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建設DXとは|i-Construction 2.0の3本柱・事例と中小企業の進め方

建設DXとは(i-Construction 2.0の3本柱・中小企業の進め方)

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建設DXとは、ICT・データ・AIなどのデジタル技術を使って、建設工事の進め方(調査・測量から設計、施工、検査、維持管理まで)と働き方を変えていく取組です。国土交通省は「i-Construction 2.0」(2024年4月策定)で、2040年度までに建設現場の省人化を少なくとも3割、すなわち生産性を1.5倍に向上することを目標に掲げています。

「建設DXと言われても、何から手を付ければいいか分からない」という建設会社の経営者・現場責任者・安全担当の方に向けて、国土交通省の公表資料と建設業法の条文(いずれも2026年11月4日に確認)をもとに、建設DXの意味、i-Construction 2.0の3本柱と最新の数字、法律で決まったICTのルール、中小企業の始め方、そしてDXを進めても変わらない安全衛生のルールを整理しました。

よくあるご質問はよくある問い合わせ、個別のご相談はお問い合わせページからどうぞ。

■ この記事でわかること

  • 建設DXの意味と、i-Construction・インフラ分野のDXとの違い
  • i-Construction 2.0の目標(2040年度に省人化3割)と3本柱
  • 2025年度の成果と2026年度の重点(AI活用・中小企業への普及)
  • 建設業法で決まったICT活用の努力義務と、監理技術者等の専任の合理化
  • 中小建設会社の進め方と、DXを進めても変わらない安全衛生のルール

■ 建設DX・i-Construction・i-Construction 2.0の早見表

名前何か始まり・根拠目標・中身
建設DXデジタル技術で建設の仕事の進め方・働き方を変える取組の総称法令上の定義はない(一般的な呼び方)会社・現場ごとに目的を決めて進める
インフラ分野のDX国土交通省が進める、インフラまわりをデジタルで変える取組インフラ分野のDXアクションプラン(第2版は2023年8月)管理者の働き方、利用者へのサービス・手続まで含めて変える
i-Construction建設現場の生産性向上の取組(ICT施工など)2016年度〜2025年度までに建設現場の生産性を2割向上
i-Construction 2.0建設現場のオートメーション化2024年4月策定2040年度までに省人化を少なくとも3割(生産性1.5倍)/3本柱:施工・データ連携・施工管理のオートメーション化
建設業法のICT規定情報通信技術の活用に関するルール建設業法 第25条の28ほか(2024年12月13日施行)特定建設業者(公共工事はすべての建設業者)にICT活用の努力義務/一定の条件で監理技術者等の2現場兼任

■ 建設DXとは

▶ 建設DXの意味

結論として、建設DXは「デジタル技術で建設の仕事の進め方と働き方を変えること」です。「建設DX」という言葉そのものに法令上の定義はありません。国土交通省は「インフラ分野のDX」を、デジタル技術を活用して、管理者側の働き方や利用者に提供するサービス・手続も含めて、インフラまわりをスマートに変えるもの、と説明しています(国土交通白書2025)。

紙の図面や書類を電子にするだけ(デジタル化)ではなく、データを使って段取りや確認の仕方そのものを変え、少ない人数で安全に工事を回せるようにするところまでがDXの目的です。

▶ i-Constructionとi-Construction 2.0の違い

結論として、i-Constructionは「ICTで生産性を2割上げる」取組、i-Construction 2.0は「オートメーション化で省人化3割をめざす」取組です。国土交通省は2016年度からi-Constructionを進め、2024年4月に、人口減少を前提にした次の段階としてi-Construction 2.0を策定しました。

i-Construction 2.0の資料では、これまでの成果として、2022年度に、ICT施工が可能な直轄土木工事の87%でICT施工が行われたこと(2015年度比で平均約21%の作業時間短縮)や、都道府県・政令市のICT施工の公告件数が2016年度の84件から2022年度の13,429件に増えたことが示されています。一方で、1人で複数の建設機械を動かす技術や自動化は一般化しておらず、今の取組だけでは生産性向上が頭打ちになる、とも書かれています。

■ 建設DXが必要とされる理由

▶ 働き手が減る

結論として、2040年には生産年齢人口が約2割減る見通しです。i-Construction 2.0の資料は、国立社会保障・人口問題研究所の推計(令和5年推計)をもとに、生産年齢人口が2020年度の約7,509万人から2040年度の約6,213万人へ減ると示しています。建設業は55歳以上の割合が全産業より高い水準で増えており、大量退職による担い手不足が心配されています。

▶ 事故と長時間労働

結論として、建設業では2025年に214人が労働災害で亡くなっています(厚生労働省「令和7年の労働災害発生状況」確定値、2026年5月27日公表)。i-Construction 2.0の資料は、厚生労働省「労働災害統計」(2022年)をもとに、建設機械に起因すると想定される死亡事故がおよそ2割を占めるとしています。同じ資料は、厚生労働省「毎月勤労統計調査」などをもとに、建設業の年間出勤日数が全産業より12日多く、年間総実労働時間が68時間長いことも挙げています。建設機械の自動化・遠隔化で人が危ない場所に入る機会を減らすことは、DXの大きな目的の一つです。

■ i-Construction 2.0の目標と3本柱

i-Construction 2.0は、2040年度までに建設現場の省人化を少なくとも3割、すなわち生産性を1.5倍に向上することをめざし、次の3本柱で進められています(国土交通省 2024年4月16日発表)。本文では「2023年度と比較して」省人化を少なくとも3割、生産性を1.5倍以上とされています。

柱中身(主な取組)現場で変わること
① 施工のオートメーション化建設機械の自動施工・遠隔施工、1人のオペレータが複数の建設機械を管理、メーカーを問わず建機を動かせる共通制御信号の検討、国の直轄工事でのICT施工の原則化(ICT土工・ICT浚渫工(河川)は2025年度から、その他の工種は順次検討)危ない場所に人が入る場面が減る/少ない人数で施工できる
② データ連携のオートメーション化BIM/CIMで調査から維持管理までのデータをつなぐ、3次元モデルと2次元図面の連動、設計データを積算・ICT建機・工場製作に直接使う、情報共有システム(ASP)で書類を減らす同じデータの手入力や紙のやり取りが減る
③ 施工管理のオートメーション化遠隔臨場(立会い・段階確認などをカメラ越しに行う)、画像解析による配筋などの確認、プレキャスト製品の活用現場への移動や立会いの待ち時間が減る

▶ 2024年度・2025年度の成果

結論として、2025年度は遠隔施工が約2倍、自動施工が2倍超に増えています。国土交通省が公表した数字は次のとおりです。

  • 2024年度:成瀬ダムで、3人の管制員が14台の自動化建設機械を稼働させて施工/国土交通省発注工事の21件で遠隔施工を実施/生コンクリートの受入れ検査の画像解析を11件で試行し、受入れ試験に係る人員を削減(例:7人→1人)
  • 2025年度:自動施工9件(前年度4件)、遠隔施工41件(前年度21件)/ICT施工StageⅡ(建設現場のジャストインタイム)は111件(前年度45件)で、そのうち69件は一般土木C等級の企業が実施

▶ 2026年度の重点は「AI活用」と中小企業への普及

結論として、国土交通省は2026年度を「i-Construction 2.0 躍動の年」とし、「AI活用」「規模(企業・工事)に依らない普及」「試行から本格運用へ、さらに原則化へ」を重点に掲げています(2026年4月28日発表)。AIの例として、海底測量のデータの大半のノイズをAIで自動除去する取組(最終的には人がすべての点群データを確認)が示されています。中小企業向けには、小規模工事を対象に、2次元の建設機械による施工など簡易なICT技術を使う「導入型ICT活用工事」の要領を新たに整備するとしており、ICT施工が初めての企業や、自治体の工事を主に受注する企業への導入を促すねらいです。

さらに国土交通省は2026年9月4日、「国土交通省インフラ分野のAI実装に向けた取組方針」を公表し、AIを「現場で働く人の能力を拡張させ生産性向上を加速する基盤」と位置づけました。

■ 法律で決まった建設業のICTルール

2024年に改正された建設業法の一部が2024年12月13日に施行され、ICT(情報通信技術)に関する規定が入りました。

▶ ICT活用は特定建設業者の努力義務

結論として、ICT活用は義務ではなく、特定建設業者の努力義務です(建設業法 第25条の28)。特定建設業者は、工事の施工の管理に関する情報システムの整備など、工事の適正な施工を確保するために必要な情報通信技術の活用に関し必要な措置を講ずるよう努めなければなりません(同条第1項)。発注者から直接請け負った特定建設業者は、下請負人が元請の講ずる措置の実施に必要な措置を講じられるよう、指導に努めるものとされ(第2項)、国土交通大臣はその指針を定めて公表します(第3項)。なお、公共工事では、この努力義務の対象が「特定建設業者」から「建設業者」に読み替えられ、特定建設業の許可がない建設業者も対象になります(公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律 第16条)。

▶ 条件を満たしICTで現場を確認できれば監理技術者等は2現場まで兼任できる

結論として、すべての要件を満たし、ICTで現場の状況を確認できる場合に限り、主任技術者・監理技術者は2現場まで兼任できます(2024年12月13日施行)。もともと専任が必要なのは、公共性のある施設などの重要な工事で請負代金が4,500万円以上(建築一式工事は9,000万円以上)のものです(建設業法 第26条第3項、施行令 第27条)。このうち次の要件をすべて満たす工事が、兼任の対象になります(国土交通省「現場技術者の専任合理化」資料)。

  • 請負代金が1億円未満(建築一式工事は2億円未満)(建設業法 第26条第3項第1号イ、施行令 第28条)
  • 現場間を1日で巡回でき、移動時間がおおむね2時間以内/下請は3次まで/連絡員の配置/ICTで施工体制を確認できる措置/人員配置計画書の作成・備付け(同号ロ、施行規則 第17条の2)
  • 現場の外から映像と音声で現場の状況を確認できる機器と通信環境(同号ハ、施行規則 第17条の3)
  • 兼任できるのは2現場まで(建設業法 第26条第4項、施行令 第30条)

実際に兼任させる前に、国土交通省の資料や許可行政庁で最新の要件を確認してください。

【注意】
「建設DXは法律で義務」と説明されることがありますが、条文上は特定建設業者の「努めなければならない」(努力義務)です(建設業法 第25条の28)。一方、労働安全衛生法の措置義務や教育の義務は、DXを進めても変わりません(次の章)。

■ 現場で進んでいるDXの例

分野取組主な効果
測量ドローン測量・3次元測量ドローン測量は従来手法の約4割の人工で測量できるとされる(i-Construction 2.0資料)
施工ICT施工(マシンガイダンス・マシンコントロール)、自動施工・遠隔施工危険な場所での作業や、建設機械の周りで人が行う作業を減らす
設計・データBIM/CIM、3次元モデルと2次元図面の連動、データを使った積算手戻り・同じデータの手入力を減らす
検査・確認遠隔臨場、画像解析による配筋・生コン受入れの確認移動・立会いの時間と人員を減らす
書類情報共有システム(ASP)、電子納品紙の書類と押印・持参を減らす
AI画像解析・データ処理の自動化(国の取組)、生成AIによる書類の下書き(各社の取組)確認・作成の時間を減らす(最終確認は人が行う)

建設現場でのAIの使い方と各社の事例は、建設業のAI活用事例で整理しています。仕事全般で使えるAIツールは仕事で使えるAIツール15選で紹介しています。

■ 中小建設会社の建設DXの進め方

中小の建設会社が大きなシステムを一度に入れるのは負担が大きいため、困っている作業を1つ決めて、小さく試し、効果を数字で確かめてから広げる進め方が現実的です。国も、小規模工事向けに簡易な技術から始められる「導入型ICT活用工事」の要領を整備するとしており、規模に依らない普及を重点にしています。

  1. 困りごとを1つ決める:例)写真整理と書類作成に毎日2時間かかっている、立会いの待ち時間が長い
  2. 今の時間・回数を測る:導入前の数字がないと、効果を判断できません
  3. 小さく試す:1現場・1チームで、無料プランや試用期間のあるツールから試す
  4. 現場のルールを決める:だれが入力し、だれが確認するか。データやカメラ映像の扱い(個人情報を含む場合)も決める
  5. 効果を測って広げる:時間・手戻り・ヒヤリハットの件数などで比べ、効果があれば他の現場へ
  6. 人を育てる:新しい機械や手順を使う人に、操作と安全のルールを教える(次の章)

■ DXを進めても変わらない安全衛生のルール

▶ 事業者の危険防止の措置義務は残る

結論として、DXやAIを入れても、事業者の危険防止の義務はなくなりません。労働安全衛生法 第20条は、事業者に、機械・器具その他の設備による危険などを防止するため必要な措置を講じることを義務づけています。カメラやセンサーは、立入禁止の措置や誘導、点検などの法令で決まった措置を助ける道具であり、置き換えるものではありません。

▶ 特別教育・作業内容変更時の教育

結論として、厚生労働省令で定める危険・有害な業務(労働安全衛生規則 第36条)に就かせるときの特別教育は、DXの有無にかかわらず必要です(労働安全衛生法 第59条第3項)。また、労働者の作業内容を変更したときは、雇入れ時と同じく安全衛生教育を行う義務があります(同条第2項、労働安全衛生規則 第35条)。新しい機械やICTの導入で作業設備や作業方法が大きく変わる場合はこれに当たりうるため、どの教育が必要かを整理してから現場に入れてください(十分な知識・技能がある事項は省略できます:同規則 第35条第2項)。

【実務ポイント】
建設現場で必要な特別教育の一覧は建設業で必要な特別教育一覧、全59号の一覧は特別教育・技能講習の一覧で確認できます。新しい機械を入れたときは、小型車両系建設機械特別教育や車両系建設機械の安全衛生教育など、機械に合った教育の要否もあわせて確認しましょう。

DXで現場の機械や手順が変わり、どの教育が必要か迷ったら、お電話でご相談ください。
📞 042-497-8840 に電話して相談する(相談無料・年中無休・7:00〜21:00)
作業内容と人数をうかがい、必要な特別教育・安全衛生教育と受講の段取りをご案内します。

DXで集めたデータは、KY活動、安全パトロール、ヒヤリハットの記録とあわせて使うと、事故の芽を早く見つけやすくなります。

■ よくある質問

▶ Q. 建設DXとi-Constructionの違いは?

結論として、建設DXは取組全体の呼び方で、i-Constructionは国土交通省の具体的な施策の名前です。i-Constructionは2016年度に始まり、2024年4月からはオートメーション化を柱とするi-Construction 2.0に進んでいます。

▶ Q. 建設DXは法律で義務ですか?

結論として、義務ではありません。建設業法 第25条の28で、特定建設業者に情報通信技術の活用に関する措置の努力義務(努めなければならない)が定められています(2024年12月13日施行)。公共工事では、特定建設業者以外の建設業者も対象です(入札契約適正化法 第16条)。

▶ Q. i-Construction 2.0の目標は?

結論として、2040年度までに建設現場の省人化を少なくとも3割、すなわち生産性を1.5倍に向上することです。施工・データ連携・施工管理のオートメーション化を3本柱にしています。

▶ Q. 中小の建設会社は何から始めればいいですか?

結論として、困っている作業を1つ決めて、導入前の時間を測り、1現場で小さく試すのが始めやすい方法です。国も、小規模工事向けに簡易な技術から始める「導入型ICT活用工事」の要領を整備するとしています。

▶ Q. DXを進めれば安全教育は減らせますか?

結論として、減らせません。特別教育(労働安全衛生法 第59条第3項)や事業者の危険防止の措置(同法 第20条)はDXの有無にかかわらず必要です。作業内容を変更したときは、作業内容変更時の教育(第59条第2項)も行う必要があります。

■ まとめ

  • 建設DXは、デジタル技術で建設の仕事の進め方と働き方を変える取組。言葉そのものに法令上の定義はない。
  • i-Construction 2.0は、2040年度までに省人化を少なくとも3割(生産性1.5倍)が目標。3本柱は施工・データ連携・施工管理のオートメーション化。
  • 2025年度は自動施工9件・遠隔施工41件に増え、2026年度は「AI活用」と規模に依らない普及が重点。2026年9月にはAI実装の取組方針も公表。
  • 建設業法では、特定建設業者(公共工事は建設業者)にICT活用の努力義務(第25条の28、入契法 第16条)。金額・移動時間・ICTなどの要件をすべて満たせば、監理技術者等は2現場まで兼任できる(第26条第3項第1号・第4項)。
  • DXを進めても、危険防止の措置(安衛法 第20条)、特別教育(第59条第3項)、作業内容変更時の教育(第59条第2項)は変わらない。

■ 講習のご相談

産業技能センターでは、建設現場で必要な特別教育・安全衛生教育を行っています。多くの科目で1名様8,000円〜(税込・教材費・修了証発行費込み)です。技能講習修了者の安全衛生教育や管理者・主任者の能力向上教育などは、オンライン講習(Google Meet)で1名様から受講でき、出張講習は関東1都6県で5名様からです。受講方法はオンライン講習のご案内をご覧ください。

現場の安全衛生教育の進め方に悩んだら、お電話でご相談ください。
📞 042-497-8840 に電話して相談する(相談無料・年中無休・7:00〜21:00)
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■ 参考(一次情報・2026年11月4日確認)

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