足場の組立て等作業従事者特別教育とは?|資格・費用・受講方法を解説!

目次
足場の組立て等作業従事者特別教育とは?
足場の組立て等作業従事者特別教育は、建設現場で足場の組立て・解体・変更作業に従事する労働者に対して法律で義務付けられた安全教育です。労働安全衛生法および関連法令に基づき、2015年(平成27年)7月以降、足場の組立て等の作業に携わる全ての人はこの特別教育を修了していなければなりません。
事業者(企業)は対象となる従業員に本教育を受講させる法的義務があり、未受講のまま作業させることは違法行為となります。
違反した場合、企業や現場責任者が
罰則(6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金)を科される可能性があります。
なぜこれほど厳格なのか|足場の組立て等作業従事者特別教育
なぜこれほど厳格に求められるかというと、足場の組立て作業は高所での危険を伴い、墜落・転落事故や資材の落下事故が後を絶たなかったためです。実際、足場からの墜落事故は規制強化前に年々増加傾向にありました。
そこで国は労働災害を防止するために法令を改正し、足場作業に携わる労働者全員に安全教育(特別教育)を受けさせることで、正しい知識と安全意識を身につけた上で作業に当たるよう徹底したのです。つまり「足場の組立て等作業従事者特別教育」とは、足場作業に必要な知識を教え、労働災害を未然に防ぐための必須資格(修了証)と言えるでしょう。
資格取得のメリット|足場の組立て等作業従事者特別教育
企業が従業員に足場特別教育を受講させることは、法令遵守という観点だけでなく様々なメリットがあります。
主なメリットを以下にまとめます。
労働災害防止
正しい足場の組立て手順や安全対策を習得することで、墜落・転倒などの労働災害を防止できます。教育修了者は危険ポイントを理解し、防護具の適切な使用方法や安全確認の手順を身につけているため、現場での事故リスクが大幅に低減します。結果として、従業員の命や健康を守り、労災による工期遅延や損失も防ぐことができます。
企業の信頼向上
従業員に必要な資格を取得させ、安全管理を徹底している企業は、元請け企業や発注者からの信頼が高まります。法令順守と安全第一の姿勢を示すことは企業イメージの向上につながり、新規案件の受注や優秀な人材の採用にもプラスです。逆に無資格の作業員を現場に出すような企業は敬遠される傾向にあるため、足場特別教育の受講は企業の信用確保に欠かせません。
現場での即戦力化
特別教育を修了した労働者は、足場の組立て・解体作業に関する基礎知識を備えており、現場で即戦力として活躍できます。新人社員であっても教育を受けさせておけば、安全に関する基本を理解した上で現場作業に入れるため、OJT期間の短縮や指導負担の軽減につながります。資格を持った従業員は自信をもって作業に取り組めるため、生産性向上やミスの減少といった効果も期待できます。
受講資格と対象者|足場の組立て等作業従事者特別教育
足場の組立て等作業従事者特別教育を受講できる人の条件は特になく、基本的に誰でも受講可能です。学歴や職歴に関係なく受講できますので、新入社員や未経験者でも問題ありません。
ただし法令上、18歳未満の者は足場の組立て等の作業に就くことが禁止されています。
そのため18歳未満の受講者は講習自体は受けられても
18歳の誕生日を迎えるまでは修了証が交付されない点に注意が必要です。
誰が受講すべきか?|足場の組立て等作業従事者特別教育
実際に誰がこの特別教育を受けるべきかという対象者ですが、端的に言えば
「建設現場で足場の組立てや解体・変更作業に携わる可能性のある全ての作業者」です。
具体的には以下のような業種・職種が該当します。
足場工事業者(鳶職など)
建築物の外装工事や改修工事で足場組立てを専門に行う作業員は、全員が本教育を修了している必要があります。足場の専門職である鳶職(とび職)にとって、足場特別教育の修了証は必須の資格です。
建設会社・工務店の現場作業員
元請け・下請けを問わず、建築・土木工事の現場で自社の作業員が足場の組立てや一部変更を行うケースがあります。たとえば、住宅工事やリフォーム現場で簡易な足場を組んだり解体したりする場合、その作業に従事する社員は特別教育を受けておかなければなりません。
その他関連業種の作業者
塗装工事、設備工事、プラントメンテナンスなど、足場を利用する他職種でも、自ら足場を組み立てたり移動・変更したりする可能性がある場合は受講が求められます。どんな業種であれ、高所作業用に足場を扱う以上は安全教育が不可欠という認識を持ちましょう。
このように建築・建設・土木関連の幅広い企業で該当者が生じ得ます。企業は従業員の職務内容を確認し、少しでも足場構築作業に関与する可能性があるなら事前に特別教育を受講させておくことが重要です。なお、足場特別教育はあくまで作業者向けの資格です。
現場を統括する足場の作業主任者については
別途「足場の組立等作業主任者技能講習」という上位資格が必要になる点も補足しておきます。
(高さ5m以上の高所足場などでは有資格者を作業主任者に選任する義務があります)。
講習内容とカリキュラム|足場の組立て等作業従事者特別教育
足場特別教育の講習は1日(6時間程度)で修了します。カリキュラムは法令で定められており、主に学科講習(座学)で構成されています(一部、資機材の取扱い方法など実技的な説明やデモンストレーションを含む場合もあります)。講習科目と標準的な講習時間は次の通りです。
講習内容
- 足場及び作業の方法に関する知識 – 約3時間
足場の種類や構造、組立て・解体の手順、適切な部材の使用方法など、足場作業の基本を学びます。安全な足場を構築するためのポイントや作業手順の標準もここで習得します。
- 工事用設備、機械、器具、作業環境等に関する知識 – 約30分
足場の組立て作業に用いる工具類の正しい使い方や、クレーン・ウインチ等の補助機械の取り扱い、安全な作業環境の確保方法について学習します。
- 労働災害の防止に関する知識 – 約1時間30分
墜落・転落防止のための措置(フルハーネスなど保護具の使用方法)、落下物防止策、ヒヤリハット事例の紹介など、労働災害を未然に防ぐための知識を学びます。過去の事故例から学ぶ危険予知訓練(KYT)的な内容も含まれます。
- 関係法令 – 約1時間
労働安全衛生法や施行令・規則など、足場の組立て等作業に関する法律の定めを学びます。足場の設置基準(手すりの高さや作業床の幅など規則で定められた基準)や事業者の責務、違反時の罰則等について理解します。
以上の全科目を受講すると講習は修了です。特別教育には国家試験のような修了試験は基本的にありません(※講習機関によっては理解度を確認する簡単なテストや演習を行う場合がありますが、不合格だと資格がもらえないというものではありません)。
講義を全て受け終わると修了証明書(修了証)が発行され、その時点で「足場の組立て等作業従事者特別教育修了者」として認められます。講習内容自体は現場で即役立つ重要な知識ばかりなので、受講時にはしっかりと集中して学ぶよう指導することが大切です。
受講費用と開催場所|足場の組立て等作業従事者特別教育
足場特別教育の受講費用は、受講する地域や主催団体によって多少異なりますが
テキスト代などを含めておおむね1万円前後が相場。
例えば、建設業労働災害防止協会(各都道府県の支部)で開催される講習では約9,000~10,000円程度の受講料であるケースが多く見られます。民間の安全教育機関や専門の講習会社が開催する場合は1万5千円~2万円前後になることもありますが、いずれにせよ1~2万円程度を目安に考えておくとよいでしょう。
企業が複数名の従業員を受講させる場合はそれなりの費用になりますが、昨今では人材育成や安全教育に対する助成金(例:「建設事業主等に対する助成金」)の対象にもなっており、条件を満たせば受講費用の一部を国から補助してもらえる制度もあります。
講習開催場所|足場の組立て等作業従事者特別教育
講習の開催場所は全国各地に用意されています。主な実施団体としては、先述の建設業労働災害防止協会(建災防)の都道府県支部や、一般社団法人の中小建設業特別教育協会、その他各地の労働基準協会・労災防止団体などが挙げられます。これらの団体が地域ごとに研修センターや会議室等で定期的に講習会を開催しており、企業は従業員を最寄りの会場に派遣して受講させることができます。大都市圏では頻繁に開催されていますが、地方でも年に数回は開催されますので、スケジュールを確認して計画的に参加すると良いでしょう。
また、大人数を一度に受講させたい場合には、講師の出張講習(企業内研修)に対応している機関もあります。例えば労働技能講習協会などでは企業の要請に応じて講師を派遣し、社内でまとめて講習を実施することも可能です。自社の社員を一括で教育したい場合や日程を柔軟に調整したい場合は、出張講習の利用も検討してください。
株式会社産業技能センターではおひとり様全て込みで「8,000円」で受講ができます。
会場、出張問わず、気楽にお問い合わせください。
まとめ:企業が従業員に受講させるべき理由
足場の組立て等作業従事者特別教育は、建設・土木業界で働く作業員にとって欠かせない安全資格です。企業が従業員にこの特別教育を受講させることには、以下のような重要な理由があります。
- 安全管理の強化
教育を受けた従業員は安全に対する知識と意識が高まり、現場の安全管理レベルが向上します。結果として労働災害の発生率が下がり、安心して作業を任せられる職場環境が整います。従業員自身も安全に配慮した行動を取るようになるため、現場全体の安全文化の醸成につながります。 - 罰則リスクの回避
法律で義務付けられた教育である以上、未受講者を足場作業に就かせれば企業は法令違反となり処罰のリスクを負います。特別教育修了者のみで現場を運営することで、監督署の臨検や元請けの監査にも堂々と対応でき、罰則や行政指導を受けるリスクを未然に防げます。万が一事故が起きた際も、必要な教育を実施していれば企業の責任追及や労災保険適用上の不利益を回避しやすくなります。 - 受講スケジュールの計画の重要性
企業は繁忙期や工期を見据えて計画的に従業員の受講スケジュールを立てる必要があります。足場特別教育を修了していないとそもそも足場組立て作業に就けないため、資格未取得が原因で現場作業が止まるといった事態は絶対に避けねばなりません。新入社員には早期に受講させて即戦力化を図る、既存社員も業務に支障が出ないタイミングで順次受講させる、といった計画が重要です。特に複数名を受講させる場合は日程調整が鍵となるため、前述の出張講習の活用も含め柔軟に計画しましょう。
以上のように、企業にとって従業員の足場特別教育受講は「安全」と「信用」と「業務効率」の面で大きな意義があります。現場で足場を使った作業を行う限り、従業員全員が適切な教育を受けていることを前提に安全管理体制を組み立てるべきです。
法令遵守はもちろんのこと、「従業員の命を守るための投資」であり「企業の信用を守るための施策」として、計画的かつ積極的に足場特別教育を推進しましょう。適切な資格教育を受けたスタッフがいることは企業の財産であり、ひいては安全で円滑な現場運営と事業発展につながるのです。