作業主任者とは、労働災害を防止するための管理が必要な作業について、事業者が免許を受けた者または技能講習を修了した者のうちから選任し、その作業に従事する労働者の指揮などを行わせる人のことです(労働安全衛生法 第14条)。選任が必要な作業は労働安全衛生法施行令 第6条の第1号から第23号まで(枝番号を含めて31の号)に定められ、作業ごとの名称と必要な資格は労働安全衛生規則 第16条と別表第1で決まっています。
この記事では、e-Gov法令検索で確認した現行の条文をもとに、作業主任者の選任が必要な作業と、名称・必要な資格(免許か技能講習か)を分野別の一覧表にまとめました。あわせて、選任しなかった場合の罰則、氏名等の周知(掲示)、2人以上選任したときの職務の分担、能力向上教育の位置づけを、安全衛生担当者が手配で迷いやすい順に整理します。
ご不明点はよくある質問、個別のご相談は問い合わせページからどうぞ。
■ この記事でわかること
- 作業主任者の定義と根拠条文(労働安全衛生法 第14条・施行令 第6条・規則 第16条)
- 選任が必要な31の作業と、作業主任者の名称・必要資格の一覧表(建設・土木/機械・設備・荷役・林業/化学物質・酸欠・放射線)
- 免許が必要な作業主任者と、技能講習の修了者から選任できる作業主任者の区分
- 選任義務と罰則、氏名等の周知(掲示)、職務の分担のルール
- 作業主任者の能力向上教育(努力義務)と、選任の段取りチェックリスト
■ 作業主任者のルール早見表
作業主任者に関する主なルールを、義務か努力義務かの区分とあわせて先に示します。各項目の詳しい内容は、表の後の各章で条文とともに説明します。
| 項目 | 内容 | 区分 | 根拠条文 |
|---|---|---|---|
| 選任 | 政令で定める作業について、免許を受けた者または技能講習を修了した者のうちから作業主任者を選任し、労働者の指揮などを行わせる | 義務 | 労働安全衛生法 第14条 |
| 対象となる作業 | 高圧室内作業、地山の掘削、足場の組立て等、有機溶剤の業務など31の号 | ― | 労働安全衛生法施行令 第6条 |
| 名称と資格 | 作業の区分ごとに、資格(免許または技能講習)と作業主任者の名称を定める | ― | 労働安全衛生規則 第16条・別表第1 |
| 職務の分担 | 同じ場所で行う一の作業に2人以上選任したときは、それぞれの職務の分担を定める | 義務 | 労働安全衛生規則 第17条 |
| 氏名等の周知 | 氏名と行わせる事項を、作業場の見やすい箇所に掲示する等により関係労働者に周知する | 義務 | 労働安全衛生規則 第18条 |
| 罰則 | 第14条違反は6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金。法人にも罰金刑(両罰規定) | ― | 労働安全衛生法 第119条第1号・第122条 |
| 能力向上教育 | 能力の向上を図るための教育、講習等を行い、または受ける機会を与えるよう努める | 努力義務 | 労働安全衛生法 第19条の2・能力向上教育指針 |
■ 作業主任者とは(安衛法14条・安衛令6条)
作業主任者の制度は、法律・政令・省令の3段階で組み立てられています。どの条文に何が書いてあるかを押さえると、一覧表の読み方がわかりやすくなります。
▶ 作業主任者の選任は法律で決まっていますか?
はい。作業主任者の選任は労働安全衛生法 第14条に定められた事業者の義務です。条文では、事業者は「高圧室内作業その他の労働災害を防止するための管理を必要とする作業で、政令で定めるもの」について、「都道府県労働局長の免許を受けた者又は都道府県労働局長の登録を受けた者が行う技能講習を修了した者のうちから」、作業の区分に応じて作業主任者を選任し、「当該作業に従事する労働者の指揮その他の厚生労働省令で定める事項」を行わせなければならないとされています。
「政令で定めるもの」が労働安全衛生法施行令 第6条の各号、「作業の区分に応じて」選任する資格と名称が労働安全衛生規則 第16条第1項と別表第1です。作業主任者に行わせる具体的な職務は、作業ごとに労働安全衛生規則や有機溶剤中毒予防規則などの特別規則で定められています。たとえば足場の組立て等作業主任者の職務は、材料の欠点の点検、器具・工具・要求性能墜落制止用器具・保護帽の機能の点検、作業の方法と労働者の配置の決定と作業の進行状況の監視、要求性能墜落制止用器具と保護帽の使用状況の監視です(労働安全衛生規則 第566条。解体の作業のときは材料の点検を除く)。
▶ 職長・安全衛生責任者・特別教育とはどう違いますか?
作業主任者は「特定の作業ごとに、資格者を選んで指揮させる」制度で、教育の制度とは根拠条文が異なります。現場では同じ人が複数の役割を兼ねることが多いため、条文上の区分を次の表で整理します。
| 制度 | 何をするものか | 資格・教育 | 根拠条文 |
|---|---|---|---|
| 作業主任者 | 政令で定める作業について、労働者の指揮などを行う | 免許または技能講習の修了 | 労働安全衛生法 第14条 |
| 職長等 | 政令で定める業種で、作業中の労働者を直接指導・監督する(作業主任者を除く) | 職長等教育 | 労働安全衛生法 第60条 |
| 安全衛生責任者 | 統括安全衛生責任者が選任される現場で、請負人が選任し、統括安全衛生責任者との連絡などを行う | 第16条に免許・技能講習の要件の定めはない | 労働安全衛生法 第16条 |
| 特別教育 | 危険・有害な業務に就く労働者が受ける教育 | 事業者が行う特別教育 | 労働安全衛生法 第59条第3項・労働安全衛生規則 第36条 |
特別教育と技能講習の違いは特別教育と技能講習の違い、職長等教育の対象と時間は職長・安全衛生責任者教育で解説しています。
■ 作業主任者の一覧(安衛令6条・安衛則別表第1)
労働安全衛生法施行令 第6条の31の号と、労働安全衛生規則 別表第1の名称・資格を、分野ごとに3つの表にまとめました。「選任が必要な作業」の欄には、条文で範囲を決めている高さ・台数・規模などの条件と、主な除外を書いています。名称で数えると33種類(特定化学物質作業主任者(特別有機溶剤等関係)を別に数えた場合)です。資格の欄の「免許」は都道府県労働局長の免許、「技能講習」は都道府県労働局長の登録を受けた者(登録教習機関)が行う技能講習を指します。
▶ 建設・土木の作業主任者一覧
建設・土木の作業主任者は14種類で、高圧室内作業主任者だけが免許、残りは技能講習の修了者から選任します。高さ5m以上・支間30m以上といった条件を下回る作業は、この表の作業主任者の選任対象にはなりません。
| 施行令 第6条 | 選任が必要な作業(条件) | 作業主任者の名称 | 必要な資格 |
|---|---|---|---|
| 第1号 | 潜函工法その他の圧気工法による作業(大気圧を超える気圧下の作業室またはシャフトの内部で行うものに限る) | 高圧室内作業主任者 | 免許(高圧室内作業主任者免許) |
| 第8号の2 | コンクリート破砕器を用いて行う破砕 | コンクリート破砕器作業主任者 | 技能講習(コンクリート破砕器作業主任者技能講習) |
| 第9号 | 掘削面の高さが2m以上となる地山の掘削(ずい道・たて坑以外の坑の掘削と第11号の作業を除く) | 地山の掘削作業主任者 | 技能講習(地山の掘削及び土止め支保工作業主任者技能講習) |
| 第10号 | 土止め支保工の切りばり・腹起こしの取付け・取り外し | 土止め支保工作業主任者 | 技能講習(地山の掘削及び土止め支保工作業主任者技能講習) |
| 第10号の2 | ずい道等の掘削と、これに伴うずり積み・ずい道支保工の組立て・ロックボルトの取付け・コンクリート等の吹付け(掘削用機械を用いる掘削のうち労働者が切羽に近接せずに行うものを除く) | ずい道等の掘削等作業主任者 | 技能講習(ずい道等の掘削等作業主任者技能講習) |
| 第10号の3 | ずい道型枠支保工の組立て・移動・解体と、これに伴うコンクリートの打設 | ずい道等の覆工作業主任者 | 技能講習(ずい道等の覆工作業主任者技能講習) |
| 第11号 | 掘削面の高さが2m以上となる、採石法第2条の岩石の採取のための掘削 | 採石のための掘削作業主任者 | 技能講習(採石のための掘削作業主任者技能講習) |
| 第14号 | 型枠支保工の組立て・解体 | 型枠支保工の組立て等作業主任者 | 技能講習(型枠支保工の組立て等作業主任者技能講習) |
| 第15号 | つり足場(ゴンドラのつり足場を除く)・張出し足場・高さ5m以上の構造の足場の組立て・解体・変更 | 足場の組立て等作業主任者 | 技能講習(足場の組立て等作業主任者技能講習) |
| 第15号の2 | 金属製の部材で構成される建築物の骨組み・塔(高さ5m以上)の組立て・解体・変更 | 建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者 | 技能講習(建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者技能講習) |
| 第15号の3 | 金属製の部材で構成される橋梁の上部構造(高さ5m以上または支間30m以上の部分)の架設・解体・変更 | 鋼橋架設等作業主任者 | 技能講習(鋼橋架設等作業主任者技能講習) |
| 第15号の4 | 軒の高さ5m以上の木造建築物の構造部材の組立てと、これに伴う屋根下地・外壁下地の取付け | 木造建築物の組立て等作業主任者 | 技能講習(木造建築物の組立て等作業主任者技能講習) |
| 第15号の5 | 高さ5m以上のコンクリート造の工作物の解体・破壊 | コンクリート造の工作物の解体等作業主任者 | 技能講習(コンクリート造の工作物の解体等作業主任者技能講習) |
| 第16号 | コンクリート造の橋梁の上部構造(高さ5m以上または支間30m以上の部分)の架設・変更 | コンクリート橋架設等作業主任者 | 技能講習(コンクリート橋架設等作業主任者技能講習) |
地山の掘削作業主任者と土止め支保工作業主任者は、名称は別ですが、資格は同じ「地山の掘削及び土止め支保工作業主任者技能講習」です。足場の作業主任者の職務と能力向上教育は足場の組立て等作業主任者能力向上教育で、作業者が受ける特別教育は足場の組立て等特別教育で解説しています。
▶ 機械・設備・荷役・林業の作業主任者一覧
機械・設備の作業主任者は、事業場が持つ機械の台数や設備の規模で選任の要否が決まるものが多いのが特徴です。設備の台数や仕様が変わったときは、選任の要否を見直してください。
| 施行令 第6条 | 選任が必要な作業(条件) | 作業主任者の名称 | 必要な資格 |
|---|---|---|---|
| 第2号 | アセチレン溶接装置またはガス集合溶接装置を用いて行う金属の溶接・溶断・加熱 | ガス溶接作業主任者 | 免許(ガス溶接作業主任者免許) |
| 第3号 | 機械集材装置または運材索道で、原動機の定格出力7.5kW超、支間の斜距離の合計350m以上、最大使用荷重200kg以上のいずれかに該当するものの組立て・解体・変更・修理と、これらによる集材・運材 | 林業架線作業主任者 | 免許(林業架線作業主任者免許) |
| 第4号 | ボイラー(小型ボイラーを除く)の取扱い | ボイラー取扱作業主任者 | 免許(特級・一級・二級ボイラー技士。伝熱面積の合計で区分)/一部のボイラーのみの場合はボイラー取扱技能講習も可 |
| 第6号 | 木材加工用機械(丸のこ盤・帯のこ盤・かんな盤・面取り盤・ルーター。携帯用を除く)を5台以上(自動送材車式帯のこ盤を含む場合は3台以上)有する事業場での当該機械による作業 | 木材加工用機械作業主任者 | 技能講習(木材加工用機械作業主任者技能講習) |
| 第7号 | 動力により駆動されるプレス機械を5台以上有する事業場での当該機械による作業 | プレス機械作業主任者 | 技能講習(プレス機械作業主任者技能講習) |
| 第8号 | 乾燥設備による物の加熱乾燥(危険物等に係るものは内容積1m3以上。それ以外は燃料の最大消費量が固体毎時10kg・液体毎時10L・気体毎時1m3以上、または電力の定格消費電力10kW以上) | 乾燥設備作業主任者 | 技能講習(乾燥設備作業主任者技能講習) |
| 第12号 | 高さ2m以上のはいのはい付け・はい崩し(小麦・大豆・鉱石等のばら物の荷と、荷役機械の運転者のみで行う作業を除く) | はい作業主任者 | 技能講習(はい作業主任者技能講習) |
| 第13号 | 船舶への荷の積込み・荷卸し・船内での荷の移動(総トン数500トン未満の船舶において揚貨装置を用いないで行うものを除く。船員室の増設等で500トン以上510トン未満となった一部の船舶を含む) | 船内荷役作業主任者 | 技能講習(船内荷役作業主任者技能講習) |
| 第17号 | 第一種圧力容器(小型圧力容器と一定の内容積以下のものを除く)の取扱い | 第一種圧力容器取扱作業主任者 | 化学設備に係るもの:技能講習(化学設備関係第一種圧力容器取扱作業主任者技能講習)/それ以外:ボイラー技士免許(特級・一級・二級)、または化学設備関係・普通第一種圧力容器取扱作業主任者技能講習 |
はい作業主任者の選任が必要な高さ2m以上のはいに対し、作業者側の教育は荷役運搬機械はい作業安全教育で解説しています。製造業の現場で必要な教育の全体像は製造業で必要な資格・特別教育 一覧にまとめています。
▶ 化学物質・酸欠・放射線の作業主任者一覧
化学物質や有害な環境での作業主任者は、同じ号の中でも作業の内容によって資格と名称が分かれるものがあります。特定化学物質(第18号)と酸素欠乏危険場所(第21号)は、表の下の補足もあわせて確認してください。
| 施行令 第6条 | 選任が必要な作業(条件) | 作業主任者の名称 | 必要な資格 |
|---|---|---|---|
| 第5号 | 令別表第2第1号・第3号の放射線業務(医療用または波高値による定格管電圧が1,000kV以上のエックス線を発生させる装置を使用するものを除く) | エックス線作業主任者 | 免許(エックス線作業主任者免許) |
| 第5号の2 | ガンマ線照射装置を用いて行う透過写真の撮影 | ガンマ線透過写真撮影作業主任者 | 免許(ガンマ線透過写真撮影作業主任者免許) |
| 第18号 | 特定化学物質(令別表第3)の製造・取扱い(試験研究のための取扱いなどを除く) | 特定化学物質作業主任者 | 技能講習(特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者技能講習。限定技能講習を除く) |
| このうち金属アーク溶接等作業(金属のアーク溶接、アークによる溶断・ガウジングなど溶接ヒュームを製造し、または取り扱う作業) | 金属アーク溶接等作業主任者 | 技能講習(特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者技能講習。金属アーク溶接等作業主任者限定技能講習を含む) | |
| このうち特別有機溶剤等を製造し、または取り扱う作業 | 特定化学物質作業主任者(特別有機溶剤等関係) | 技能講習(有機溶剤作業主任者技能講習) | |
| 第19号 | 令別表第4第1号〜第10号の鉛業務(遠隔操作によって行う隔離室におけるものを除く) | 鉛作業主任者 | 技能講習(鉛作業主任者技能講習) |
| 第20号 | 令別表第5第1号〜第6号・第8号の四アルキル鉛等業務(遠隔操作によって行う隔離室におけるものを除く。第6号の業務はドラム缶その他の容器の積卸しに限る) | 四アルキル鉛等作業主任者 | 技能講習(特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者技能講習) |
| 第21号 | 令別表第6の酸素欠乏危険場所における作業 | 酸素欠乏危険作業主任者 | 技能講習(酸素欠乏危険作業主任者技能講習または酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習)※一部の場所は後者に限る |
| 第22号 | 屋内作業場、タンク、船倉、坑の内部などで、令別表第6の2の有機溶剤(これを重量の5%を超えて含有するものを含む)を製造し、または取り扱う業務のうち省令で定めるもの | 有機溶剤作業主任者 | 技能講習(有機溶剤作業主任者技能講習) |
| 第23号 | 石綿等(石綿をその重量の0.1%を超えて含有する製剤その他の物を含む)を取り扱う作業(試験研究のための取扱いを除く)、試験研究のための製造の作業など | 石綿作業主任者 | 技能講習(石綿作業主任者技能講習) |
【例外規定】
酸素欠乏危険場所のうち、令別表第6第3号の3・第9号・第12号に掲げる場所(第12号の場所は、酸素欠乏症と硫化水素中毒にかかるおそれのある場所として厚生労働大臣が定める場所に限る)での作業は、酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習の修了者から選任します(労働安全衛生規則 別表第1)。酸素欠乏危険作業主任者技能講習だけの修了者は、この場所の作業主任者になれません。
有機溶剤作業主任者の能力向上教育は有機溶剤作業主任者能力向上教育、特定化学物質作業主任者の能力向上教育は特化則作業主任者能力向上教育、酸素欠乏危険場所で作業する人の教育は酸素欠乏危険作業特別教育で解説しています。
■ 作業主任者の免許と技能講習の区分
作業主任者の資格は「免許」と「技能講習」の2種類です。手配の段取りが大きく違うため、選任予定の作業がどちらに当たるかを先に確認します。
▶ 免許が必要な作業主任者はどれですか?
免許が必要なのは、高圧室内・ガス溶接・林業架線・エックス線・ガンマ線透過写真撮影の5つの作業主任者と、ボイラー取扱作業主任者(原則としてボイラー技士免許)です。第一種圧力容器取扱作業主任者は、化学設備に係るものは技能講習、それ以外はボイラー技士免許または技能講習から選べます(労働安全衛生規則 別表第1)。
| 資格の区分 | 作業主任者 | 手配の主な流れ |
|---|---|---|
| 免許のみ | 高圧室内作業主任者/ガス溶接作業主任者/林業架線作業主任者/エックス線作業主任者/ガンマ線透過写真撮影作業主任者 | 都道府県労働局長の免許を受ける。取得方法(試験・受験資格など)は免許ごとに異なる |
| 免許が原則・一部は技能講習も可 | ボイラー取扱作業主任者 | 伝熱面積の合計に応じて特級・一級・二級ボイラー技士。令第20条第5号イ〜ニに掲げるボイラーのみを取り扱う作業はボイラー取扱技能講習の修了者も可 |
| 免許または技能講習 | 第一種圧力容器取扱作業主任者(化学設備に係るもの以外) | ボイラー技士免許、または化学設備関係・普通第一種圧力容器取扱作業主任者技能講習 |
| 技能講習のみ | 上記以外の作業主任者 | 登録教習機関の技能講習を修了する。講習ごとに受講資格(実務経験など)や修了試験の有無を確認 |
ボイラーの伝熱面積の区分は、500m2以上は特級、25m2以上500m2未満は特級または一級、25m2未満は特級・一級・二級のいずれかのボイラー技士免許です(貫流ボイラーのみを取り扱う場合は、伝熱面積の合計が500m2以上でも特級または一級で足ります。伝熱面積の合計は、貫流ボイラーは実際の伝熱面積の10分の1とするなどの算定方法がボイラー及び圧力容器安全規則 第24条第2項に定められています)。また、圧縮水素・圧縮天然ガス・液化天然ガスを燃料とする自動車の燃料装置に用いる第一種圧力容器などの取扱いは、特定第一種圧力容器取扱作業主任者免許を受けた者から選任することもできます(労働安全衛生規則 第16条第2項)。
▶ 技能講習を修了すれば作業主任者になりますか?
修了しただけではなりません。技能講習の修了や免許は作業主任者になれる「資格」で、作業主任者になるのは事業者がその作業について選任したときです(労働安全衛生法 第14条)。社内に修了者がいても、選任と職務の指示、氏名等の周知をしていなければ、作業主任者を置いたことにはならない点に注意が必要です。
■ 作業主任者の選任義務と罰則
選任しなかった場合の罰則は、作業主任者の制度でもっとも重いリスクです。条文を確認したうえで、選任時に決めておくことを整理します。
▶ 作業主任者を選任しないとどうなりますか?
罰則の対象です。労働安全衛生法 第119条は「六月以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する」と定め、その第1号に第14条が含まれています。さらに第122条の両罰規定により、違反行為をした人だけでなく、法人または事業主にも罰金刑が科されます。
【違反リスク】
作業主任者の選任が必要な作業を、作業主任者を選任しないまま行わせると、労働安全衛生法 第14条違反として第119条第1号(6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金)の対象になり、第122条により法人にも罰金刑が科されます。2025年6月1日の刑法改正の施行により、条文の刑は「拘禁刑」と表記されています。
▶ 作業主任者を2人以上選任したときは何を決めますか?
職務の分担を決めます。労働安全衛生規則 第17条は、別表第1に掲げる一の作業を同一の場所で行う場合に、その作業の作業主任者を2人以上選任したときは「それぞれの作業主任者の職務の分担を定めなければならない」としています。広い足場や長い掘削区間を複数の作業主任者で受け持つ場合は、区域や時間帯などで誰がどこを指揮するかを決め、次の章の周知とあわせて現場に伝えます。
▶ 労働基準監督署への選任報告は必要ですか?
作業主任者の選任・資格・職務の分担・周知を定めた労働安全衛生規則 第16条〜第18条には、労働基準監督署への選任報告の定めはありません(安全管理者や衛生管理者のように、選任報告書を所轄の労働基準監督署長に提出する規定は置かれていません)。求められるのは、資格者からの選任、職務の分担、関係労働者への周知です。なお、元請などから作業主任者の氏名や資格の確認を求められた場合に備えて、選任の記録と免許証・修了証の写しを社内でまとめておくと手配が速くなります。
作業主任者の選任後の教育や、職場の安全衛生教育の進め方に悩んだら、お電話でご相談ください。
📞 042-497-8840 に電話して相談する(相談無料・年中無休・7:00〜21:00)
作業内容をうかがい、必要な教育と受講方法をご案内します。
■ 作業主任者の氏名等の掲示(安衛則18条)
選任した作業主任者は、現場の全員が「誰が、何を担当しているか」を知っていなければ機能しません。そのための周知のルールが労働安全衛生規則 第18条です。
▶ 作業主任者の掲示は義務ですか?
義務なのは関係労働者への周知で、掲示はその方法の例です。条文は、事業者は作業主任者を選任したときは「当該作業主任者の氏名及びその者に行なわせる事項を作業場の見やすい箇所に掲示する等により関係労働者に周知させなければならない」としています(労働安全衛生規則 第18条)。現場では掲示板への掲示が一般的ですが、朝礼での伝達や書面の配布などと組み合わせると、後から入場した人にも伝わりやすくなります。
▶ 掲示には何を書けばよいですか?
条文で求められているのは「氏名」と「行わせる事項」の2つです。それ以外の項目は、現場の運用で加えると確認しやすくなるものとして、区別して記載します。
| 項目 | 記載例 | 位置づけ |
|---|---|---|
| 作業主任者の氏名 | 足場の組立て等作業主任者 ○○○○ | 条文で求められる事項(安衛則 第18条) |
| 行わせる事項(職務) | 材料の欠点の点検/器具・工具・墜落制止用器具・保護帽の点検/作業の方法と労働者の配置の決定、進行状況の監視/墜落制止用器具・保護帽の使用状況の監視 | 条文で求められる事項(安衛則 第18条)。内容は各作業の職務の条文(例:安衛則 第566条)による |
| 作業の名称・場所 | 3階外部足場の組立て(東面) | 実務上の追加項目(2人以上選任したときの分担を示すのに便利) |
| 資格の種類 | 足場の組立て等作業主任者技能講習 修了 | 実務上の追加項目 |
| 所属会社 | ○○建設株式会社 | 実務上の追加項目(複数の会社が入る現場で有効) |
【実務ポイント】
作業主任者が交代したとき、作業の内容が変わったときは、掲示も書き換えます。掲示板に古い氏名が残っていると、周知していないのと同じ状態になります。建設現場の掲示物全体の考え方は工事現場の看板義務の記事もあわせて確認してください。
■ 作業主任者の能力向上教育(安衛法19条の2)
作業主任者に選任された後、法令の改正や新しい設備・災害事例に合わせて知識を新しくするための仕組みとして、労働安全衛生法 第19条の2の能力向上教育があります。
▶ 作業主任者の能力向上教育は義務ですか?
努力義務です。労働安全衛生法 第19条の2第1項は、事業者は安全管理者、衛生管理者、安全衛生推進者、衛生推進者「その他労働災害の防止のための業務に従事する者」に対し、能力の向上を図るための教育、講習等を行い、または受ける機会を与える「ように努めなければならない」としています。第119条・第120条の罰則には第19条の2は挙げられておらず、受講させないこと自体に罰則はありません。
教育の内容は、同条第2項にもとづく「労働災害の防止のための業務に従事する者に対する能力向上教育に関する指針」(平成元年5月22日 能力向上教育指針公示第1号、最終改正 平成18年3月31日 同第5号)で示されています。指針は対象者に作業主任者を挙げ、教育の種類を、初めて業務に従事するときの「初任時」、従事した後一定期間ごとの「定期」、事業場で機械設備等に大幅な変更があったときの「随時」に分けています。時間は原則として1日程度、原則として就業時間内に行い、記録は個人別に保存するとされています。
▶ 能力向上教育のカリキュラムがある作業主任者はどれですか?
指針の別表にカリキュラムがある作業主任者は次の15種類で、いずれも「定期又は随時」の教育です(作業主任者の初任時教育の別表はありません)。
| 指針の別表 | 作業主任者能力向上教育(定期又は随時) | 合計時間 |
|---|---|---|
| 別表3・4 | ガス溶接作業主任者/林業架線作業主任者 | 各6.0時間 |
| 別表5〜8 | ボイラー取扱作業主任者/木材加工用機械作業主任者/プレス機械作業主任者/乾燥設備作業主任者 | 各7.0時間 |
| 別表9〜12 | 採石のための掘削作業主任者/船内荷役作業主任者/足場の組立て等作業主任者/木造建築物の組立て等作業主任者 | 各7.0時間 |
| 別表13 | 普通第一種圧力容器取扱作業主任者 | 6.0時間 |
| 別表14 | 化学設備関係第一種圧力容器取扱作業主任者 | 7.0時間 |
| 別表17〜19 | 特定化学物質作業主任者/鉛作業主任者/有機溶剤作業主任者 | 各7.0時間 |
指針は「一定期間ごと」とし、年数は書いていません。足場の組立て等作業主任者については、厚生労働省が公表した資料(資料3-2「足場の安全点検に関係する講習等の内容等について」)で「一定期間ごと(5年)」と示された例があります。科目と時間の内訳、受講の時期の考え方は、当サイトの足場の組立て等作業主任者能力向上教育、有機溶剤作業主任者能力向上教育、特化則作業主任者能力向上教育で詳しく解説しています。
■ 作業主任者の選任チェックリスト
新しい工事や設備の導入が決まったときに、安全衛生担当者が確認する順に並べています。
- 予定している作業が、労働安全衛生法施行令 第6条のどの号に当たるかを確認した(高さ・台数・規模の条件を含む)
- 必要な資格が免許か技能講習かを、労働安全衛生規則 別表第1で確認した(ボイラー・第一種圧力容器・特定化学物質・酸素欠乏は区分に注意)
- 社内に資格者がいるか、免許証・技能講習修了証の原本または写しで確認した
- 資格者がいない場合、免許の取得や技能講習の受講が着工・作業開始に間に合うか、日程を確認した
- 作業ごとに作業主任者を選任し、行わせる職務を本人に伝えた
- 同じ場所の一の作業に2人以上選任した場合、職務の分担を決めた(安衛則 第17条)
- 氏名と行わせる事項を、作業場の見やすい箇所への掲示などで関係労働者に周知した(安衛則 第18条)
- 作業に従事する労働者に必要な特別教育などが、作業主任者とは別に済んでいるか確認した
- 選任から一定期間たった作業主任者について、能力向上教育(定期)の受講計画を検討した
■ よくある質問
▶ Q. 作業主任者は全部で何種類ありますか?
選任が必要な作業は労働安全衛生法施行令 第6条の31の号で、労働安全衛生規則 別表第1に掲げる名称で数えると33種類です(特定化学物質作業主任者(特別有機溶剤等関係)を別に数えた場合)。地山の掘削と土止め支保工のように、名称は別でも資格が共通のものがあります。
▶ Q. 作業主任者に職長教育は必要ですか?
労働安全衛生法 第60条の職長等教育は、対象者を「作業中の労働者を直接指導又は監督する者(作業主任者を除く。)」としており、作業主任者として指揮する立場は条文上この対象から除かれています。ただし、同じ人が作業主任者の選任対象ではない作業で職長として指導・監督する場合は、その立場について職長等教育の要否を確認してください。
▶ Q. 作業主任者がいれば、作業者の特別教育は不要ですか?
不要にはなりません。作業主任者の選任(労働安全衛生法 第14条)と、危険・有害な業務に就く労働者への特別教育(同 第59条第3項)は別の義務です。たとえば足場の組立て等の業務(労働安全衛生規則 第36条第39号)や酸素欠乏危険場所における作業(同 第26号)では、作業主任者の選任とは別に、作業者への特別教育が必要です。未実施の罰則は特別教育を受けさせないと会社はどうなる?で解説しています。
▶ Q. 作業主任者の資格に有効期限や更新はありますか?
労働安全衛生法 第14条と労働安全衛生規則 第16条〜第18条には、技能講習の修了や作業主任者の選任について有効期限や更新の定めはありません。知識を新しくする仕組みとしては、努力義務の能力向上教育(同法 第19条の2)があります。免許証の書替えや再交付の手続きは、所轄の都道府県労働局で確認してください。
▶ Q. 産業技能センターで作業主任者技能講習を受けられますか?
当社では作業主任者技能講習は行っていません。技能講習は都道府県労働局長の登録を受けた登録教習機関で受講してください。当社では、選任後の能力向上教育のうち、足場の組立て等作業主任者・有機溶剤作業主任者・特定化学物質作業主任者の能力向上教育と、作業者向けの特別教育・安全衛生教育をご案内しています。
■ まとめ
作業主任者は、労働安全衛生法施行令 第6条の31の号に当たる作業について、事業者が免許を受けた者または技能講習を修了した者のうちから選任する人です(労働安全衛生法 第14条)。名称と必要な資格は労働安全衛生規則 第16条・別表第1で決まり、免許が必要なのは高圧室内・ガス溶接・林業架線・エックス線・ガンマ線透過写真撮影とボイラー(原則)、それ以外の多くは技能講習の修了者から選任します。
選任しなければ第119条第1号の罰則(6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金)と第122条の両罰規定の対象になります。選任したら、2人以上の場合の職務の分担(安衛則 第17条)と、氏名・行わせる事項の周知(同 第18条)までを一連の手続きとして行い、選任後は能力向上教育(努力義務)で知識を更新していくのが基本の流れです。
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■ 講習のお申込み・ご相談
産業技能センターでは、作業主任者技能講習は行っていません。選任後の能力向上教育(足場の組立て等・有機溶剤・特定化学物質の各作業主任者)と、作業者向けの特別教育・安全衛生教育を、オンライン講習(1名から)と出張講習(関東1都6県は5名様から、遠方は20名様以上が目安)でご案内しています。会場講習は定期の受付を停止しており、人数に応じて近隣会場での開催をご相談いただけます。
職場の安全衛生教育の進め方に悩んだら、お電話でご相談ください。
📞 042-497-8840 に電話して相談する(相談無料・年中無休・7:00〜21:00)
受講人数や日程が決まっていない段階でも、オンライン(1名から)と出張講習(関東1都6県は5名様から)から受講方法をご案内します。
■ 参考情報・公式リソース
| サイト名 | 概要 | リンク |
|---|---|---|
| e-Gov法令検索|労働安全衛生法 | 第14条・第19条の2・第60条・第119条・第122条の条文 | 公式サイト |
| e-Gov法令検索|労働安全衛生法施行令 | 第6条(作業主任者を選任すべき作業)の条文 | 公式サイト |
| e-Gov法令検索|労働安全衛生規則 | 第16条〜第18条・第566条・別表第1の条文 | 公式サイト |
| 安全衛生情報センター|労働安全衛生法 第3章 | 安全衛生管理体制(第10条〜第19条の3)の条文 | 公式サイト |
| 宮城労働局|能力向上教育指針 | 労働災害の防止のための業務に従事する者に対する能力向上教育に関する指針(別表を含む) | 公式サイト |
| 厚生労働省|職場のあんぜんサイト | 安全衛生キーワード「作業主任者」 | 公式サイト |
| 公益財団法人 安全衛生技術試験協会 | 労働安全衛生法にもとづく免許試験の案内 | 公式サイト |
