KY活動(危険予知活動)とは、作業を始める前に、その作業にひそむ危険を作業者どうしで出し合って共有し、「危険のポイント」と「行動目標」を決めて、指差し呼称で確認してから作業に入る現場の安全活動です。KY活動を確実に行う力をつけるための訓練が危険予知訓練(KYT)で、中央労働災害防止協会(中災防)は、現状把握→本質追究→対策樹立→目標設定の「4ラウンド法」で話し合いを進める方法を示しています。
なお、労働安全衛生法・労働安全衛生規則には、KY活動そのものを直接義務づける規定は見当たりません。一方で、厚生労働省の「元方事業者による建設現場安全管理指針」には作業開始前の打合せで行う「危険予知活動等の安全活動」が示されているなど、行政の指針・ガイドラインには登場します。この記事では、4ラウンド法の手順、朝礼・TBMでの短時間の進め方、作業別の例題と記入例、KYシートの項目、形骸化を防ぐコツをまとめます。
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■ この記事でわかること
- KY活動・KYT・指差し呼称・TBM・リスクアセスメントの違い
- KY活動が法律上の義務かどうかと、指針・ガイドラインでの位置づけ
- KYT基礎4ラウンド法の進め方と、朝礼・TBMで10分以内に回すやり方
- 脚立・フォークリフト・グラインダー・刈払機・玉掛け・夏場の屋外作業の例題と記入例
- KYシートの項目例、危険予知の例文の書き方、形骸化を防ぐチェックリスト
■ KY活動に関係する用語の早見表
混ざって使われがちな用語を、役割で分けると次のとおりです。
| 用語 | 何をするか | いつ・誰が | 位置づけ |
|---|---|---|---|
| KY活動(危険予知活動) | 作業前に危険を出し合い、危険のポイントと行動目標を決めて確認する | 毎日の作業前・作業の切替え時/作業グループ全員 | 現場の自主的な安全活動。建設現場安全管理指針では打合せの内容の一つ |
| KYT(危険予知訓練) | イラストシートや実際の作業を使い、危険を見つけて解決する力を訓練する | 研修・安全大会・職長会など/小集団(5〜6人程度) | 中災防のゼロ災害全員参加運動の手法。KY活動の土台になる訓練 |
| 指差し呼称 | 対象を指で差し、名称と状態を声に出して確認する | 作業の要所ごと/一人ひとり | KY活動の一環(職場のあんぜんサイト) |
| TBM(ツールボックスミーティング) | 作業前に、当日の作業内容・手順・注意点を打ち合わせる | 朝の作業開始前に5〜10分程度が普通/職長・作業グループ | 現場の打合せ。KYやワンポイントKYを組み込むことが多い |
| リスクアセスメント | 危険性・有害性を特定し、リスクを見積もって優先度をつけ、低減措置を決める | 設備・作業の導入時や変更時など/管理者 | 労働安全衛生法 第28条の2(対象業種の事業者の努力義務) |
■ KY活動(危険予知活動)とは
KY活動は、「危険(K)」を「予知(Y)」する活動です。職場のあんぜんサイト(厚生労働省)によると、KYTは住友金属工業で開発され、中災防の問題解決4ラウンド法、旧国鉄の指差し呼称と組み合わされて「KYT 4ラウンド法」が標準とされています。
▶ KY活動とKYT(危険予知訓練)の違い
結論として、KY活動は毎日の作業前に行う「本番」、KYTはその力を身につけるための「訓練」です。中災防は、KYTを職場の小集団または1人で行う短時間の危険解決訓練と説明し、イラストシートや実際の作業を使って危険要因とそれが引き起こす現象を話し合い、危険のポイントや重点実施項目を指差唱和・指差呼称で確認するものとしています。
▶ KY活動は法律上の義務?
結論として、労働安全衛生法・労働安全衛生規則には、KY活動を行うこと自体を事業者に直接義務づける規定は見当たらず、KYをしないこと自体を罰する規定も見当たりません。ただし、行政の指針・ガイドライン・教育カリキュラムには次のように登場します。
| 資料 | KYに関する記載 | 性格 |
|---|---|---|
| 元方事業者による建設現場安全管理指針(平成7年4月21日 基発第267号の2) | 毎日の作業開始前の安全衛生打合せの内容として「危険予知活動等の安全活動」を挙げ、元方事業者が関係請負人に実施を指導する | 厚生労働省の指針(元請による指導の目安) |
| 荷役作業安全ガイドライン(平成25年3月25日 基発0325第1号) | 日常の教育で、イラストシート・写真等を用いた危険予知訓練を行うこと | 陸上貨物運送事業の荷役作業向けガイドライン |
| 建設業に従事する職長及び安全衛生責任者の能力向上教育に準じた教育カリキュラム(平成29年2月20日 基発0220第3号 別添2) | グループ演習(130分)で「災害事例研究」「危険予知活動」「危険性又は有害性等の調査及び結果に基づき講ずる措置」のうち1以上を実施 | 厚生労働省が示す再教育のカリキュラム |
【注意】
KY活動そのものを直接義務づける規定は見当たりませんが、KYで確認する中身には法令上の義務が含まれることがあります。たとえばフォークリフトの接触防止(労働安全衛生規則 第151条の7)や、研削といしの試運転(同 第118条)は、KYをするかどうかに関係なく守る必要があります。
▶ KY活動とリスクアセスメントの違い
結論として、KY活動は作業者が毎日行う「危険への感受性を高める活動」、リスクアセスメントは管理者や経営層も加わって「リスクを見積もり、対策の優先度を決める取組み」です。職場のあんぜんサイトでは、どちらも災害防止の予防的手段であるとしたうえで、この違いを説明しています。リスクアセスメントは労働安全衛生法 第28条の2にもとづき、製造業・建設業などの事業者の努力義務とされています。
KYで何度も同じ危険が出る場合や、設備の問題が見つかった場合は、リスクアセスメントへ上げて設備対策を検討します。進め方はリスクアセスメント担当者研修の記事で解説しています。
■ KYT基礎4ラウンド法のやり方
KYT基礎4ラウンド法は、1つの作業場面について、4つの問いに順番に答えながら話し合う方法です。各ラウンドの名称と問いは、中災防・職場のあんぜんサイトで次のように示されています。
| ラウンド | 問い | やること | 書記が書くもの |
|---|---|---|---|
| 1R 現状把握 | どんな危険がひそんでいるか | 場面にひそむ危険要因と、それが引き起こす現象を全員で出し合う | 「〜なので、〜して、〜になる」の形で5〜7項目程度 |
| 2R 本質追究 | これが危険のポイントだ | 重要な危険に○、さらに1〜2項目に絞って◎をつけ「危険のポイント」とする | ◎の項目を指差し唱和 |
| 3R 対策樹立 | あなたならどうする | ◎の危険のポイントに対し、具体的で実行できる対策を出す | 対策を3項目程度 |
| 4R 目標設定 | 私たちはこうする | 対策から重点実施項目を絞り(※印)、チーム行動目標と指差し呼称項目を決める | チーム行動目標・指差し呼称項目を唱和 |
▶ 準備するもの・チームの組み方
結論として、5〜6人程度のチームで、リーダー(司会)と書記を決めてから始めます。職場のあんぜんサイトでは、イラストシート・模造紙・赤黒のマジックを準備し、趣旨を説明して全員の発言を求めてからイラストシートを示す流れが紹介されています。自社の現場写真を使うと、自分の作業として考えやすくなります。
▶ 各ラウンドで詰まりやすい点
- 1R:「危ない」だけで終わらせず、何が原因で(危険要因)、どうなるか(現象=事故の型)までを1文にします。「脚立が不安定」ではなく「脚立の開き止めを掛けずに乗ったので、脚立が閉じて転落する」とします。
- 2R:けがの重さと起こりやすさで選びます。全部に◎をつけると対策がぼやけるため、1〜2項目に絞ります。
- 3R:「注意する」「気をつける」は対策になりません。誰が・何を・どうするかが見える言葉(「開き止めを掛けて手で押して確かめる」)にします。
- 4R:チーム行動目標は「〜するとき〜を〜して〜しよう ヨシ」の形にすると唱和しやすくなります。指差し呼称項目は短い言葉(「開き止め ヨシ」)にします。
▶ 指差し呼称のやり方
結論として、指差し呼称は「見る→指で差して呼称する→指を耳元へ戻して確かめる→ヨシと言って振り下ろす」の順で行います。職場のあんぜんサイトでは、1994年の鉄道総合技術研究所の実験で、指差しと呼称を両方行った場合の操作ボタンの押し間違い率が、何もしない場合の約6分の1だったことが紹介されています。ただし、指差呼称だけでヒューマンエラーを根絶できるわけではないとも述べられています。
■ 朝礼・TBMでのKY活動の進め方(10分版)
毎朝のKY活動では、研修のように4ラウンドを丁寧に行う時間はありません。岐阜労働局(健康安全課)の資料では、TBMは朝の作業開始前に5〜10分程度行うのが普通で、確認した対策をワンポイントKYで全員が再確認するとされています。以下は進め方の一例です。
| 目安時間 | やること | リーダーの声かけ例 |
|---|---|---|
| 1〜2分 | 当日の作業・場所・機械を確認(TBM) | 「今日は2階の天井配線、脚立を3台使います」 |
| 2〜3分 | 危険を出し合う(1Rの短縮版) | 「この作業で、どうなったらけがをする?1人1つ」 |
| 1分 | 今日いちばん危ないものを1つ選ぶ(2R) | 「今日はどれが一番まずい?」 |
| 2分 | 対策を決め、担当を決める(3R・4R) | 「誰が、何をする?」 |
| 1分 | 行動目標と指差し呼称項目を唱和 | 「行動目標を全員で。指差し呼称、開き止め ヨシ」 |
【実務ポイント】
作業の途中で場所・機械・人が変わったときは、その場で1〜2分のワンポイントKYをやり直します。朝のKYで想定していなかった作業(急な追加作業、別業者との同時作業)で災害が起きやすいためです。
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■ 作業別 KY活動の例題と記入例
この記事で用意した6つの場面について、4ラウンドの記入例を示します。自社の現場の状況に置き換えて使ってください。
▶ 例題1:脚立作業(事務所の天井照明の交換)
場面:あなたは脚立の天板の一段下に乗り、両手で天井の照明カバーを外そうとしている。脚立の下には外した古い照明器具の段ボールが置いてあり、同僚が少し離れて書類を運んでいる。
| ラウンド | 記入例 |
|---|---|
| 1R 危険要因と現象 | 両手で上を向いて作業しているので、体が後ろに反ってバランスを崩し、転落する/開き止めが掛かっていないので、脚立が開いて転落する/足元に段ボールがあるので、降りるときに踏んで転倒する |
| 2R 危険のポイント | ◎両手で上を向いて作業しているので、体が後ろに反ってバランスを崩し、転落する |
| 3R 対策 | ※作業台(手すり付きの可搬式作業台)に替える/脚立を使う場合は照明の真下に立て、体の正面で作業する/補助者が脚立を押さえ、カバーを受け取る |
| 4R 行動目標・指差し呼称 | 照明交換のときは補助者がカバーを受け取り、体の正面で作業しよう ヨシ/指差し呼称「開き止め ヨシ」 |
▶ 例題2:フォークリフト荷役(倉庫でのパレット積込み)
場面:あなたはフォークリフトでパレットを持ち上げ、トラックの荷台へ積み込もうとしている。荷が高く前が見えにくい。トラックの横では、ドライバーがラッシングベルトを準備しており、通路の角からピッキング担当者が台車を押して出てくることがある。
| ラウンド | 記入例 |
|---|---|
| 1R 危険要因と現象 | 荷で前方が見えないまま前進するので、通路の角から出てきた作業者をひく/トラックの横にドライバーがいるので、旋回したときに車体後部で挟む/荷が片寄っているので、持ち上げたときに荷が崩れて落ちる |
| 2R 危険のポイント | ◎荷で前方が見えないまま前進するので、通路の角から出てきた作業者をひく |
| 3R 対策 | ※前が見えない荷は後進で運ぶか、誘導者をつける/積込み中はトラック周りを立入禁止にし、ドライバーは運転席か所定の待機場所にいてもらう/通路の角で一時停止してホーンを鳴らす |
| 4R 行動目標・指差し呼称 | 前が見えない荷は誘導者をつけ、角では一時停止しよう ヨシ/指差し呼称「左右 ヨシ」「誘導者 ヨシ」 |
フォークリフトと人との接触の防止は、労働安全衛生規則 第151条の7で定められた事業者の措置です(誘導者に誘導させる場合を除き、接触の危険がある箇所への立入りを禁止する)。教育の内容はフォークリフトの運転業務特別教育で解説しています。
▶ 例題3:グラインダー作業(鋼材のバリ取り)
場面:あなたは作業台の上の鋼材を、ディスクグラインダーでバリ取りしようとしている。といしは今朝交換したばかり。鋼材は手で押さえているだけで、近くにはウエスと塗料缶が置いてある。
| ラウンド | 記入例 |
|---|---|
| 1R 危険要因と現象 | 鋼材を手で押さえているだけなので、グラインダーが跳ねて(キックバック)手を切る/交換したといしにひびがあると、回転中に割れて破片が顔に当たる/火花がウエスや塗料缶に飛ぶので、火災になる |
| 2R 危険のポイント | ◎鋼材を手で押さえているだけなので、グラインダーが跳ねて手を切る |
| 3R 対策 | ※鋼材をクランプやバイスで固定する/体を回転面の正面に置かない/作業前に試運転し、火花の方向から可燃物をどける |
| 4R 行動目標・指差し呼称 | バリ取りは鋼材をクランプで固定してから始めよう ヨシ/指差し呼称「固定 ヨシ」「覆い ヨシ」 |
研削といしの試運転は、その日の作業開始前1分間以上・といし取替え時3分間以上と定められ(労働安全衛生規則 第118条)、といしの取替えと取替え時の試運転は特別教育の対象業務です(同 第36条第1号)。詳しくは研削といしの取替え等業務特別教育をご覧ください。
▶ 例題4:刈払機作業(法面の草刈り)
場面:あなたは2人1組で、道路脇のゆるい法面を刈払機で草刈りしている。草が深く、空き缶や石が隠れている。相方は5mほど先で作業しており、ときどき声をかけに近づいてくる。
| ラウンド | 記入例 |
|---|---|
| 1R 危険要因と現象 | 相方が刈刃の回転中に近づくので、刈刃や飛んだ石が当たる/草の中の石を刈刃がはじくので、飛石が顔や通行車両に当たる/刃に草が絡まったまま手で取るので、刃が動いて手を切る |
| 2R 危険のポイント | ◎相方が刈刃の回転中に近づくので、刈刃や飛んだ石が当たる |
| 3R 対策 | ※近づくときは合図をし、刈刃が止まったのを確認してから近づく/作業前に石・空き缶を取り除く/絡まりを取るときはエンジンを止める |
| 4R 行動目標・指差し呼称 | 近づくときは合図をして、刈刃の停止を確かめよう ヨシ/指差し呼称「刃の停止 ヨシ」 |
熊本労働局の伐木作業等の自主点検表では、刈払機の作業者から5m以内を危険区域として他の労働者を立ち入らせないこと、近づく場合は合図して刈刃の停止を確認することが点検項目に挙げられています。教育の内容は刈払機取扱作業者安全衛生教育で解説しています。
▶ 例題5:玉掛け作業(天井クレーンでの鋼材のつり上げ)
場面:あなたは工場の天井クレーンで、長さのある鋼材を2本のワイヤロープでつり上げようとしている。地切りの直前で、もう1人の作業者が荷の向きを直すため、荷の横に手を添えている。
| ラウンド | 記入例 |
|---|---|
| 1R 危険要因と現象 | 重心がずれたまま地切りするので、荷が振れて横にいる作業者に当たる/ワイヤロープの掛け方が浅いので、つり上げ中に外れて荷が落ちる/荷とワイヤロープの間に手を添えているので、張ったときに指を挟む |
| 2R 危険のポイント | ◎荷とワイヤロープの間に手を添えているので、張ったときに指を挟む |
| 3R 対策 | ※地切りの前に荷から手を離し、介錯ロープを使う/地切りで一度止め、荷の傾きと掛け方を確認する/合図者を1人に決める |
| 4R 行動目標・指差し呼称 | 地切りの前に荷から手を離し、介錯ロープで向きを直そう ヨシ/指差し呼称「手 離した ヨシ」「地切り ヨシ」 |
つり上げ荷重1t未満のクレーン等の玉掛けは特別教育の対象業務です(労働安全衛生規則 第36条第19号)。1t以上との区分は玉掛け特別教育と技能講習の違いで整理しています。
▶ 例題6:夏場の屋外作業(炎天下の外構工事)
場面:7月の午後、あなたは日陰のない駐車場でインターロッキングの敷設をしている。今週から入った新人が1人で黙々と作業しており、休憩所までは少し距離がある。
| ラウンド | 記入例 |
|---|---|
| 1R 危険要因と現象 | 暑さに慣れていない新人が休まず作業するので、熱中症で倒れる/1人で作業しているので、体調が悪くなっても誰も気づかない/しゃがんだ姿勢から急に立つので、立ちくらみで転倒する |
| 2R 危険のポイント | ◎1人で作業しているので、体調が悪くなっても誰も気づかない |
| 3R 対策 | ※新人は経験者とペアにし、互いの様子を声かけで確認する/休憩と水分・塩分補給の時刻を決めて全員で取る/具合が悪いときの連絡先と手順を朝礼で確認する |
| 4R 行動目標・指差し呼称 | 暑い日はペアで声をかけ合い、決めた時刻に全員で休憩しよう ヨシ/指差し呼称「水分 ヨシ」「相方 ヨシ」 |
2025年6月1日から、熱中症を生ずるおそれのある作業について、熱中症の報告体制と、症状の悪化を防ぐ措置の内容・手順を定めて周知することが事業者の義務になっています(労働安全衛生規則 第612条の2)。施行通達では、WBGT28度以上または気温31度以上の環境で、継続して1時間以上または1日当たり4時間を超えて行われることが見込まれる作業が対象とされています。詳しくは熱中症予防安全衛生教育をご覧ください。
■ KYシートの書き方と項目例
KYシート(KY活動表)に法令で決まった様式はなく、元請や自社のルールで作ります。1枚・5分で書ける項目数にするのが続けるコツです。
| 項目 | 書く内容 | 記入のコツ |
|---|---|---|
| 日付・天候・気温(WBGT) | 当日の条件 | 雨・強風・暑さで危険が変わるため必ず書く |
| 作業名・作業場所 | 「2階東側 天井配線」など | 場所は図面の呼び名にそろえる |
| 使う機械・工具・保護具 | 脚立3台、電動ドライバー、保護帽など | 点検した人の名前を添える |
| 危険のポイント | 「〜なので〜して〜になる」 | 1〜2項目に絞る |
| 対策 | 誰が・何を・どうする | 「注意する」は書かない |
| チーム行動目標 | 「〜を〜して〜しよう ヨシ」 | 全員で唱和できる長さ |
| 指差し呼称項目 | 「開き止め ヨシ」など | 2〜3語の短い言葉 |
| 参加者の署名 | 参加した全員 | 途中参加者・別業者も署名 |
| 終業時の振り返り | ヒヤリハットの有無、対策の実施状況 | 翌日のKYの材料にする |
▶ 危険予知の例文の書き方(よくない例・よい例)
結論として、危険予知の例文は「行動や状態(危険要因)+どうなるか(現象)」を1文に入れると、対策が考えやすくなります。
| よくない例 | よい例 |
|---|---|
| 足元に注意 | 配線を床に這わせたままなので、通路を歩くときにつまずいて転倒する |
| 荷崩れ注意 | 段ボールを5段に積んだパレットを急旋回で運ぶので、上の段が崩れて近くの人に当たる |
| 挟まれ注意 | コンベヤを止めずに詰まりを取るので、ローラーに手を巻き込まれる |
例文の材料には、実際に起きかけた場面が役立ちます。集め方はヒヤリハットの事例と報告書の書き方で、朝礼で使う標語は安全標語の例で紹介しています。
■ KY活動が形骸化する原因と防ぐコツ
KY活動が「毎朝同じことを書いて署名するだけ」になると、危険への感受性は上がりません。
| 形骸化のサイン | 原因 | 防ぐコツ |
|---|---|---|
| 毎日同じ危険のポイント | 作業内容ではなく前日のシートを写している | その日に初めてやる作業・変わったことから先に聞く |
| 職長だけが話している | 答えを職長が先に言ってしまう | 1Rは新人・経験の浅い人から順に1つずつ言ってもらう |
| 対策が「注意する」ばかり | 具体的な行動に落とせていない | 「それは誰が、何をすること?」と聞き返す |
| KYで出た設備の問題が直らない | 現場で話して終わっている | 週1回、KYシートの対策を管理者が確認し、設備対策やリスクアセスメントに回す |
| 時間がかかりすぎて嫌がられる | 毎日フルの4ラウンドをしている | 毎日は10分版、月1回などは写真を使ったKYTで訓練する |
【実務ポイント】
KY活動を引っ張るのは職長・リーダーです。危険の出させ方や指導の方法は職長教育でも扱われ、建設業の職長等・安全衛生責任者の再教育のカリキュラムには、グループ演習の項目として危険予知活動が含まれています。教育の全体像は職長・安全衛生責任者教育で解説しています。
■ 現場リーダー向け KY活動チェックリスト
- 当日の作業内容・場所・使う機械を、KYの前に全員へ説明した
- 危険を「〜なので〜して〜になる」の形で、全員から1つ以上出してもらった
- 危険のポイントを1〜2項目に絞った
- 対策に「誰が・何を・どうする」が入っている
- 法令で決まっている措置(立入禁止、試運転、資格・特別教育の有無など)ができているか確かめた
- チーム行動目標と指差し呼称項目を全員で唱和した
- 途中参加者・別業者・新人にもKYの内容を伝えた
- 作業の変更時にワンポイントKYをやり直した
- 終業時にヒヤリハットを確認し、翌日のKYの材料にした
■ よくある質問
▶ Q. KY活動をしていないと法律違反になりますか?
労働安全衛生法・労働安全衛生規則にKY活動そのものを直接義務づける規定は見当たらず、KYをしていないこと自体を罰する規定も見当たりません。ただし、KYで確認する立入禁止・試運転・特別教育などは法令上の義務であることが多く、怠れば違反になります。元請がKYシートの提出を求める現場では、そのルールに従います。
▶ Q. 1人で作業する場合もKYは必要ですか?
1人作業でもKYは有効です。中災防はKYTを「職場のみんな」または「1人」で行うものと説明しています。1人の場合は、作業前に4つの問いを自問自答し、危険のポイントを指差し呼称で確認してから作業に入ります。
▶ Q. 外国人労働者や新人がいるときのコツは?
文字よりも現場写真や実物を指して進めると伝わりやすくなります。指差し呼称項目は短い言葉にし、本人にも声に出してもらいます。新しく入った人への教育全体は新入社員の安全衛生教育で解説しています。
▶ Q. KYシートは保存しないといけませんか?
KYシートの保存期間を定めた法令の条文は確認できませんでした。元請・発注者のルールで保存期間が決められていることがあるため、現場のルールに従ってください。
■ まとめ
KY活動(危険予知活動)は、作業前に危険を出し合い、危険のポイントと行動目標を決めて指差し呼称で確認する現場の安全活動です。その力をつける訓練がKYTで、基本形は現状把握→本質追究→対策樹立→目標設定の4ラウンド法です。KY活動そのものを直接義務づける法令の規定は見当たりませんが、建設現場安全管理指針や荷役作業安全ガイドラインに登場し、KYで確かめる措置には法令上の義務が含まれます。
毎朝は10分版で回し、危険を「〜なので〜して〜になる」の形で具体的に出すこと、作業が変わったらワンポイントKYをやり直すことが、形骸化を防ぐポイントです。
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■ 参考情報・公式リソース
| サイト名 | 概要 | リンク |
|---|---|---|
| 中央労働災害防止協会|危険予知訓練(KYT)とは | KYTの定義と名称の由来 | 公式サイト |
| 中央労働災害防止協会|危険予知訓練(KYT)の進め方 | 4ラウンド法の名称と問い、進め方の手順 | 公式サイト |
| 厚生労働省 職場のあんぜんサイト|危険予知訓練(KYT) | KYTの由来、基礎4ラウンド法、進め方 | 公式サイト |
| 厚生労働省 職場のあんぜんサイト|指差呼称 | 手順と鉄道総合技術研究所の実験結果 | 公式サイト |
| 厚生労働省 職場のあんぜんサイト|リスクアセスメント | 手順と労働安全衛生法 第28条の2 | 公式サイト |
| 厚生労働省 職場のあんぜんサイト|産業廃棄物処理業におけるリスクアセスメント | KY活動とリスクアセスメントの違い | 公式サイト |
| 厚生労働省|元方事業者による建設現場安全管理指針 | 作業開始前の安全衛生打合せと危険予知活動 | 公式サイト |
| 鳥取労働局|荷役作業安全ガイドラインのあらまし | 日常の教育での危険予知訓練 | 公式サイト |
| 厚生労働省|建設業に従事する職長及び安全衛生責任者の能力向上教育に準じた教育カリキュラム | グループ演習の危険予知活動 | 公式サイト |
| 岐阜労働局 健康安全課|全員参加の安全衛生活動(KYK・TBM等) | TBMの手順、ワンポイントKY、指差し呼称 | 公式サイト |
