条第1項、施行令 第8条第2号(第2条第1号・第2号の業種) |
▶ 例で確かめる
- 建設業で常時60人:安全委員会(50人以上)と衛生委員会(50人以上)の両方が必要 → 安全衛生委員会1つにまとめられます。
- 食料品製造業で常時70人:衛生委員会は必要。安全委員会は食料品製造業が施行令第8条第1号に入らないため100人以上で必要 → 70人なら衛生委員会のみ。
- 施行令第2条第1号・第2号に当たらない業種(その他の業種)の事業場で常時80人:安全委員会の対象業種ではないため、衛生委員会のみ。
▶ 50人未満の事業場は?
委員会の設置義務はありません。ただし、委員会を設けていない事業者は、安全や衛生について関係労働者の意見を聴く機会を設けるようにしなければなりません(安衛則 第23条の2)。朝礼・安全ミーティング・意見箱などの形が考えられます。
■ メンバー構成と人数
安全衛生委員会の委員は、次の人で構成します(労働安全衛生法 第19条第2項・第3項)。
| 号 | 委員 | 決め方 |
|---|---|---|
| 第1号 | 総括安全衛生管理者、またはその事業場で事業の実施を統括管理する人もしくはこれに準ずる人 | 事業者が指名(1人)。この人が議長 |
| 第2号 | 安全管理者・衛生管理者 | 事業者が指名 |
| 第3号 | 産業医 | 事業者が指名 |
| 第4号 | 安全に関し経験を有する労働者 | 事業者が指名 |
| 第5号 | 衛生に関し経験を有する労働者 | 事業者が指名 |
| (任意) | 作業環境測定を実施している作業環境測定士である労働者 | 事業者が指名できる |
- 議長以外の委員の半数は、労働者の過半数で組織する労働組合(ない場合は労働者の過半数を代表する者)の推薦に基づいて指名しなければなりません(法 第19条第4項で準用する第17条第4項)。労働協約に別の定めがある場合は、その限度で適用されません(同 第5項)。
- 人数そのものは法令で決まっていません。上の構成と「議長以外の半数は推薦に基づく」というルールを満たす人数を、事業場の規模に合わせて決めます。
- 安全委員会だけ・衛生委員会だけを置く場合の構成は、それぞれ法 第17条第2項・第18条第2項に定められています(安全委員会には産業医は入りません)。
▶ 産業医が欠席したら?
労働安全衛生法 第17条〜第19条・安衛則 第23条には、委員会の成立に必要な出席者(定足数)の定めはありません。運営に必要な事項は委員会が定めることになっているため(安衛則 第23条第2項)、欠席時の扱いは運営規程で決めておきます。なお、産業医は衛生委員会・安全衛生委員会に対して、労働者の健康を確保する観点から必要な調査審議を求めることができます(同 第5項)。
■ 何を話し合うか(調査審議事項)
委員会は、次の事項を調査審議し、事業者に意見を述べる場です(法 第17条第1項・第18条第1項)。安衛則 第21条・第22条の事項は「重要事項に含まれるもの」として挙げられたもので、これに限られません。
▶ 安全に関すること(法 第17条、安衛則 第21条)
- 労働者の危険を防止するための基本となる対策
- 労働災害の原因と再発防止対策(安全に係るもの)
- 安全に関する規程の作成
- 危険性または有害性等の調査(いわゆるリスクアセスメント。法 第28条の2第1項・第57条の3第1項・第2項)とその結果に基づく措置のうち、安全に係るもの
- 安全衛生に関する計画(安全に係る部分)の作成・実施・評価・改善
- 安全教育の実施計画の作成
- 厚生労働大臣・都道府県労働局長・労働基準監督署長・労働基準監督官・産業安全専門官から文書で命令・指示・勧告・指導を受けた事項のうち、危険の防止に関するもの
▶ 衛生に関すること(法 第18条、安衛則 第22条)
- 健康障害の防止と健康の保持増進のための基本となる対策
- 労働災害の原因と再発防止対策(衛生に係るもの)
- 衛生に関する規程の作成
- 危険性または有害性等の調査とその結果に基づく措置のうち、衛生に係るもの
- 安全衛生に関する計画(衛生に係る部分)の作成・実施・評価・改善
- 衛生教育の実施計画の作成
- 法 第57条の4・第57条の5による化学物質の有害性の調査と、その結果に対する対策
- 作業環境測定の結果と、その評価に基づく対策
- 健康診断(定期・臨時など)や医師の診断等の結果と、その結果に対する対策
- 健康の保持増進のための措置の実施計画の作成
- 長時間労働による健康障害の防止対策
- 労働者の精神的健康の保持増進(メンタルヘルス)の対策
- 安衛則 第577条の2第1項・第2項・第8項の措置と、同条第3項・第4項の医師・歯科医師による健康診断の実施(化学物質関係)
- 厚生労働大臣・都道府県労働局長・労働基準監督署長・労働基準監督官・労働衛生専門官から文書で命令・指示・勧告・指導を受けた事項のうち、健康障害の防止に関するもの
■ 開催・周知・議事録のルール
| ルール | 内容(安衛則 第23条) |
|---|---|
| 開催頻度 | 毎月1回以上(第1項) |
| 周知 | 開催の都度、遅滞なく、議事の概要を労働者に知らせる。①作業場の見やすい場所に掲示・備え付け、②書面で交付、③電子ファイルに記録し、各作業場で常時確認できる機器を置く、のいずれか(第3項) |
| 記録・保存 | 開催の都度、①委員会の意見と、それを踏まえて講じた措置の内容、②その他の重要な議事を記録し、3年間保存(第4項) |
| 運営 | 必要な事項は委員会が定める(第2項) |
「2か月に1回の開催」や「議事録は作るが、掲示・書面・電子のどの方法でも労働者に周知していない」という運用は、安衛則 第23条の内容と合いません。周知の方法と保存の担当者を、運営規程で決めておくと安心です。記録の保存期間については安全衛生教育の記録はいつまで保存が必要?もあわせてご覧ください。
■ オンライン・メールで開催できる?
厚生労働省の通達「情報通信機器を用いた労働安全衛生法第17条、第18条及び第19条の規定に基づく安全委員会等の開催について」(令和2年8月27日 基発0827第1号)で、条件を満たせばオンラインで開催できることが示されています。
- 使う機器の条件(すべて満たす):委員が簡単に使える/映像や音声が安定して届き、意見交換が円滑にできる/個人情報の漏えいや外部からの不正アクセスを防ぐ措置がある。
- 運営の条件:原則は、対面と同じように委員同士がその場で意見交換し、十分に審議できる方法(音声のみ・チャットでも、資料の確認と円滑な意見交換、十分な審議ができれば可)。
- メールなど即時性のない方法:開催期間、資料の共有や意見表明の方法、意見が対立したときの調整方法などをあらかじめ委員会で定めた場合に限って可能です。資料送付後に十分な検討期間を設ける、意見を全委員に共有する、意見がない委員には確認する、などの点に留意します。
- 記録の保存は対面と同じです。電子で保存する場合は、臨検時などに必要事項がすぐ分かり、写しを出せるようにしておきます。
■ 違反した場合の罰則
- 安全委員会(法 第17条第1項)・衛生委員会(法 第18条第1項)を設けなければならないのに設けない場合は、50万円以下の罰金の対象です(法 第120条第1号)。
- 第120条第1号に第19条は挙がっていません。第19条は2つの委員会の設置に代える方法を定めた規定のためで、両方が必要なのに安全衛生委員会も設けていなければ、第17条第1項・第18条第1項の義務を果たしていないことになります(適用の判断は所轄の労働基準監督署に確認してください)。
- 毎月の開催や周知など、安衛則 第23条の個々の義務について罰則がどう適用されるかも、所轄の労働基準監督署に確認してください。
委員会で決めた安全教育の実施計画を、どの講習で実行すればよいか迷ったら、お電話でご相談ください。
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■ そのまま使える月別の議題例
安全衛生委員会のネタに困ったときの例です(当センターで作成した例です。事業場の実情に合わせて選んでください)。「先月の労働災害・ヒヤリハットの報告」「職場巡視の結果」「前回の意見への対応状況」は毎月の定番議題にしておくと、記録(安衛則 第23条第4項)も残しやすくなります。
| 月 | 議題の例 |
|---|---|
| 4月 | 新入社員・異動者の雇入れ時教育、作業内容変更時教育の実施状況/今年度の安全衛生計画の確認 |
| 5月 | 熱中症対策の準備(報告体制と対応手順の整備・周知の確認)/健康診断の日程 |
| 6月 | 全国安全週間(7月1日〜7日)の準備/梅雨時期の転倒・感電の防止 |
| 7月 | 熱中症の発生状況と対策の見直し/全国安全週間の取組みの振り返り |
| 8月 | 夏季休暇前後の作業再開時の災害防止/長時間労働の状況 |
| 9月 | 全国労働衛生週間(10月1日〜7日)の準備/防災訓練・避難経路の点検 |
| 10月 | 定期健康診断の結果と事後措置/作業環境測定の結果 |
| 11月 | 冬季の通勤・交通安全/メンタルヘルス対策(相談窓口の周知など) |
| 12月 | 年末年始の繁忙期・大掃除・休み明けの災害防止 |
| 1月 | 凍結路面・段差での転倒防止/感染症の予防 |
| 2月 | 次年度の安全教育・衛生教育の実施計画の作成(安衛則 第21条第4号・第22条第4号) |
| 3月 | 今年度の安全衛生計画の評価と改善、次年度計画の作成(安衛則 第21条第3号・第22条第3号) |
議題の材料にはヒヤリハット事例・KY活動・5S活動・安全標語・安全大会の記事も使えます。
■ よくある質問
▶ Q. 衛生委員会と安全衛生委員会の違いは?
衛生委員会は健康障害の防止など「衛生」を扱う委員会です。安全委員会と衛生委員会の両方が必要な事業場は、2つの代わりに安全衛生委員会を1つ置けます(労働安全衛生法 第19条第1項)。安全委員会が不要な業種・規模なら、衛生委員会だけで足ります。
▶ Q. 従業員が50人未満になったら、委員会はやめていい?
常時50人未満であれば、衛生委員会の設置義務の対象から外れます。人数が一時的に減ったのか、常態として50人未満になったのかで判断が変わることがあるため、迷う場合は所轄の労働基準監督署に確認してください。委員会を設けない場合も、関係労働者の意見を聴く機会は必要です(労働安全衛生規則 第23条の2)。
▶ Q. 議事録の保存期間は?
委員会の意見と、それを踏まえて講じた措置の内容、その他の重要な議事を記録し、3年間保存します(労働安全衛生規則 第23条第4項)。
▶ Q. 委員の人数は労使同数でないといけない?
法令に「労使同数」という言葉はありません。委員はすべて事業者が指名しますが、議長(第1号の委員)以外の委員の半数については、過半数労働組合(ない場合は過半数代表者)の推薦に基づいて指名しなければなりません(労働安全衛生法 第19条第4項で準用する第17条第4項)。ただし、過半数労働組合との労働協約に別段の定めがあれば、その限度で適用されません(同 第5項)。
▶ Q. 安全管理者・衛生管理者が委員会に出ないといけない?
安全衛生委員会の委員は、安全管理者・衛生管理者のうちから事業者が指名した人を含めて構成します(労働安全衛生法 第19条第2項第2号)。欠席時の扱いは運営規程で定めておきます。
▶ Q. 2か月に1回の開催でもいい?
労働安全衛生規則 第23条第1項は、委員会を「毎月1回以上」開催するようにしなければならないと定めています。
■ まとめ
- 安全衛生委員会は、安全委員会と衛生委員会の両方が必要な事業場が、1つにまとめて置ける委員会(法 第19条)。
- 衛生委員会は全業種・常時50人以上、安全委員会は業種により常時50人以上または100人以上(施行令 第8条・第9条)。
- 議長以外の委員の半数は、過半数労働組合または過半数代表者の推薦に基づいて指名する。
- 毎月1回以上開催し、議事の概要を周知し、記録を3年間保存する(安衛則 第23条)。
- オンライン開催は通達(基発0827第1号)の条件を満たせば可能。
- 安全教育・衛生教育の実施計画づくりは、委員会の審議事項の一つ(安衛則 第21条第4号・第22条第4号)。
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