ジャッキ式つり上げ機械の調整・運転特別教育とは?|講習内容・費用・受講方法を徹底解説!

ジャッキ式つり上げ機械の調整・運転特別教育は、建設現場や自動車整備で安全に作業するために法律で義務付けられた講習です。この記事では、具体的な講習内容や受講にかかる費用、申し込み方法など、資格取得前に知っておきたい情報を分かりやすく解説します。

そもそもジャッキ式つり上げ機械の調整・運転特別教育って何?

自動車の整備や建設現場での重量物の持ち上げなど、さまざまな場面で活躍するジャッキ式つり上げ機械。この便利な機械を安全に操作するために、法律で定められているのが「ジャッキ式つり上げ機械の調整・運転特別教育」です。

この記事では、受講がなぜ必要なのかという基本的な理由から、具体的にどのような機械や業務が対象になるのかまで、分かりやすく解説していきます。

まずは基本から!法律で定められた安全のための義務

事業者は、労働者に危険を伴う業務を行わせる場合、事前にその業務に関する安全衛生のための特別な教育を実施することが法律で義務付けられています。これは労働安全衛生法第59条第3項に定められており、ジャッキ式つり上げ機械の操作もこの対象業務の一つです。

この教育は、作業者の安全を確保し、重大な労働災害を防ぐために不可欠です。万が一、教育を受けずに作業を行い事故が発生した場合、事業者は安全配慮義務違反などの責任を問われる可能性があります。

より詳しい内容は、以下の記事でも解説しています。 特別教育と技能講習の違い|対象業務・取得方法・必要な資格を徹底解説!

どんな機械が対象?具体例をチェック

この特別教育の対象となるのは、「つり上げ荷重が500kg以上のジャッキ式つり上げ機械」です。私たちが普段目にする多くのジャッキがこれに該当します。

具体的には、以下のような機械が対象となります。

種類主な具体例
機械式ジャッキねじジャッキ、ラック式ジャッキ
油圧式ジャッキパンタグラフジャッキ、ボトルジャッキ、ガレージジャッキ

これらの機械は、自動車整備工場や建設現場、機械の据え付け工事など、幅広い業種で使用されています。ご自身の職場で使用しているジャッキのつり上げ荷重を確認してみましょう。

どんな人が受講すべき?対象業務について

つり上げ荷重500kg以上のジャッキ式つり上げ機械を用いて、以下の業務を行うすべての労働者が受講対象となります。

  • 組立て
  • 解体
  • 調整
  • 運転

これらの業務には、ジャッキの設置や片付け、操作、メンテナンスなどが含まれます。自動車整備士や建設作業員、機械のメンテナンス担当者など、該当する業務を行う方は、正社員やアルバイトといった雇用形態にかかわらず、この特別教育を修了しなければなりません。

気になる講習の中身と費用を詳しく解説

ジャッキ式つり上げ機械の調整・運転特別教育を受けるにあたり、多くの方が気になるのは「具体的にどんなことを学ぶのか」「費用はどれくらいかかるのか」といった点ではないでしょうか。

ここでは、法律で定められた講習のカリキュラム内容から受講費用、資格取得までにかかる日数まで、皆さんが事前に知っておきたい情報を一つひとつ丁寧に解説していきます。

学科講習で学ぶこと

学科講習では、ジャッキ式つり上げ機械を安全に取り扱うための基礎知識を、合計5時間かけて学びます。専門的な内容も含まれますが、講師が実例を交えながら分かりやすく解説してくれるため、予備知識がなくても心配ありません。

学科講習の主な内容は以下の通りです。

科目時間主な内容
ジャッキ式つり上げ機械に関する知識2時間ジャッキの種類や構造、各部の名称と役割について学びます。
原動機及び電気に関する知識1時間動力源となるモーターや電気系統の基本的な仕組みを理解します。
運転のために必要な力学に関する知識1時間重量物を安全につり上げるための重心や力のかかり方など、基礎的な力学を学びます。
関係法令1時間労働安全衛生法など、業務に関連する法律や規則について学びます。

実技講習では何をするの?

実技講習では、学科で学んだ知識を基に、実際にジャッキを操作しながら安全な運転・調整方法を習得します。合計4時間の講習を通じて、正しい使い方を身体で覚えることが目的です。

経験豊富な講師がすぐそばで指導するため、初めて機械に触れる方でも安心して取り組むことができます。

実技講習の主な内容は以下の通りです。

科目時間主な内容
ジャッキ式つり上げ機械の調整1時間作業前の点検や安全装置の確認など、機械を安全に使うための調整方法を実践します。
ジャッキ式つり上げ機械の運転3時間実際に荷をつり上げる操作、合図の方法などを手順に沿って練習します。

講習にかかる費用はどれくらい?

ジャッキ式つり上げ機械の調整・運転特別教育の受講費用は、講習機関によって異なりますが、おおむね1万5千円から2万円程度が相場です。この費用には、受講料のほかにテキスト代が含まれているのが一般的です。

企業単位で講師を招いて実施する出張講習を依頼する場合は、別途出張費などが必要になることがあります。また、一定の要件を満たせば国の人材開発支援助成金などを活用できるケースもあるため、所属企業の担当者に確認してみるのもよいでしょう。

資格取得までにかかる標準的な日数

この特別教育は、学科講習5時間と実技講習4時間を合わせた合計9時間のカリキュラムで構成されています。

そのため、多くの講習機関では2日間の日程で実施されています。1日目に学科、2日目に実技といった形で分割して行われることが多く、働きながらでも受講しやすいスケジュールが組まれています。講習機関によっては1日で修了できる場合もあるため、申し込み時に確認しましょう。

受講を決めたら!申し込みから修了証までの流れ

受講の意思が固まったら、次はいよいよ具体的な手続きに進みます。講習機関を探して申し込み、受講を経て修了証を受け取るまで、全体の流れを把握しておけば、スムーズに準備を進めることができるでしょう。

ここでは、申し込みから資格取得までの具体的なステップを一つひとつ解説します。

どこで受講できる?講習機関の探し方

ジャッキ式つり上げ機械の調整・運転特別教育は、全国各地のさまざまな機関で実施されています。主な講習機関には、以下のようなものがあります。

  • 各都道府県の労働基準協会連合会
  • 技術技能協会や教習センター
  • 建設業労働災害防止協会(建災防)の支部

お住まいの地域や勤務先の近くで講習を探すには、インターネットで「ジャッキ式つり上げ機械 特別教育 東京」のように「講習名+地域名」で検索するのが最も効率的です。

また、企業によっては、講師を招いて社内で実施する「出張講習」を利用することも可能です。受講対象者が複数名いる場合は、移動の手間やコストを抑えられるため、検討してみる価値があるでしょう。

申し込みに必要なものと当日の持ち物

申し込み手続きや当日の持ち物は講習機関によって多少異なりますが、一般的に必要となるものを以下にまとめました。申し込む際は、必ず公式サイトや案内資料で詳細を確認してください。

申し込みから受講当日までの準備リスト

フェーズ主な必要物品備考
申し込み時申込書、受講料、証明写真Webフォームから申し込むか、申込書を郵送・FAXするのが一般的です。証明写真は修了証に使用されます。
受講当日受講票、筆記用具、本人確認書類、作業に適した服装本人確認書類は運転免許証や健康保険証などが有効です。実技講習があるため、安全靴や長袖・長ズボンなど、汚れてもよい動きやすい服装で参加しましょう。

特に服装については、安全に実技講習を受けるために重要です。サンダルや半ズボンなど、肌の露出が多い服装では受講を断られる場合もあるため注意が必要です。

修了証はいつもらえる?再発行についても解説

講習の全課程を修了すると、その証明として「特別教育修了証」が交付されます。この修了証は、講習の最終日に即日交付されることがほとんどです。これにより、受講後すぐに業務に就くことが可能になります。

修了証は、業務に従事できることを証明する大切なものです。万が一、紛失したり、氏名が変わったりした場合は、受講した講習機関に連絡することで再発行や書替の手続きができます。ただし、再発行には手数料がかかる場合が多いため、大切に保管しましょう。

他の特別教育でも修了証の扱いは似ています。以下の記事も参考にしてみてください。 
フルハーネス型墜落制止用器具特別教育とは?|資格・費用・受講方法を解説!

知っておくと安心!よくある疑問 Q&A

最後に、ジャッキ式つり上げ機械の調整・運転特別教育に関して、多くの方が疑問に思う点をQ&A形式でまとめました。受講前の不安や疑問をここで解消しておきましょう。

この資格に有効期限や更新はある?

この特別教育の修了証には、法律で定められた有効期限や更新の義務はありません。そのため、一度取得すれば生涯有効な資格となります。

ただし、安全な作業方法を維持し、新しい技術や情報に対応するため、事業者は労働者に対して定期的に再教育(安全衛生教育)を行うことが望ましいとされています。これは事業者の努力義務であり、職場の安全レベルを高く保つために重要な取り組みです。

受講しないとどうなる?罰則について

特別教育を受けずに該当業務を行った場合、直接労働者に罰則はありませんが、労働者に業務をさせた事業者に対して罰則が科せられます。

労働安全衛生法第119条に基づき、事業者は「6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金」に処される可能性があります。また、万が一労働災害が発生した際には、安全配慮義務違反として事業者や現場責任者がより重い責任を問われることになります。

罰則については、以下の記事でも詳しく解説しています。 フルハーネス型墜落制止用器具特別教育を受けないとどうなる?|罰則やリスクを徹底解説!

未経験でも講習についていける?

はい、まったく問題ありません。この特別教育は、ジャッキの操作に関する知識や実務経験がない方を対象にカリキュラムが組まれています。

学科講習では、機械の基本的な構造から専門の講師が丁寧に解説します。実技講習も、安全が確保された環境で、講師の指導のもと基礎的な操作から段階的に学んでいきますので、安心してご参加ください。

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