丸のこ等取扱い作業従事者教育とは、携帯用丸のこ盤を使用する作業に労働者を就かせる事業者が、その労働者に対して行う安全教育です(平成22年7月14日付け 基安発0714第1号)。カリキュラムは学科3.5時間・実技0.5時間の計4時間で、厚生労働省の通達で定められています。
「丸のこの特別教育」と呼ばれることもありますが、条文上は、労働安全衛生規則 第36条の特別教育の対象業務に丸のこは含まれていません。この記事では、通達の本文にもとづいて、特別教育との違い、対象となる機械と作業者、4時間のカリキュラム、修了証と記録、社内で手配するときの段取りを整理します。
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■ この記事でわかること
- 丸のこ等取扱い作業従事者教育の根拠となる通達と、特別教育との違い
- 受講させないと罰則があるのか、法律上の義務とどう区別するか
- 対象となる機械(携帯用丸のこ盤・スタンドに据えて使う携帯用丸のこ等)と対象者
- 学科3.5時間・実技0.5時間のカリキュラムと、修了証・記録の扱い
- 社内で受講を手配するときのチェックリストと費用(1名8,000円〜)
■ 丸のこ等取扱い作業従事者教育の早見表
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 根拠 | 厚生労働省通達「建設業等において「携帯用丸のこ盤」を使用する作業に従事する者に対する安全教育の徹底について」(平成22年7月14日付け 基安発0714第1号) |
| 法令上の区分 | 労働安全衛生規則 第36条の特別教育ではない(通達にもとづく安全教育) |
| 対象者 | 「携帯用丸のこ盤」を使用して行う作業に従事する労働者(業種を問わない) |
| 実施者 | 労働者を作業に就かせる事業者、または事業者に代わって教育を行う安全衛生団体等 |
| 時間 | 計4時間(学科3.5時間・実技0.5時間) |
| 修了の扱い | 事業者は実施結果を記録・保管/団体が実施した場合は修了を証する書面の交付と修了者名簿の作成・保管 |
| 有効期限 | 通達に有効期限や再受講の定めはない |
| 当センターの料金 | 1名8,000円〜(税込・教材費・修了証発行費込み) |
■ 丸のこの教育は特別教育? 法的な位置づけ
丸のこ等取扱い作業従事者教育は、法令で受講が義務づけられた特別教育ではなく、厚生労働省の通達で事業者に実施が求められている安全教育です。現場では「丸のこの資格」「丸のこ特別教育」と呼ばれることがありますが、区分の整理が必要です。
▶ 安衛則第36条の特別教育に丸のこは含まれない
結論として、丸のこの使用は特別教育の対象業務に含まれていません(労働安全衛生規則 第36条)。特別教育は、労働安全衛生法 第59条第3項にもとづき、同規則 第36条に列挙された業務(研削といしの取替え、アーク溶接、チェーンソーによる伐木等、フルハーネス型墜落制止用器具を用いて行う作業など)に就かせるときに行う教育です。丸のこは、この列挙に入っていません。
特別教育と技能講習・安全衛生教育の区分は特別教育と技能講習の違いで詳しく解説しています。
▶ 根拠は平成22年の厚生労働省通達
根拠は、平成22年7月14日付け 基安発0714第1号の通達です。通達は、携帯用丸のこ盤が建設業をはじめさまざまな業種で広く使われる一方、災害が後を絶たず、死亡災害も毎年発生していること、そのほとんどが安全カバーを固定して「無効化」したまま作業するなどの誤った使用方法によるものであることを背景に挙げています。そのうえで、平成3年1月21日付け 基発第39号「安全衛生教育及び研修の推進について」などにもとづく「特別教育に準じた教育」の一つとして実施要領を定め、都道府県労働局に、事業者や安全衛生団体等がこの要領に沿って教育を行うよう指導・援助することを求めています。
▶ 受けさせないと罰則はある?
丸のこ等取扱い作業従事者教育を実施しなかったこと自体に、労働安全衛生法上の罰則規定はありません。特別教育を行わずに業務に就かせた場合の罰則(6月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金:労働安全衛生法 第119条第1号・第59条第3項)は、安衛則第36条の業務が対象で、丸のこ教育には直接結びつきません。講習の案内などで「受講が義務づけられている」と表記されることがありますが、通達本文に「義務」という語はなく、罰則で担保された法令上の義務とは区別して理解しておく必要があります。
一方で、労働者を雇い入れたときや作業内容を変更したときの安全衛生教育は、法律上の義務です(労働安全衛生法 第59条第1項・第2項)。教育事項には「機械等、原材料等の危険性又は有害性及びこれらの取扱い方法に関すること」「安全装置、有害物抑制装置又は保護具の性能及びこれらの取扱い方法に関すること」などが含まれ(労働安全衛生規則 第35条第1項)、この教育を行わない場合は50万円以下の罰金の対象となり得ます(同法 第120条第1号・両罰規定 第122条)。
【違反リスク】
丸のこ教育そのものに罰則はなくても、新しく丸のこを使わせる労働者に、機械の危険性・安全装置の取扱い・作業手順を教えないまま作業させれば、雇入れ時・作業内容変更時の教育(労働安全衛生法 第59条第1項・第2項)の不備を問われるおそれがあります。通達のカリキュラムは安全装置の作動状況の確認や作業の手順を扱っており、この教育の中身を具体的にする材料にもなります。
丸のこを使う作業員に、どの教育をいつまでに受けさせればよいか迷ったら、お電話でご相談ください。
📞 042-497-8840 に電話して相談する(相談無料・年中無休・7:00〜21:00)
作業内容をうかがい、必要な教育と受講方法をご案内します。
■ 対象となる機械と作業者
通達の対象は「「携帯用丸のこ盤」を使用して行う作業に従事する労働者」です。業種の限定はなく、通達の件名にも「建設業等において」とあるとおり、建設業以外の現場で丸のこを使う労働者も対象に含まれます。
▶ 対象の機械は携帯用丸のこ盤
結論として、中心となるのは手持ち式の携帯用丸のこ盤です(基安発0714第1号 別添1「安全教育実施要領」の2)。さらに通達では、手持ち式の携帯用丸のこ盤をスタンドを用いて土場や作業床に置いて使えるようにした「携帯用丸のこ」等についても、建設業等の現場で広く使われていることから、これらの内容も含めて教育を実施することが望ましいとしています(同 別添1の4(4))。講習を行う機関の案内では、携帯用丸のこ盤・携帯用丸のこ・可搬式丸のこ盤をまとめて「丸のこ等」と表記する例が多く見られます。
| 機械 | 通達上の扱い |
|---|---|
| 手持ち式の携帯用丸のこ盤 | 教育の対象(別添1の2) |
| スタンドを用いて土場や作業床に置いて使う「携帯用丸のこ」等 | 教育内容に含めることが望ましい(別添1の4(4)) |
| 刈払機・チェーンソー | この通達の対象外(それぞれ別の教育がある) |
▶ 据置き型の木材加工用丸のこ盤との違い
丸のこ盤・帯のこ盤・かんな盤・面取り盤・ルーター(携帯用のものを除く)を合わせて5台以上(自動送材車式帯のこ盤を含む場合は3台以上)持つ事業場でのこれらの機械による作業では、木材加工用機械作業主任者の選任が必要で、その資格は技能講習の修了です(労働安全衛生法施行令 第6条)。ただし作業主任者の対象となる木材加工用機械からは「携帯用のもの」が除かれているため、携帯用丸のこ盤だけを使う現場では、この選任の対象になりません。木工所や製材の工程で据置き型を使う場合は、別に確認が必要です。
▶ 職人・新人・パートも受講させるべき?
通達の対象者は、携帯用丸のこ盤を使う作業に従事する「労働者」で、雇用形態や経験年数による区別はありません。経験の長い作業者でも、通達のカリキュラムを受けた記録がなければ、受講を計画しておくと現場ごとの確認にも対応しやすくなります。なお、通達の対象者は「労働者」とされており、一人親方などへの扱いは定められていません。
■ 4時間のカリキュラム(学科3.5時間・実技0.5時間)
カリキュラムは、通達の別紙「携帯用丸のこ盤を使用して作業を行う者に対する安全教育カリキュラム」で、学科5科目・実技1科目の計4時間と定められています(基安発0714第1号 別添1の4(1))。
| 区分 | 科目 | 範囲 | 時間 |
|---|---|---|---|
| 学科 | 携帯用丸のこ盤に関する知識 | 携帯用丸のこ盤の構造及び機能等/作業の種類に応じた機器及び歯の選定 | 0.5時間 |
| 学科 | 携帯用丸のこ盤を使用する作業に関する知識 | 作業計画の作成等/作業の手順/作業時の基本動作(取扱いの基本及び切断作業の方法) | 1.5時間 |
| 学科 | 安全な作業方法に関する知識 | 災害事例と再発防止対策について/使用時の問題点と改善点(安全装置等) | 0.5時間 |
| 学科 | 携帯用丸のこ盤の点検及び整備に関する知識 | 携帯用丸のこ盤及び歯の点検・整備の方法/点検結果の記録 | 0.5時間 |
| 学科 | 関係法令 | 労働安全衛生関係法令中の関係条項等 | 0.5時間 |
| 実技 | 携帯用丸のこ盤の正しい取扱い方法 | 携帯用丸のこ盤の正しい取扱い方法/安全装置の作動状況の確認 | 0.5時間 |
| 合計 | 4.0時間 | ||
▶ 団体が行う場合の人数と講師
安全衛生団体等が行う場合、1回の教育対象人員は概ね50人以内、実技は受講者を1単位概ね10人以内として行うこととされています(基安発0714第1号 別添1の4(2))。講師には、労働安全コンサルタントや木材加工用機械作業主任者として十分な経験を有する者など、カリキュラムの科目について十分な知識・経験を有する者を充てることとされています(同 別添1の4(3))。
▶ 社内で実施することもできる
通達上の実施者は「事業者又は事業者に代わって当該教育を行う安全衛生団体等」で、事業者が自社で行うこともできます(基安発0714第1号 別添1の3)。社内で行う場合も、別紙のカリキュラムの科目と時間に沿って行い、実施結果を記録・保管しておくことが前提です。講師の確保や実技の準備が難しい場合は、外部の講習を利用する方法があります。
■ 修了証・記録・有効期限
修了の扱いは、実施したのが事業者か団体かで異なります。通達別添1の「5 修了証の交付等」の内容は次のとおりです。
| 実施者 | 求められること | 根拠 |
|---|---|---|
| 事業者が自ら実施 | 教育を実施した結果を記録し、保管する | 基安発0714第1号 別添1の5(1) |
| 安全衛生団体等が代わって実施 | 修了を証する書面の交付等で受講を証明し、教育修了者名簿を作成・保管する | 基安発0714第1号 別添1の5(2) |
▶ 修了証に有効期限はある?
通達に、修了証の有効期限や再受講の時期の定めはありません。ただし、使う機械が変わったときや災害・ヒヤリハットがあったときは、作業手順と安全装置の確認をあらためて教育しておくと、現場での再発防止につながります。
【実務ポイント】
特別教育の記録は「3年間保存」と定められていますが(労働安全衛生規則 第38条)、これは第36条の特別教育についての規定です。丸のこ教育の記録について、通達は「記録し、保管すること」としており、保存年数は示していません。修了証の写しと受講者名簿を、特別教育の記録と同じ台帳で管理しておくと、元請からの提出依頼にも対応しやすくなります。
教育記録の管理方法は安全衛生教育の記録の保存期間で解説しています。
■ 当センターの丸のこ等取扱い作業従事者教育
当センターの丸のこ等取扱い作業従事者教育は、1名8,000円〜(税込・教材費・修了証発行費込み)です。受講方法は、オンライン講習(1名から)と出張講習(関東1都6県は5名様から。関東1都6県は交通費・宿泊費・出張基本費なし)からお選びいただけます。少人数の出張や遠方の場合は料金が変わることがあり、受講人数や開催地に応じた費用は料金シミュレーターで概算を確認できます。科目ごとの対応形式・実技の実施方法はお問い合わせください。
| 受講方法 | 人数の目安 | ポイント |
|---|---|---|
| オンライン講習 | 1名から | 新しく入った作業員だけを受講させたい場合に |
| 出張講習(関東1都6県) | 5名様から | 交通費・宿泊費・出張基本費なし/自社の現場や事務所で実施 |
| 出張講習(関東1都6県以外) | 20名様以上が目安 | 人数・日程に応じてご相談 |
受講方法の詳細はオンライン講習のご案内と出張講習のご案内をご覧ください。
■ 丸のこと一緒に確認したい教育
丸のこを使う現場では、ほかの工具・機械の教育も同時に必要になることがあります。教育の区分は工具ごとに異なるため、一覧で確認しておきましょう。
| 工具・作業 | 教育の区分 |
|---|---|
| 携帯用丸のこ盤 | 通達にもとづく安全教育(基安発0714第1号) |
| チェーンソーによる立木の伐木・かかり木の処理・造材 | 特別教育(労働安全衛生規則 第36条第8号) |
| 研削といしの取替え・試運転 | 特別教育(労働安全衛生規則 第36条第1号) |
刈払機(草刈機)の教育は刈払機取扱作業者安全衛生教育、振動工具の教育は振動工具取扱作業者安全衛生教育で解説しています。木造建築物の解体工事に関わる教育は木造建築物解体工事作業指揮者等安全教育、建設現場で必要な特別教育の全体像は建設業で必要な特別教育にまとめています。
■ よくある質問
▶ Q. 丸のこを使うのに資格は必要ですか?
携帯用丸のこ盤の使用に、免許・技能講習・特別教育の定めはありません。ただし、事業者には通達(基安発0714第1号)で丸のこ等取扱い作業従事者教育の実施が求められています。
▶ Q. 「丸のこ特別教育」と「丸のこ等取扱い作業従事者教育」は同じですか?
同じ講習を指して使われることがありますが、条文上は特別教育ではありません。安衛則第36条の特別教育の対象業務に、丸のこは含まれていません。
▶ Q. 講習は何時間ですか?
通達のカリキュラムでは、学科3.5時間・実技0.5時間の計4時間です。
▶ Q. 一度受ければ更新は不要ですか?
通達に有効期限や更新の定めはありません。使う機械が変わったときなどは、社内で作業手順と安全装置の確認を行うと安心です。
▶ Q. オンラインで受講できますか?
当センターではオンライン講習を1名から承っています。実技(0.5時間)の実施方法を含め、科目ごとの対応形式はお問い合わせください。
■ 受講手配のチェックリスト
- 携帯用丸のこ盤(スタンドに据えて使うものを含む)を使う労働者を洗い出した
- そのうち、丸のこ等取扱い作業従事者教育の受講記録・修了証がない人を確認した
- 新しく丸のこを使わせる人に、雇入れ時・作業内容変更時の教育を行う予定を立てた
- 同じ現場で必要なほかの教育(チェーンソー・研削といし・刈払機など)を確認した
- 社内実施か外部講習か、受講方法(オンライン・出張)と日程を決めた
- 修了証の写しと受講者名簿を保管する台帳を用意した
■ まとめ
丸のこ等取扱い作業従事者教育は、携帯用丸のこ盤を使う労働者に対して事業者が行う安全教育で、根拠は平成22年7月14日付け 基安発0714第1号の通達です。カリキュラムは学科3.5時間・実技0.5時間の計4時間で、労働安全衛生規則 第36条の特別教育には含まれません。
教育を行わないこと自体に罰則はありませんが、新しく丸のこを使わせる労働者への雇入れ時・作業内容変更時の教育は法律上の義務です。まずは丸のこを使う人と受講記録を洗い出し、未受講の人から受講を計画してください。
■ 関連する特別教育・安全衛生教育
■ 講習のお申込み・ご相談
丸のこ等取扱い作業従事者教育のお申込み・ご相談は、問い合わせページまたはお電話で受け付けています。お問い合わせ後、お見積もり・お振込みを経て講習日が確定します。
受講人数や日程が決まっていない段階でも、お見積もり・日程のご相談を承ります。
📞 042-497-8840 に電話して相談する(相談無料・年中無休・7:00〜21:00)
オンライン(1名から)と出張講習(関東1都6県は5名様から)から、作業内容に合った受講方法をご提案します。
■ 参考情報・公式リソース
| サイト名 | 概要 | リンク |
|---|---|---|
| 厚生労働省|基安発0714第1号(平成22年7月14日) | 携帯用丸のこ盤を使用する作業に従事する者に対する安全教育の通達とカリキュラム | 公式サイト |
| 厚生労働省|基発第39号(平成3年1月21日) | 安全衛生教育及び研修の推進について(安全衛生教育推進要綱) | 公式サイト |
| e-Gov法令検索|労働安全衛生法 | 第59条・第119条・第120条・第122条の条文 | 公式サイト |
| e-Gov法令検索|労働安全衛生規則 | 第35条(雇入れ時等の教育)・第36条(特別教育を必要とする業務)・第38条の条文 | 公式サイト |
| 厚生労働省|職場のあんぜんサイト「雇入れ時等教育」 | 雇入れ時・作業内容変更時の教育の根拠と教育事項 | 公式サイト |
| 愛知労働局|技能講習の種類 | 木材加工用機械作業主任者技能講習の対象作業(携帯用のものを除く) | 公式サイト |
