道路工事の看板(工事標示板・迂回路の標示板など)の設置基準とは、国の通知「道路工事現場における標示施設等の設置基準」(昭和37年8月30日 道発第372号 建設省道路局長通知、平成18年3月31日 国道利第37号・国道国防第205号で一部改正)のことです。この基準では、道路工事を行う場合、必要な道路標識に加えて、工事内容・工事期間・工事種別・施工主体・施工業者の5項目を示す標示板を、原則として工事区間の起終点に設置するとされています。
ただし、この基準は国から道路管理者への通知で、法律・政令で看板の様式を定めたものではありません。実際の記載事項・寸法・設置位置は、発注者の仕様書と、道路使用許可(道路交通法 第77条)・道路占用許可(道路法 第32条)の条件で決まります。この記事では、通知の原文で確認した記載事項・寸法・色・設置位置と、許可との関係、工事担当者のチェックリストをまとめます。
ご不明点はよくある質問、個別のご相談は問い合わせページからどうぞ。
■ この記事でわかること
- 道路工事の看板の種類と、道路標識(標識令)・工事標示板(国の通知)・工事看板(仕様書)の違い
- 工事標示板に書く5項目と、様式の寸法・色・設置位置
- 迂回路の標示板、歩行者向けの工事情報看板・工事説明看板、バリケードの色
- 道路使用許可・道路占用許可の条件と、道路法施行令 第13条の安全措置
- 発注者の仕様書による上乗せの例と、着工前から撤去までのチェックリスト
■ 道路工事の看板の種類と設置基準の早見表
道路工事の現場に立つ看板は、根拠ごとに次のように分けられます。上の3つが国の通知「道路工事現場における標示施設等の設置基準」と平成18年の関連通知で示されたもの、下の2つは別の法令によるものです。
| 看板・標識 | 主な対象 | 設置する場所・時期 | 様式の寸法・色(通知の様式) | 根拠・位置づけ |
|---|---|---|---|---|
| 工事標示板 | ドライバーなど道路利用者 | 原則として工事区間の起終点 | 様式1:高さ140cm・幅110〜114cm程度(掲載資料により幅の記載が異なる)/工事種別・挨拶文は青地に白抜き文字、工事内容・期間は青色文字、地は白 | 設置基準 1(国の通知・運用) |
| 迂回路の標示板 | 迂回する車両 | 迂回路を必要とする期間中、迂回路の入口 | 様式2:高さ140cm・幅110cm程度/矢印は赤、その他の文字・記号は青、地は白 | 設置基準 3(国の通知・運用) |
| 工事情報看板・工事説明看板 | 歩行者・沿道の住民 | 工事開始の約1週間前から工事終了まで、現場付近(ドライバーから看板内容が見えないように) | 国道利第38号の様式1〜4:140cm×55cm程度の縦長/挨拶文は青地に白抜き文字、工事内容は青色文字、地は白 | 平成18年3月31日 国道利第38号・国道国防第206号(国の通知・運用) |
| 道路標識(案内標識「まわり道」120-A・120-B、警戒標識「道路工事中」213、通行止めなどの規制標識) | 道路の利用者全般 | 迂回路の途中の交差点、工事箇所の手前など | 標識令の様式による | 道路標識、区画線及び道路標示に関する命令(設置者は道路管理者・公安委員会) |
| 建設業許可票・労災保険関係成立票など | 工事の関係者・公衆 | 建設工事の現場 | 各法令の様式による | 建設業法・労働保険徴収法施行規則など(道路工事に限らない) |
建設業許可票・労災保険関係成立票など、法律で掲示が定められた看板は工事現場の看板義務で詳しく解説しています。この記事では、道路工事に特有の標示施設を扱います。
■ 道路工事看板の設置基準とは(国の通知の位置づけ)
道路工事の看板については、法律や政令で「この大きさ・この記載で掲示せよ」と一律に定めた条文はありません。国の通知が全国の道路管理者の運用のよりどころになり、各発注者がそれをもとに仕様書・独自基準を作っている、という関係です。
▶ 「道路工事現場における標示施設等の設置基準」とは
結論として、道路工事現場の標示板・防護施設の記載事項や色を定めた国の通知です(昭和37年8月30日 道発第372号 建設省道路局長通知)。平成18年3月31日に国道利第37号・国道国防第205号で一部改正され、同日付けの国道利第38号・国道国防第206号(道路局路政課長、国道・防災課長)で、歩行者向けの工事情報看板・工事説明看板の設置が示されました。改正は平成18年4月1日から施行されています。
国土交通省は平成18年3月31日の報道発表で、2006年4月から全国の国道の路上工事に新しい工事看板を導入し、「何の工事を、何の目的で行っているか」を分かりやすく示し、工事の終了時期を目立つように強調すると説明しています。現在の工事標示板が「○○をなおしています」「○月○日まで」のように工事内容と終了日を大きく書く形になっているのは、この改正によるものです。
| 通知 | 日付・番号 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 道路工事現場における標示施設等の設置基準 | 昭和37年8月30日 道発第372号(建設省道路局長通知) | 工事標示板・防護施設・迂回路の標示・色彩・管理 |
| 同基準等の一部改正 | 平成18年3月31日 国道利第37号・国道国防第205号(道路局長) | 標示事項・様式の見直し(平成18年4月1日施行) |
| 工事情報看板・工事説明看板の設置について | 平成18年3月31日 国道利第38号・国道国防第206号(道路局路政課長、国道・防災課長) | 歩行者・沿道向けの看板、占用工事の取扱い |
▶ 道路標識と工事標示板の違い
結論として、道路標識は標識令で種類・様式・設置者が決まった標識で、工事標示板は国の通知にもとづく工事の案内板です。道路標識は「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令」(昭和35年総理府・建設省令第3号。以下「標識令」)で、本標識(案内標識・警戒標識・規制標識・指示標識)と補助標識に分けられています(標識令 第1条)。
設置者も決まっています。案内標識・警戒標識と、規制標識のうち「危険物積載車両通行止め」「最大幅」「重量制限」「高さ制限」などは道路管理者が、「最高速度」「駐車禁止」などの規制標識は都道府県公安委員会が設置し、それ以外は道路管理者または公安委員会が設置するとされています(標識令 第4条)。工事のために車線規制や通行止めを行う場合の規制標識は、道路使用許可・占用許可の条件や、警察・道路管理者との協議で設置内容が決まります。
【注意】
工事標示板・工事看板は、道路標識の代わりにはなりません。国の設置基準も「必要な道路標識を設置するほか」標示板を設置するとしています。工事看板に「通行止め」「徐行」などと書いても、それだけで標識令の規制標識を設置したことにはならないため、規制の内容と標識の設置者は許可条件・協議の結果で確認してください。
■ 工事標示板の記載内容・寸法・色・設置位置
工事標示板は、ドライバーなどの道路利用者に「何の工事を、いつまで行うか」を知らせる看板です。国の設置基準の「1 道路工事の標示」と別表様式1の内容を整理します。
▶ 工事標示板の記載内容(5項目)
結論として、工事標示板には工事内容・工事期間・工事種別・施工主体・施工業者の5項目を示します(道路工事現場における標示施設等の設置基準 1)。工事期間は、交通に支障を与える実際の工事期間のうち、工事終了日と工事時間帯などを示すとされており、開始日より「いつ終わるか」を伝えることに重点が置かれています。
| 記載事項 | 設置基準での内容 | 様式1の記載例 |
|---|---|---|
| (1)工事内容 | 工事の内容、目的等 | 「○○○○をなおしています」 |
| (2)工事期間 | 交通上支障を与える実際の工事期間のうち、工事終了日、工事時間帯等 | 「○月○日まで」「時間帯 21:00〜6:00」 |
| (3)工事種別 | 工事種別(舗装修繕工事等) | 「舗装修繕工事」 |
| (4)施工主体 | 施工主体及びその連絡先 | 発注者名(○○地方整備局 ○○事務所など)と電話番号 |
| (5)施工業者 | 施工業者及びその連絡先 | 施工者名(○○建設株式会社など)と電話番号 |
設置基準では、短期間に完了する軽易な工事や、自動車専用道路などの高速走行を前提とする道路における工事は、この標示板の対象外とされています。ただし、対象外かどうかを現場で判断せず、発注者・道路管理者の指示を確認してください。
▶ 工事標示板の寸法と色
結論として、様式1は高さ140cm・幅110〜114cm程度の縦長で、白地に青と黒で書く様式です。様式の図の高さは140cmで、幅は近畿地方整備局の掲載資料では110cm、関東・東北地方整備局の掲載資料では114cmと記載されています。様式は「参考とする」位置づけのため、発注者の様式で寸法を確認してください。色と線の指定は様式1の備考で次のように定められています。
| 部分 | 色・寸法(様式1の備考) |
|---|---|
| 挨拶文(「ご迷惑をおかけします」等)・工事種別(「舗装修繕工事」等) | 青地に白抜き文字 |
| 工事内容(「○○○○をなおしています」等)・工事期間 | 青色文字 |
| その他の文字・線 | 黒色 |
| 地 | 白色 |
| 縁の余白/縁線/区画線 | 余白2cm/縁線の太さ1cm/区画線の太さ0.5cm |
設置基準の「管理」の項では、標示施設は堅固な構造として所定の位置に整然と設置し、修繕・塗装・清掃などの管理を常時行うほか、夜間は遠方から確認できるよう照明または反射装置を施すとされています。発注者によっては、反射式の材料や内部照明を仕様書で指定しています。
▶ 工事標示板の設置位置
結論として、工事標示板は原則として工事区間の起点と終点に設置します(道路工事現場における標示施設等の設置基準 1)。工事区間に入る前の車両から読める向きに置き、道路標識・保安施設の見通しを妨げない位置を選びます。
設置の高さや、工事箇所の何m手前に予告の看板を置くかは、国の設置基準本文には数値で定められていません。この部分は発注者の基準で決まることが多く、たとえば川崎市建設緑政局の「道路工事保安施設設置基準」(令和5年6月)は、工事予告看板を工事箇所の500m〜1,000m手前、段差予告板を50m〜150m手前に設置するとしています。
■ 迂回路の標示板と「まわり道」標識
結論として、迂回路を設ける場合は、迂回路の入口に地図などを示す標示板を、迂回路の途中の交差点に道路標識「まわり道」を設置します(道路工事現場における標示施設等の設置基準 3)。迂回路の標示板は迂回路を必要とする期間中設置し、「まわり道」(120-A、120-B)は、迷い込むおそれのない小分岐を除く各交差点に設置するとされています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 設置場所 | 迂回路の入口(標示板)/迂回路の途中の各交差点(道路標識「まわり道」) |
| 設置期間 | 迂回路を必要とする期間中 |
| 様式 | 別表様式2:高さ140cm・幅110cm程度。「まわり道450M」「150M先国道工事につき」「まわり道をお廻り下さい」、迂回路の地図(「工事中通行止」「現在地」)、発注者と電話番号の記載例 |
| 色 | 矢印は赤色、その他の文字・記号は青色、地は白色。縁の余白2cm、縁線の太さ1cm |
迂回路の設定そのもの(どの道路に回すか、通行止めの範囲)は、道路使用許可の申請や道路管理者・警察との協議で決まります。警視庁の道路使用許可申請書の記載要領でも、作業帯図・迂回誘導図・交通誘導員配置図などの道路使用状況図の添付が求められています。
■ 工事情報看板・工事説明看板(歩行者向けの工事案内板)
結論として、工事情報看板は工事開始の約1週間前から開始まで、工事説明看板は工事開始から終了までの間、現場付近に設置する歩行者・沿道住民向けの看板です(平成18年3月31日 国道利第38号・国道国防第206号)。国土交通省の報道発表では、路上工事の情報を歩行者や工事現場周辺の住民に提供するため、歩道部に設置すると説明されています。
| 項目 | 工事情報看板 | 工事説明看板 |
|---|---|---|
| 設置期間 | 道路工事を開始する約1週間前から開始するまで | 道路工事の開始から終了まで |
| 設置場所 | 道路工事が予定されている現場付近 | 道路工事現場付近 |
| 向き | ドライバーから看板内容が見えないように設置する(通知の文言) | |
| 記載例 | 「○○○○を行う工事を予定しています」「○月○日頃から○月○日頃まで」、発注者・施工者と電話番号 | 「○○○○を行っています」「○月○日まで」、発注者・施工者と電話番号 |
| 寸法・色 | 国道利第38号の様式1〜4(道路補修工事用・占用企業工事用):いずれも140cm×55cm程度の縦長。挨拶文は青地に白抜き文字、工事内容は青色文字、その他の文字・線は黒色、地は白色。下部に工事の番号や問い合わせ先等を掲示できる | |
運転者向けの情報は工事標示板と道路標識で、歩行者・沿道向けの情報はこれらの看板で、と役割が分けられています。短期間の軽易な工事などは対象外とされています。
▶ ガス・水道などの占用工事も対象?
結論として、通知上は占用工事も「道路工事」に含まれ、関係公益事業者には地方連絡協議会などを通じて同様の対応が依頼されています(国道利第38号・国道国防第206号)。様式3・4は占用企業の工事用の様式で、これらの看板は工事のための一時占用として扱い、別の占用とはしないとされています。実際の扱いは占用許可の条件と道路管理者の指示で確認してください。
■ バリケードなど防護施設の色と夜間の管理
結論として、防護施設に色を付ける場合は黄色と黒色の斜縞模様(各縞の幅10cm)を用います(道路工事現場における標示施設等の設置基準「色彩」)。車両などの侵入を防ぐ必要のある工事箇所には両面にバリケードを設置し、交通に対する危険の程度に応じて赤ランプや標柱などで工事現場を囲むとされています。
| 項目 | 設置基準の内容 | 発注者基準での上乗せの例 |
|---|---|---|
| 防護施設 | 両面にバリケード/危険の程度に応じて赤ランプ・標柱等で囲む | カラーコーンを夜間は内部照明とする(川崎市) |
| 色彩 | 黄色と黒色の斜縞模様(各縞の幅10cm) | 仕様書で反射材・高輝度反射式を指定 |
| 管理 | 堅固な構造で所定の位置に整然と設置/修繕・塗装・清掃等を常時行う/夜間は照明または反射装置 | 作業休止中は砂袋等で半固定する方式(国土交通省道路局「道路工事保安施設設置基準(案)」令和6年2月) |
占用工事では、道路法施行令 第13条第5号が「工事現場においては、さく又は覆いの設置、夜間における赤色灯又は黄色灯の点灯その他道路の交通の危険防止のために必要な措置を講ずること」を占用許可の基準として定めています。詳しくは次の節で整理します。
■ 道路使用許可・道路占用許可と看板の関係
道路工事では、警察の道路使用許可と、道路管理者の道路占用許可(または工事の承認)のどちらか、または両方が必要になります。看板・保安施設の設置内容は、これらの許可の条件として具体的に指定されることがあります。
| 項目 | 道路使用許可 | 道路占用許可 |
|---|---|---|
| 根拠 | 道路交通法 第77条第1項第1号(道路において工事若しくは作業をしようとする者又はその請負人) | 道路法 第32条第1項(工作物・物件・施設を設け、継続して道路を使用する) |
| 許可する機関 | 所轄警察署長 | 道路管理者 |
| 許可の条件 | 道路における危険を防止し、交通の安全と円滑を図るため必要な条件(同法 第77条第3項)。特別の必要があれば条件の変更・追加(同条第4項) | 道路の構造の保全、交通の危険の防止、円滑な交通の確保のため必要な条件(道路法 第87条第1項) |
| 工事の安全措置 | 許可条件で個別に指定 | さく又は覆い、夜間の赤色灯又は黄色灯の点灯など(道路法施行令 第13条第5号) |
| 無許可・条件違反 | 無許可・条件違反とも3か月以下の拘禁刑または5万円以下の罰金(同法 第119条第2項第7号・第8号) | 無許可の占用は1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金(道路法 第102条第1号) |
▶ 道路使用許可(道路交通法 第77条)の条件で何が決まる?
結論として、看板・保安施設・作業時間などは、警察署長が許可に付す条件で決まります(道路交通法 第77条第3項)。条文は「道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るため必要な条件を付することができる」と定めており、条件に違反すると無許可と同じく3か月以下の拘禁刑または5万円以下の罰金の対象です(同法 第119条第2項第8号)。
どのような看板をどこに置くかは、申請時に提出する道路使用状況図(作業帯図・迂回誘導図・交通誘導員配置図など)と、許可証の条件欄で確定します。許可証の携帯・掲示については、工事現場の看板義務(道路使用許可・道路占用許可の表示)で整理しています。
▶ 道路占用許可(道路法 第32条)と道路法施行令 第13条の安全措置
結論として、占用工事では工事現場の安全措置が政令で定められています(道路法施行令 第13条)。占用の許可申請では「工事実施の方法」「工事の時期」も記載事項で(道路法 第32条第2項第5号・第6号)、工事実施の方法の基準として、道路法施行令 第13条が次のような措置を定めています。
| 道路法施行令 第13条 | 内容(要旨) |
|---|---|
| 第1号 | 占用物件の保持に支障を及ぼさないために必要な措置を講ずる |
| 第2号 | 道路を掘削する場合は溝掘・つぼ掘または推進工法などとし、えぐり掘の方法によらない |
| 第3号 | 路面の排水を妨げない措置を講ずる |
| 第4号 | 道路の一方の側は常に通行できるようにする |
| 第5号 | 工事現場では、さく又は覆いの設置、夜間の赤色灯又は黄色灯の点灯その他道路の交通の危険防止のために必要な措置を講ずる |
| 第6号 | 電線・水管・下水道管・ガス管・石油管が地下にあると認められる場所やその付近を掘削する工事では、保安上支障がない場合を除き、試掘等による確認、管理者との協議にもとづく保安措置、ガス管・石油管付近での火気の不使用 |
道路管理者は、許可に道路の構造の保全や交通の危険防止のために必要な条件を付すことができます(道路法 第87条第1項)。工事標示板・工事説明看板の設置や様式が許可条件・協議で指定されているかは、許可書と道路管理者の指示で確認してください。
▶ 道路管理者の工事・承認工事の場合は?
結論として、道路管理者が道路の維持・修繕などの管理のために行う工事は、道路使用許可ではなく所轄警察署長への協議で足ります(道路交通法 第80条第1項)。また、道路管理者以外の者が道路に関する工事を行う場合は、道路管理者の承認が必要です(道路法 第24条)。いずれの場合も、看板・保安施設の内容は発注者の仕様書や承認の条件で確認します。
【違反リスク】
工事標示板の様式そのものに罰則はありませんが、道路使用許可を受けずに道路で工事をした場合や、許可条件(保安施設・看板の設置、作業時間など)に違反した場合は、3か月以下の拘禁刑または5万円以下の罰金の対象です(道路交通法 第119条第2項第7号・第8号)。道路占用許可を受けずに占用した場合は、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です(道路法 第102条第1号)。看板の不備は、許可条件違反や発注者からの是正指示につながります。
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■ 公共工事の工事看板と発注者仕様書の上乗せ
結論として、公共工事の工事看板は、国の設置基準をもとに各発注者の共通仕様書・独自基準で記載事項や様式が上乗せされています。同じ道路工事でも、国・都道府県・市町村で看板の様式が違うのはこのためです。着工前に、その工事の発注者の仕様書・特記仕様書で確認してください。
| 発注者の基準(例) | 主な内容 |
|---|---|
| 国土交通省 関東地方整備局 土木工事共通仕様書(案)(令和元年6月改定案の新旧対照表で確認) | 受注者は施工に先立ち、一般通行人等が見易い場所に、工事名・工期・発注者名・受注者名・工事内容等を記載した標示板を設置し、工事完成後は速やかに撤去する。改定内容の欄に国の設置基準と国道利38号が挙げられている。現行版の条番号・文言は発注者の仕様書で確認 |
| 川崎市建設緑政局「道路工事保安施設設置基準」(令和5年6月) | 市が発注する工事に適用。工事情報看板は歩車道境界のガードレール等に、ドライバーから内容が見えない向きで設置。工事予告看板は500m〜1,000m手前。発注者・道路管理者の指示に従う旨を明記 |
| 兵庫県土木部「土木工事標示板等設置基準」(令和8年10月1日適用) | 県土木部所管の工事に適用。工事目的・工期完了日・工事名・発注者名・受注者名に加え、週休2日の取組などの表示を定める。工事区域内またはその付近で広報効果の高い位置に設置 |
同じ「工事看板」でも、建設業許可票・施工体系図・労災保険関係成立票などは、道路工事かどうかに関係なく法令で掲示が定められたものです。公共工事ではこれらも合わせて掲示を求められるため、冒頭で紹介した「工事現場の看板義務」の記事の一覧とあわせて確認してください。
■ 道路工事の看板 担当者チェックリスト
看板の手配は、許可の申請・発注者との協議と同時に進めると、着工直前の作り直しを防げます。時期ごとに確認する項目をまとめます。
■ 着工前(許可申請・協議の段階)
- 発注者の共通仕様書・特記仕様書・独自基準で、看板の様式・寸法・記載事項・設置位置を確認した
- 道路使用許可(所轄警察署長)・道路占用許可または承認(道路管理者)のどれが必要か確認した
- 作業帯図・迂回誘導図・交通誘導員配置図に、標示板・バリケード・規制標識の位置を書き込んだ
- 許可証・承認書の条件欄(看板・保安施設・作業時間帯)を読み、現場の配置計画に反映した
- 歩行者向けの工事情報看板を、工事開始の約1週間前に設置する手配をした(求められる場合)
■ 看板の記載内容
- 工事内容・工事期間(終了日・時間帯)・工事種別・施工主体と連絡先・施工業者と連絡先がそろっている
- 夜間・休日にもつながる連絡先になっている
- 工期の延長や作業時間帯の変更を看板に反映する担当者を決めた
■ 設置時・工事中
- 工事標示板を工事区間の起点と終点に、迂回路の標示板を迂回路の入口に設置した
- 迂回路の途中の交差点に「まわり道」標識を設置した(迷い込むおそれのない小分岐を除く)
- 看板・バリケードが風で倒れないよう固定し、道路標識や見通しを妨げていない
- 夜間に遠方から確認できる照明・反射装置があり、汚れ・破損を毎日点検している
- 占用工事では、さく・覆いの設置、夜間の赤色灯または黄色灯の点灯を行っている
■ 工事完了時
- 工事完成後、標示板・規制標識・保安施設を速やかに撤去した(仕様書で撤去時期が定められている場合はそれに従う)
- 看板の設置状況の写真を、発注者の求める工事写真・記録として残した
看板の設置・撤去で作業員が車道側に出る時間は、交通事故の危険が高い時間でもあります。作業手順の決め方や新規入場者への説明には職長教育・安全衛生責任者教育や雇入れ時安全衛生教育の内容が役立ちます。
■ よくある質問
▶ Q. 道路工事の看板は法律で義務ですか?
工事標示板の様式や記載事項は、法律・政令ではなく国の通知「道路工事現場における標示施設等の設置基準」による運用です。ただし、道路使用許可・道路占用許可の条件や発注者の仕様書で設置を求められた場合は、その条件・契約に従う必要があります。
▶ Q. 工事看板の記載内容は何を書けばよいですか?
国の設置基準では、工事内容・工事期間・工事種別・施工主体(連絡先)・施工業者(連絡先)の5項目です。工事期間は、交通に支障を与える期間の終了日と時間帯を示します。発注者によっては工事名・工期・現場の取組などの記載が加わります。
▶ Q. 工事標示板の大きさは決まっていますか?
国の設置基準の様式1は、高さ140cm・幅110〜114cm程度(掲載資料により幅の記載が異なる)で示されています。工事情報看板・工事説明看板(国道利第38号の様式1〜4)は140cm×55cm程度の縦長です。様式は「参考とする」とされているため、実際の寸法は発注者の仕様書・様式で確認してください。
▶ Q. 1日で終わる工事でも標示板は必要ですか?
国の設置基準では、短期間に完了する軽易な工事は工事標示板の対象外とされています。ただし、道路使用許可の条件で看板や保安施設を求められることがあるため、許可証の条件欄と発注者の指示を確認してください。
▶ Q. 民間の工事で歩道や車道を使う場合も同じ基準ですか?
国の設置基準は道路管理者あての通知ですが、民間工事でも道路使用許可や占用許可・承認の条件として、看板・保安施設の設置を指定されることがあります。必要な看板の内容は、許可を受ける警察署・道路管理者に確認してください。
■ まとめ
道路工事の看板の設置基準は、国の通知「道路工事現場における標示施設等の設置基準」(昭和37年8月30日 道発第372号、平成18年3月31日一部改正)です。工事標示板は工事内容・工事期間・工事種別・施工主体・施工業者の5項目を示し、原則として工事区間の起終点に設置します。迂回路には入口の標示板と交差点の「まわり道」標識、歩行者向けには工事情報看板・工事説明看板、防護施設には黄色と黒色の斜縞(各縞の幅10cm)が示されています。
ただし、これは法律で様式を定めたものではなく、実際の看板は発注者の仕様書と、道路使用許可(道路交通法 第77条)・道路占用許可(道路法 第32条)の条件で決まります。着工前に仕様書と許可証の条件欄を確認し、チェックリストで手配を進めてください。
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■ 参考情報・公式リソース
| サイト名 | 概要 | リンク |
|---|---|---|
| 国土交通省 関東地方整備局|道路工事現場における標示施設等の設置基準 | 昭和37年8月30日 道発第372号、平成18年3月31日一部改正の本文・様式 | 公式サイト |
| 国土交通省 近畿地方整備局|道路工事現場における標示施設等の設置基準 | 同基準・工事情報看板・工事説明看板の通知と様式 | 公式サイト |
| 国土交通省|報道発表(平成18年3月31日) | 路上工事看板のデザインが新しくなります | 公式サイト |
| e-Gov法令検索|道路交通法 | 第77条・第80条・第119条 | 公式サイト |
| e-Gov法令検索|道路法 | 第24条・第32条・第87条・第102条 | 公式サイト |
| e-Gov法令検索|道路法施行令 | 第13条(工事実施の方法に関する基準) | 公式サイト |
| e-Gov法令検索|道路標識、区画線及び道路標示に関する命令 | 第1条(道路標識の種類)・第4条(設置者) | 公式サイト |
| 警視庁|道路使用許可申請書 | 申請書の様式と記載要領(道路使用状況図の添付) | 公式サイト |
| 川崎市建設緑政局|道路工事保安施設設置基準 | 令和5年6月版。発注者基準の例 | 公式サイト |
| 兵庫県土木部|土木工事標示板等設置基準 | 令和8年10月1日適用。発注者基準の例 | 公式サイト |
