フォークリフトの運転の業務に係る特別教育(1t未満)|講習内容・費用・日数を徹底解説!

フォークリフトの運転の業務に係る特別教育(1t未満)の受講を検討するにあたり、講習内容や費用、取得日数が気になっていませんか。本記事では、資格取得までの全体像と押さえるべきポイントを分かりやすく解説し、あなたの疑問や不安を解消します。

そもそも「フォークリフト運転特別教育」って何?

工場や倉庫、店舗のバックヤードなどで見かける比較的小さなフォークリフト。「これくらいのサイズなら、特に資格がなくても運転できるのでは?」と思われている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、それは大きな誤解です。

ここでは、安全な作業に不可欠な「フォークリフト運転特別教育」とは一体どのようなものなのか、その基本から分かりやすく解説していきます。

まずは基本から!法律で定められた安全教育です

フォークリフト運転特別教育とは、正式には「フォークリフトの運転の業務に係る特別教育(1t未満)」といい、最大荷重が1トン未満のフォークリフトを業務として運転するために、法律で定められた安全衛生教育のことです。

根拠となるのは労働安全衛生法という法律で、「事業者は、危険または有害な業務に労働者を就かせるときは、その業務に関する安全のための特別の教育を行わなければならない」と定められています。フォークリフトの運転は、この「危険な業務」に該当するため、たとえ会社の敷地内だけであっても、業務で運転する以上は必ずこの教育を修了しなければなりません。

よく聞く「技能講習」とは何が違うの?ここが一番大事

フォークリフトの資格について調べ始めると、必ず「技能講習」という言葉を目にするはずです。この「特別教育」と「技能講習」は、名前が似ているため混同されがちですが、その内容は全く異なります。

一番の大きな違いは、運転できるフォークリフトの大きさ、つまり「最大荷重」です。

資格の違い

比較項目フォークリフト運転特別教育フォークリフト運転技能講習
運転できる荷重最大荷重1トン未満すべて(制限なし)
資格の位置づけ安全衛生教育国家資格(就業制限業務)
こんな人向け特定の小型機のみ運転する方大きさ問わず運転したい方

このように、特別教育は1トン未満の小型フォークリフトに限定された入門的な位置づけです。一方、技能講習を修了すれば、1トン以上の大型フォークリフトも含む、すべてのフォークリフトを運転できるようになります。いわゆる「大は小を兼ねる」のが技能講習です。

ご自身の職場環境や将来のキャリアプランを考え、どちらの資格が必要なのかを正しく判断することが、資格取得の最初の重要なステップとなります。

なお、特別教育と技能講習の根本的な違いについては、こちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

講習では何を学ぶ?気になる時間や内容をチェック

フォークリフトの特別教育では、具体的にどのようなことを学ぶのでしょうか。この講習は、安全に作業を行うために必要な知識を学ぶ「学科講習」と、実際にフォークリフトを操作して技術を身につける「実技講習」の二本立てで構成されています。

これらのカリキュラムは、労働安全衛生法という法律で全国共通の内容が定められています。そのため、どの教習機関で受講しても、安全なオペレーターになるための必須知識と技術を体系的に、そして漏れなく習得することが可能です。

【学科】安全に運転するための知識

学科講習では、テキストや資料を使いながら、フォークリフトを安全に操作するための理論やルールを学びます。ただ運転技術を覚えるだけでなく、「なぜそうしなければならないのか」という理由や背景を理解することが、予期せぬ事故を防ぐ上で非常に重要になります。

専門の講師が分かりやすく解説するため、機械の操作に馴染みがない方や、力学などの知識に自信がない方でも、安心して受講できます。

学科で学ぶ主な内容

  • 走行に関する装置の構造及び取扱いの方法
  • 荷役に関する装置の構造、取扱い及び作業の方法
  • 運転に必要な力学に関する知識
  • 関係法令

【実技】実際にフォークリフトを動かしてみよう

学科で学んだ知識を頭に入れたら、次はいよいよ実際にフォークリフトに乗って、その操作方法を身体で覚えていきます。

実技講習は、安全が確保された教習コース内で行われます。経験豊富な指導員がすぐそばで丁寧に指導してくれるため、運転が初めての方でも、ご自身のペースで基本操作からじっくりと練習することが可能です。

実技で練習する主な操作

  • 走行の操作(発進・停止、前進・後進、方向転換など)
  • 荷役の操作(パレットのすくい上げ、荷物の持ち上げ・積み下ろしなど)

全部で何時間?講習時間と日数の目安

特別教育で学ぶ科目と、それぞれに割り当てられた時間は法律で厳密に定められています。

講習時間一覧

区分科目時間
学科走行に関する装置の構造及び取扱いの方法2時間
荷役に関する装置の構造、取扱い及び作業の方法2時間
運転に必要な力学に関する知識1時間
関係法令1時間
実技走行の操作4時間
荷役の操作2時間
合計12時間

このように、学科が6時間、実技が6時間の合計12時間以上の講習を受ける必要があります。このため、ほとんどの教習機関では、講習を2日間の日程で実施するのが一般的です。

ただし、普通自動車運転免許など、特定の資格を持っている場合は学科の一部が免除され、講習時間と日数を短縮することができます。

講習時間の免除例

保有資格免除される科目短縮後の講習時間(目安)
なし免除なし12時間(2日間)
普通自動車免許など走行に関する装置の構造及び取扱いの方法(2時間)10時間(1.5日~2日間)

ご自身が免除の対象となる場合は、申し込みの際に免許証のコピーを提出する必要があります。該当するかどうかを事前に確認し、忘れずに申告しましょう。

受講前に知っておきたい費用や申し込みのこと

講習で学ぶ内容や必要な時間がわかったところで、次はいよいよ具体的な手続きのステップに進みましょう。

「受講したいけれど、費用はどれくらい見ておけばいいの?」「何か特別な資格や経験が必要なのかな?」「どうやって申し込んだらいいんだろう?」といった、受講を決める前に誰もが気になるであろう疑問について、一つひとつ丁寧に解説していきます。このセクションを読めば、資格取得までの道のりがはっきりと見えてくるはずです。

費用はいくらくらい?料金の目安と内訳

フォークリフト運転特別教育の受講費用は、講習を実施する教習機関によって異なりますが、おおむね15,000円から25,000円程度が一般的な相場です。

この費用には、単に講習を受けるための料金だけでなく、資格取得に必要なさまざまな費用が含まれていることがほとんどです。

料金の内訳(一例)

項目内容
受講料学科および実技の講習費用
テキスト代講習で使用する教科書や資料の代金
修了証発行手数料講習修了を証明するカード等の発行費用
保険料万が一の事故に備えるための傷害保険などの費用

これらの費用がすべて含まれた「総額表示」となっている教習機関が多いため、基本的には表示されている金額以外に追加で費用が発生することは少ないでしょう。ただし、念のため申し込みの際には、料金に何が含まれているのかを事前に確認しておくとより安心です。

なお、企業が従業員に受講させる場合、国の助成金制度を活用できる可能性があります。費用負担を軽減するためにも、特別教育・安全衛生教育で利用できる補助金・助成金について、一度確認してみることをお勧めします。

講習を受けるのに特別な資格はいる?

結論から言うと、この特別教育を受けるために、特別な学歴や実務経験などは一切必要ありません。フォークリフトの運転が全くの未経験という方でも、安心して受講し、資格を取得することが可能です。

ただし、一般的に多くの教習機関では、受講資格を「満18歳以上」としています。これは、労働基準法という法律で、18歳未満の者をフォークリフトの運転のような危険な業務に就かせることが禁止されているためです。

安全に作業を行いたいという意欲さえあれば、経験を問わずどなたでも挑戦できる資格です。

申し込みから修了証ゲットまでの4ステップ

受講の申し込みから、資格の証明書である「修了証」を受け取るまでの流れは、一般的に以下の4つのステップで進みます。一つひとつの手続きは決して難しくありませんので、落ち着いて進めましょう。

ステップ1:教習機関を探し、申し込む

まずは、講習を実施している教習機関を探します。インターネットで「フォークリフト 特別教育 (地域名)」などと検索し、ウェブサイトで開催日程や場所、費用などを比較検討しましょう。ご自身の都合に合うコースが見つかったら、ウェブサイトの専用フォームや電話などで申し込みます。

ステップ2:受講料を支払う

申し込みが完了したら、指定された方法で受講料を支払います。銀行振込が一般的ですが、教習機関によっては他の支払い方法が用意されている場合もあります。支払いが確認されると、正式に予約が確定します。

ステップ3:講習当日、会場へ

予約した日時に、必要な持ち物を持って会場へ向かいます。一般的に「本人確認書類(運転免許証など)」「筆記用具」などが必要となります。また、実技講習があるため、動きやすい服装(長袖・長ズボン)と安全靴(または運動靴)を準備しましょう。

ステップ4:修了証を受け取る

法律で定められた12時間のカリキュラムをすべて真面目に受講すれば、講習最終日に「フォークリフト運転特別教育修了証」が交付されます。この修了証は、あなたが有資格者であることを証明する大切なものですので、紛失しないよう大切に保管してください。

これってどうなの?資格や法律のよくある質問

講習の概要や申し込み方法がわかってくると、今度は「取得した後の資格の扱いはどうなるの?」「もし法律を破ってしまったら?」といった、より具体的な疑問が湧いてきますよね。

ここでは、多くの方が気になる資格や法律に関するよくある質問について、一つひとつ分かりやすくお答えしていきます。受講後の不安や疑問を、ここでスッキリ解消しておきましょう。

資格に有効期限ってあるの?更新は必要?

「一度取った資格が、いつの間にか失効してしまったら大変…」と心配される方もいらっしゃるかもしれません。この点については、ご安心ください。

フォークリフト運転特別教育の修了証には、自動車の運転免許証のような有効期限は設けられていません。したがって、定期的な更新手続きも一切不要です。一度、この教育を修了すれば、その資格は生涯にわたって有効となります。

ただし、修了証を紛失したり、破損してしまったりした場合には、再発行の手続きが必要です。手続きは、講習を受けた教習機関で行うのが一般的ですので、万一の際には、ご自身が受講した機関に問い合わせてみましょう。

履歴書の資格欄にはどう書けばいい?

無事に修了証を取得したら、それはあなたの立派なスキルの一つです。就職や転職の際には、履歴書の資格欄に忘れずに記載して、しっかりとアピールしましょう。

その際、どのように書けば良いか迷うかもしれませんが、以下の例のように正式名称で書くのが基本です。

履歴書への記載例

免許・資格
令和〇〇フォークリフト運転特別教育 修了

ポイントは、「取得」ではなく「修了」と書くことです。この資格は、製造業や物流業、小売業など、非常に多くの業界で高く評価されます。ご自身のスキルとして、自信を持って記載してください。

もし資格なしで運転したら…?知っておきたい罰則の話

「ちょっとだけなら」「会社の敷地の中だけだから」といった軽い気持ちで、無資格のままフォークリフトを運転してしまうと、どうなるのでしょうか。これは、皆さんが考えている以上に、重大な結果を招く可能性があります。

結論から言うと、事業者が特別教育を受けさせていない労働者にフォークリフトの運転業務を行わせた場合、それは明確な法律違反となります。

重要なのは、この罰則の対象は、指示に従って運転した労働者本人ではなく、安全管理を怠った「事業者(会社側)」であるという点です。

事業者が負うリスク

責任の種類内容
行政上の責任労働基準監督署による是正勧告や、場合によっては作業停止命令が下される可能性があります。
刑事上の責任労働安全衛生法第119条に基づき、「6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金」が科せられる可能性があります。
民事上の責任万が一、無資格運転で事故を起こした場合、企業は「安全配慮義務違反」を問われ、多額の損害賠償責任を負うことになります。

このように、たった一人の教育を怠ったことが、企業の存続をも揺るがしかねない深刻な事態に発展する恐れがあります。法律を守ることはもちろん、従業員と会社自身を守るためにも、必ず定められた教育を実施してください。

参考URL

  • e-Gov法令検索 労働安全衛生法 
    事業者に特別教育の実施を義務付けている第59条など、本教育の根拠となる法律の条文を原文で確認できます。
  • e-Gov法令検索 労働安全衛生規則 
    最大荷重1トン未満のフォークリフト運転業務が特別教育の対象として具体的に定められている第36条などを確認できる省令です。
  • 厚生労働省|職場のあんぜんサイト 
    厚生労働省が運営する、労働安全衛生に関する総合情報サイトです。フォークリフトによる労働災害の事例や、安全な作業方法に関する資料などが公開されています。
  • 厚生労働省|人材開発支援助成金 
    企業が従業員に特別教育を受けさせる際に利用できる助成金制度の公式サイトです。支給要件や申請方法などを詳しく確認できます。

フォークリフトの運転の業務に係る特別教育(1t未満)|講習内容・費用・日数を徹底解説!” に対して2件のコメントがあります。

コメントは受け付けていません。