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酸欠特別教育はオンラインで完結?第一種・第二種の時間と条件【2026年版】

酸欠特別教育はオンラインで完結?第一種・第二種の時間と条件

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酸欠特別教育(酸素欠乏・硫化水素危険作業特別教育)は、告示で「学科教育により」行うと定められており、実技の時間がありません。そのため、厚生労働省の通達の条件を満たしていれば、第一種(4時間以上)・第二種(5時間30分以上)ともオンラインだけで受講を完了できます。

マンホールやピット、タンクの内部などで作業させる社員がいる会社では、「現場が忙しくて会場まで行かせられない」「1人だけ急いで受けさせたい」というご相談が多くあります。この記事では、酸欠特別教育をオンラインで受けるときに押さえておきたい法令の根拠と通達の条件、第一種・第二種の選び方、申込みまでの流れを、条文番号つきで整理します。特別教育そのものの全体像は酸素欠乏危険作業特別教育の記事で詳しく解説しています。

■ 結論:酸欠特別教育は学科だけなのでオンライン完結が可能

多くの特別教育は「学科」と「実技」の二本立てで、実技は講師と同じ場所で対面で行う必要があります。ところが酸欠特別教育は、科目と時間を定めた告示(酸素欠乏危険作業特別教育規程)に実技の定めがありません。

同規程第1条は、第一種にあたる教育について次のように定めています。

「酸素欠乏症等防止規則第十二条第一項の規定による特別の教育は、学科教育により、次の表の上欄に掲げる科目に応じ、それぞれ、同表の中欄に掲げる範囲について同表の下欄に掲げる時間以上行うものとする。」(酸素欠乏危険作業特別教育規程 第1条)

第二種にあたる第2条も同じく「学科教育により」と定めています。つまり、法定の教育はすべて学科です。

▶ オンラインにできる根拠は厚労省の通達

オンラインで特別教育を行う場合の考え方は、厚生労働省の通達「インターネット等を介したeラーニング等により行われる労働安全衛生法に基づく安全衛生教育等の実施について」に示されています。この通達は令和8年9月2日付(基安計発0902第1号ほか)で一部改正されています。

この通達では、特別教育について、法定の科目の範囲・教育時間・講師の要件を満たしたうえで教材を用いて行うこと、受講した事実を適切に確認することなどが求められています。また、実技教育は「講師と同一場所で対面により実施していること」とされています。酸欠特別教育はこの「実技」が法定の科目にないため、学科の条件を満たせばオンラインで完結します。

▶ 早見表:酸欠特別教育とオンライン受講

区分 法定時間 実技 オンライン
第一種 学科4時間以上 規定なし 条件付きで可
第二種 学科5時間30分以上 規定なし 条件付きで可
作業主任者 技能講習 - 受講先に確認

※「条件付き」とは、次の章で説明する通達の条件(時間の担保・講師・質疑対応など)を満たす場合です。作業主任者は特別教育ではなく技能講習の修了が必要です(後述)。

■ オンライン受講で満たすべき条件(令和8年9月2日改正通達)

「動画を流しておけば受講したことになる」わけではありません。通達で特別教育に求められている主な条件は次のとおりです。受講先を選ぶとき、また社内でオンライン実施するときのチェック項目にしてください。

▶ 法定の科目・範囲・時間を満たしていること

酸欠特別教育規程が定める5科目について、定められた範囲を、定められた時間以上行う必要があります。たとえば第一種で「空気呼吸器等の使用の方法」が1時間以上と定められているのに、短く省いた内容ではこの条件を満たしません。

▶ 受講した事実と時間を確認できること

通達では、受講者が受講した事実と教育時間を担保する方法として、次のいずれかが示されています。

  • ビデオ会議ツール等を使い、講師がリアルタイムで受講状況を確認しながら教育する
  • 動画の再生記録やパソコンの操作記録等で受講状況を確認する
  • 上記以外で、教育時間を合理的に証明できる方法

Google Meet などのビデオ会議でリアルタイムに行う講習は、1つ目の方法にあたります。カメラをオフにしたまま放置される、別の人が代わりに座っているといった状態では、受講の事実を確認できません。受講者にはカメラをオンにして参加してもらうのが基本です。

▶ 講師・教材と質疑応答の体制

講師(録画教材の場合は動画の作成者・監修者)に、その分野について十分な知識または経験があることが求められています。また、受講者から質問があったときに受け付けて回答できる体制が必要です。リアルタイムの講習なら、その場で質問できます。

▶ 会社側は記録を3年間保存する

オンラインで受けた場合も、特別教育の記録の保存義務は変わりません。労働安全衛生規則第38条は「事業者は、特別教育を行なつたときは、当該特別教育の受講者、科目等の記録を作成して、これを三年間保存しておかなければならない。」と定めています。外部の講習を利用した場合は、修了証の写しや受講記録を社内で保管しておくと確実です。保存の方法は安全衛生教育の記録の保存で解説しています。

■ 第一種と第二種、どちらをオンラインで受ければよいか

申込みの前に必ず確認したいのが、社員の作業が「第一種」か「第二種」かです。区分を間違えると、受講しても法定の教育を行ったことにならない場合があります。

▶ 区分の根拠は酸欠則第2条と施行令別表第6

酸素欠乏症等防止規則(酸欠則)第2条は、酸素欠乏危険作業を、労働安全衛生法施行令別表第6に掲げる「酸素欠乏危険場所」における作業と定義しています。そのうち、次の場所での作業が「第二種酸素欠乏危険作業」で、それ以外が「第一種酸素欠乏危険作業」です(酸欠則第2条第7号・第8号)。

  • 別表第6第3号の3:海水が滞留している、または滞留したことのある熱交換器・管・暗きょ・マンホール・溝・ピットの内部
  • 別表第6第9号:し尿、腐泥、汚水、パルプ液など腐敗・分解しやすい物質を入れてある、または入れたことのあるタンク・船倉・槽・管・暗きょ・マンホール・溝・ピットの内部
  • 別表第6第12号:厚生労働大臣が定める場所のうち、酸素欠乏症と硫化水素中毒のおそれのある場所として厚生労働大臣が定める場所(酸欠則第2条第8号)

第二種は、酸素欠乏に加えて硫化水素中毒のおそれがある場所です。酸欠則第2条では、酸素欠乏を「空気中の酸素の濃度が十八パーセント未満である状態」、硫化水素については濃度が「百万分の十」を超える状態を「酸素欠乏等」に含めて定義しています。

▶ 業種で見る目安

あくまで目安ですが、次のように考えると判断しやすくなります。実際の区分は、作業場所が別表第6のどの号にあたるかで決まります。

  • 第一種になりやすい例:長期間使われていない井戸、地下ケーブル用のマンホール、穀物を貯蔵するサイロ、ドライアイスを使う冷凍設備、不活性ガスを入れた設備などの内部
  • 第二種になりやすい例:汚水が流れる下水道のマンホールや管きょ、し尿処理施設の槽、汚水ピット、製紙工場のパルプ液の槽などの内部

同じ「マンホール」でも、地下の電線を収める暗きょ(第3号)なのか、汚水が流れる管きょ(第9号)なのかで区分が変わります。迷う場合は、現場の写真や作業内容を手元に用意したうえでご相談ください。

▶ 第一種と第二種の科目・時間の違い

酸欠特別教育規程が定める科目と時間は次のとおりです(いずれも「以上」)。

  • 酸素欠乏(等)の発生の原因:第一種30分/第二種1時間
  • 酸素欠乏症(等)の症状:第一種30分/第二種1時間
  • 空気呼吸器等の使用の方法:第一種・第二種とも1時間
  • 事故の場合の退避及び救急そ生の方法:第一種・第二種とも1時間
  • その他酸素欠乏症(等)の防止に関し必要な事項:第一種1時間/第二種1時間30分

合計は第一種が4時間、第二種が5時間30分です。第二種は硫化水素に関する内容が加わるぶん、時間が長くなっています。告示の科目表を見ると、第二種の各科目は第一種の「酸素欠乏」を「酸素欠乏等」(硫化水素を含む)に広げた内容になっています。第二種を修了した人が第一種の作業に就けるかなど、個別の扱いは所轄の労働基準監督署にご確認ください。ただし、第二種の修了で第一種の教育に代えられるかどうかの扱いに不安がある場合は、所轄の労働基準監督署にご確認ください。

「うちの現場は第一種と第二種のどちらにあたるのか」がはっきりしないまま申し込むのは不安ではありませんか。
📞 042-497-8840 に電話して相談する(相談無料・年中無休・7:00〜21:00)
作業場所と人数をお聞きしたうえで、受けるべき区分とオンラインでの受け方をご案内します。

■ 受けさせずに作業させた場合の法的リスク

酸欠則第12条第1項は「事業者は、第一種酸素欠乏危険作業に係る業務に労働者を就かせるときは、当該労働者に対し、次の科目について特別の教育を行わなければならない。」と定め、同条第2項で第二種にも準用しています。また、労働安全衛生規則第36条第26号は、特別教育が必要な業務として「令別表第六に掲げる酸素欠乏危険場所における作業に係る業務」を挙げています。

これらは「望ましい」ではなく事業者の義務です。特別教育を行わずに業務に就かせた場合、労働安全衛生法第59条第3項違反として、同法第119条第1号により6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象になります。罰則の全体像は特別教育の罰則で解説しています。

なお、安衛則第37条により、科目の全部または一部について十分な知識・技能を持つと認められる労働者は、その科目を省略できるとされています。省略できるかどうかの判断に迷う場合は、受講させておくほうが確実です。

■ 酸素欠乏危険作業主任者はオンラインの特別教育では代えられない

「酸欠の資格」と一口に言っても、作業者が受ける特別教育と、現場を指揮する作業主任者の技能講習は別物です。

▶ 作業主任者は技能講習の修了者から選任する

酸欠則第11条は、事業者に酸素欠乏危険作業主任者の選任を義務づけています。第一種の作業では「酸素欠乏危険作業主任者技能講習」または「酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習」の修了者から、第二種の作業では「酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習」の修了者から選任しなければなりません。

作業主任者は、作業方法の決定と労働者の指揮、作業開始前などの酸素濃度(第二種では硫化水素濃度も)の測定、測定器具・換気装置・空気呼吸器等の点検、空気呼吸器等の使用状況の監視などを行います。

▶ 特別教育と技能講習の違い

  • 特別教育:作業に就く労働者が受ける。事業者が自ら行うことも、外部に依頼することもできる
  • 技能講習:作業主任者になる人が受ける。都道府県労働局長の登録を受けた登録教習機関が行う

オンライン受講の通達の条件は、ここまで説明した特別教育についてのものです。技能講習をオンラインで受けられるかどうかは扱いが異なるため、技能講習を行う登録教習機関にご確認ください。特別教育と技能講習の違いは特別教育と技能講習の違いでも整理しています。

■ オンライン受講の準備と当日の流れ

Google Meet などを使ったリアルタイムのオンライン講習を想定した、準備のポイントです。

▶ 受講前に用意するもの

  • カメラ・マイクつきのパソコン(スマホでも参加できる場合がありますが、4〜5時間半の講習では画面の大きい機器がおすすめです)
  • 安定したインターネット回線(社内の会議室などで受ける場合は、事前に接続テストを)
  • テキスト(教材)と筆記用具
  • 受講先から事前に案内される参加方法・持ち物の確認

▶ 複数人を1か所で受けさせる場合

会社の会議室に集まって1台の画面で受講する方法もあります。この場合も、講師が全員の受講状況を確認できるよう、カメラに全員が映る配置にすることが大切です。途中で現場から呼び出されて席を外すと、法定時間を満たせなくなるおそれがあります。講習の時間帯は現場から外れられる日を選んでください。

▶ 空気呼吸器の扱いは社内でも確認を

法定の特別教育は学科のみですが、空気呼吸器や送気マスク、酸素濃度計は、実際に手に取って使い方を確かめておくことが事故防止に役立ちます。オンライン受講の後、社内で保有している器具を使って装着や点検の手順を確認する時間を設けると、学科で学んだ内容が現場で生きやすくなります。

■ 産業技能センターの酸欠特別教育(オンライン講習)

産業技能センターでは、酸素欠乏危険作業特別教育を、Google Meet を使ったオンライン講習で1名から受け付けています。第一種・第二種のどちらを受けるべきかも含めて、作業内容に合わせてご相談ください。

  • 料金:多くの科目が1名8,000円〜(税込・教材費・修了証発行費込み。人数・地域・実技の準備などにより変わる場合があり、正確な金額はお見積もりでご案内します)。値引きは行っておりません。人数・区分に応じてお見積もりします。
  • オンライン講習:Google Meet で1名から。受講方法はお問い合わせの際にご案内します。
  • 出張講習:関東1都6県は5名様から(交通費・宿泊費・出張基本費なし)。遠方は20名様以上が目安で、遠方の少人数の場合はオンライン講習をご案内しています。
  • 会場講習:定期開催の受付は現在停止しています。

お申込みの流れは、お問い合わせ→お見積もり→お見積もりのご確認後、お振込みをもって講習日を確定、となります。人数の変更は講習日の3日前まで承ります。

日程や人数が決まっていない段階でも構いません。お電話(042-497-8840/年中無休 7:00〜21:00)またはお問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。

■ よくある質問

▶ Q. 酸素欠乏・硫化水素危険作業特別教育はWebだけで修了できますか?

A. 酸欠特別教育規程は第一種・第二種とも「学科教育により」行うと定めており、実技の規定がありません。そのため、通達の条件(法定時間の担保、講師の知識・経験、質疑対応の体制など)を満たすオンライン講習であれば、Web上で修了まで完結できます。

▶ Q. 酸欠特別教育の時間は何時間ですか?

A. 第一種は学科4時間以上、第二種は学科5時間30分以上です(酸素欠乏危険作業特別教育規程 第1条・第2条)。オンラインでも、科目の省略が認められる場合(安衛則第37条)を除き、この時間を短縮することはできません。

▶ Q. 録画の動画を見るだけのeラーニングでも有効ですか?

A. 通達では、動画の再生記録やパソコンの操作記録などで受講状況を確認する方法も示されています。ただし、受講した事実と時間を確認できること、質問を受け付けて回答できる体制があることなどが条件です。再生の記録が残らない動画を見せるだけでは、条件を満たさないおそれがあります。

▶ Q. 酸欠特別教育の修了証に有効期限はありますか?

A. 法令上、特別教育の修了に有効期限の定めはありません。ただし、知識の維持のために定期的な学び直しを検討する会社もあります。詳しくは特別教育の有効期限をご覧ください。

▶ Q. 酸欠特別教育を受ければ作業主任者になれますか?

A. なれません。酸素欠乏危険作業主任者は、酸欠則第11条により技能講習の修了者から選任する必要があります。第二種の作業では「酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習」の修了が必要です。

■ まとめ

  • 酸欠特別教育は酸素欠乏危険作業特別教育規程で「学科教育により」と定められ、実技の規定はありません。
  • 第一種は4時間以上、第二種は5時間30分以上。通達(令和8年9月2日一部改正)の条件を満たせばオンラインで完結できます。
  • 区分は酸欠則第2条と施行令別表第6で決まります。下水・汚水・し尿などの場所は第二種です。
  • 受けさせずに作業させると、安衛法第59条第3項違反として6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象になります。
  • 作業主任者は技能講習の修了者から選任が必要で、特別教育では代えられません。

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