作業手順書とは、一つの作業を安全に、確実に、効率よく行うために、作業の順番(主なステップ)と、それぞれのステップで外してはいけない点(急所)、その理由をまとめたものです。職長教育の科目「作業手順の定め方」(労働安全衛生規則 第40条)で学ぶ内容で、雇入れ時の教育でも「作業手順に関すること」を教えることになっています(同規則 第35条)。
この記事では、作業手順書の法令上の位置づけ(作成そのものが義務の場面と、そうでない場面の区別)、書き方の手順、脚立とフォークリフトの記入例、テンプレートの項目、見直しのタイミング、新規入場者・外国人労働者への伝え方を、法令の条文と厚生労働省の資料(いずれも2026年11月4日に確認)をもとに整理しました。
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■ この記事でわかること
- 作業手順書とは何か、作業標準書・作業計画との違い
- 法令上の位置づけ(職長教育・雇入れ時教育・リスクアセスメント)と、作業計画の作成が義務になっている作業
- 作業の分解→主なステップ→急所→理由の順で進める書き方
- 脚立を使った照明交換、フォークリフトでの荷下ろしの記入例(表)
- テンプレートの項目、見直しのタイミング、外国人労働者にも伝わる書き方
■ 作業手順書の早見表
| 項目 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 作業手順書とは | 作業を安全・確実・効率よく行うための、手順(主なステップ)と急所・理由をまとめたもの | 法令上の定義はなし(実務上の用語) |
| 職長教育での扱い | 「作業手順の定め方」「労働者の適正な配置の方法」で2時間 | 安衛法 第60条第1号、安衛則 第40条第2項 |
| 雇入れ時の教育 | 教育事項の一つが「作業手順に関すること」 | 安衛則 第35条第1項第3号 |
| リスクアセスメントとの関係 | 作業方法・作業手順を新規に採用・変更するときはリスクアセスメントの実施時期 | 安衛法 第28条の2、安衛則 第24条の11第1項第3号 |
| 作成が義務の書類 | 手順書という名称の一般的な義務はなし。ただし、特定の作業では「作業計画」の作成と周知が義務 | 安衛則 第151条の3、第155条、第194条の9、第539条の5、石綿則 第4条など |
| 書き方の流れ | 作業の分解→主なステップ→急所(安全・品質・やりやすさ)→急所の理由 | 職長教育などで一般に使われる方法 |
| 見直しの時期 | 作業方法・設備・材料の変更時(法令上のリスクアセスメント実施時期)。災害・ヒヤリハットの発生時や定期の見直しは実務上の目安 | 安衛則 第24条の11第1項(変更時) |
■ 作業手順書とは
結論として、作業手順書は、誰がやっても同じ手順で、同じように安全に作業できるようにするための書類です。ベテランの頭の中にある「コツ」や「ここだけは外すな」という点を文字と写真にして、職場の共通ルールにします。
▶ 作業手順書の目的
結論として、目的は「けがをしない」「不良を出さない」「ムダなく作業する」の3つを同時にかなえることです。手順が人によって違うと、慣れていない人ほど危ない動作をしやすくなります。決まった手順があれば、新しく入った人への教育にも、作業中の指導にも、災害が起きたときの原因調査にも使えます。
- 教育:雇入れ時や作業内容の変更時に、手順と急所を同じ内容で教えられる
- 指導・監督:職長が「手順どおりか」を基準にして声をかけられる
- 原因調査:災害やヒヤリハットのとき、手順のどこがずれていたかを確かめられる
- 技能の継承:ベテランのコツを、個人の経験ではなく職場の財産として残せる
▶ 作業標準書・作業計画との違い
結論として、作業手順書と作業標準書を区別する法令上の定義は、本記事で確認した条文の中にはありません。一方、「作業計画」は法令の用語で、特定の作業について、あらかじめ定めて関係労働者に知らせることが義務になっているものがあります。
| 名称 | 主な中身 | 法令上の扱い |
|---|---|---|
| 作業手順書 | 一つの作業を、主なステップ・急所・理由に分けて書いたもの | 名称としての一般的な作成義務はなし。職長教育・雇入れ時教育の教育事項に関係 |
| 作業標準書 | 作業の条件・基準(使う設備や材料、品質の基準など)をまとめたもの。会社によって作業手順書と同じ意味で使うこともある | 法令上の定義はなし |
| 作業計画 | 作業の方法・順序、運行経路、使う機械の種類・能力、危険防止の方法など(作業ごとに条文で項目が決まっている) | 車両系建設機械・フォークリフト・高所作業車・ロープ高所作業・石綿の解体等などで作成と周知が義務 |
作業計画は「その現場・その日の作業」の計画で、作業手順書は「その作業の基本のやり方」と考えると整理しやすくなります。作業計画が必要な作業では、作業手順書があっても作業計画は別に定めます。
■ 法令上の位置づけ
結論として、作業手順書は「職長が定め、雇入れ時に教え、リスクアセスメントの結果を反映するもの」として、法令の複数の規定と関係しています。ここでは、作成そのものが義務になっている場面と、教育や努力義務の中で求められている場面を分けて説明します。
▶ 職長教育の科目「作業手順の定め方」
結論として、建設業・製造業などで新たに職長になる人には、作業手順の定め方を含む職長教育を行う義務があります。労働安全衛生法 第60条は、政令で定める業種で新たに職務につく職長など(作業主任者を除く)に、「作業方法の決定及び労働者の配置に関すること」などの安全衛生教育を行うよう事業者に義務づけています。
対象の業種は、建設業、製造業(たばこ製造業、繊維工業〔紡績業・染色整理業を除く〕、衣服その他の繊維製品製造業、紙加工品製造業〔セロファン製造業を除く〕を除く)、電気業、ガス業、自動車整備業、機械修理業です(労働安全衛生法施行令 第19条)。
| 教育の事項(労働安全衛生規則 第40条第2項) | 時間 |
|---|---|
| 作業手順の定め方、労働者の適正な配置の方法 | 2時間 |
| 指導及び教育の方法、作業中における監督及び指示の方法 | 2.5時間 |
| 危険性又は有害性等の調査の方法、調査の結果に基づき講ずる措置、設備・作業等の具体的な改善の方法 | 4時間 |
| 異常時における措置、災害発生時における措置 | 1.5時間 |
| 設備・作業場所の保守管理の方法、労働災害防止についての関心の保持及び労働者の創意工夫を引き出す方法 | 2時間 |
つまり、作業手順書をつくり、それで部下を教え、作業中に手順どおりかを見るのは、職長の基本の役割です。教育の内容と受け方は職長・安全衛生責任者教育で詳しく解説しています。
▶ 雇入れ時・作業内容変更時の教育
結論として、労働者を雇い入れたときや作業内容を変更したときは、遅滞なく、従事する業務に関する安全衛生教育を行わなければならず、その事項の一つが「作業手順に関すること」です(労働安全衛生規則 第35条第1項第3号)。十分な知識・技能があると認められる労働者には、その事項を省略できます(同条第2項)。
この教育の上位の条文である労働安全衛生法 第59条第1項の違反は、同法 第120条で50万円以下の罰金の対象として列挙されています。作業手順書があれば、教える内容が人によってばらつかず、教えた記録も残しやすくなります。詳しくは雇入れ時の安全衛生教育をご覧ください。
▶ リスクアセスメントとの関係(安衛法 第28条の2)
結論として、作業手順を新しくつくるときや変えるときは、リスクアセスメントを行い、その結果を手順書の急所に反映させます。労働安全衛生法 第28条の2は、危険性又は有害性等を調査し、その結果にもとづいて必要な措置を講ずるよう事業者に求めています(努力義務)。化学物質等以外の調査は、建設業・製造業などの省令で定める業種が対象です(労働安全衛生規則 第24条の11第2項)。
調査を行う時期の一つとして、「作業方法又は作業手順を新規に採用し、又は変更するとき」が定められています(同規則 第24条の11第1項第3号)。
厚生労働省の「危険性又は有害性等の調査等に関する指針」(平成18年3月10日公表)では、法令に定められた事項があればそれを必ず実施したうえで、リスク低減措置を次の優先順位で検討するとしています。作業手順書の整備は3番目の「管理的対策」にあたります。
- 危険な作業の廃止・変更など、設計や計画の段階から危険性又は有害性を除去・低減する措置
- インターロック、局所排気装置などの工学的対策
- マニュアルの整備等の管理的対策
- 個人用保護具の使用
手順書で「気をつける」だけに頼る前に、危ない作業そのものをなくせないか、機械や設備で防げないかを先に考えます。そのうえで残った危険を、手順書の急所でおさえます。進め方はリスクアセスメント担当者研修でも解説しています。
▶ 作業計画の作成が義務になっている作業
結論として、次の作業では、作業手順書とは別に、法令で定められた項目を含む作業計画をあらかじめ定め、その計画どおりに作業し、条文で定められた事項を関係労働者に周知することが義務です(周知する事項の範囲は条文ごとに異なります。2026年11月4日にe-Govで確認)。
| 作業 | 作業計画に示す主な事項 | 根拠 |
|---|---|---|
| 車両系建設機械を用いる作業 | 使用する機械の種類・能力、運行経路、作業の方法 | 安衛則 第155条 |
| 車両系荷役運搬機械等(フォークリフトなど)を用いる作業 | 運行経路、作業の方法(作業指揮者を定め、計画にもとづき指揮させる) | 安衛則 第151条の3、第151条の4 |
| 高所作業車を用いる作業(道路上の走行を除く) | 作業の方法 | 安衛則 第194条の9 |
| 鉄骨の組立て等の作業(令第6条第15号の2の作業) | 作業の方法・順序、部材の落下・倒壊防止の方法、墜落防止設備の設置方法 | 安衛則 第517条の2 |
| コンクリート造の工作物の解体等の作業(令第6条第15号の5の作業) | 作業の方法・順序、使用する機械等の種類・能力、倒壊・落下による危険の防止方法(事前の調査も必要) | 安衛則 第517条の14 |
| ロープ高所作業 | 作業の方法・順序、人数、支持物の位置、ロープの種類・強度・長さ、切断防止、墜落・落下防止、応急の措置など9項目 | 安衛則 第539条の5 |
| 石綿が使用されている建築物等の解体等の作業 | 作業の方法・順序、粉じんの発散防止・抑制の方法、労働者のばく露防止の方法 | 石綿障害予防規則 第4条 |
なお、移動式クレーンを用いる作業では、作業の方法、転倒を防止するための方法、労働者の配置及び指揮の系統を定めて、作業の開始前に関係労働者に周知することが義務です(クレーン等安全規則 第66条の2)。また、つり足場・張出し足場・高さ2メートル以上の足場の組立て、解体、変更の作業では、条文上「作業計画」という言葉は使われていませんが、組立て等の時期、範囲及び順序を作業者に周知することが義務です(労働安全衛生規則 第564条第1項第1号)。
【違反リスク】
作業計画を定める規定は、事業者が講ずべき措置(労働安全衛生法 第20条〜第25条)を具体的に定めた省令の規定です。同法 第119条は、第20条から第25条までの違反を6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象として列挙しています。個々の作業がどの条に当たるかは、所轄の労働基準監督署に確認してください。なお、職長教育を定めた第60条は、第119条・第120条の罰則に列挙されていません(2026年11月4日にe-Govで確認)。
■ 作業手順書の書き方(4つのステップ)
結論として、作業手順書は「作業の分解→主なステップ→急所→理由」の順に書くと、抜けが少なく、読む人にも伝わりやすくなります。これは職長教育などで一般に使われている進め方です。書き始める前に、次の準備をしておきます。
- 対象の作業を一つに絞る:「荷の運搬」のように大きくせず、「トラックからのパレットの荷下ろし」のように始まりと終わりがはっきりした単位にする
- 実際の作業を見る:机の上で書かず、作業を見ながら、慣れた人と一緒に書く
- 過去の災害・ヒヤリハットを集める:その作業で起きたこと、起きかけたことを急所の材料にする
- リスクアセスメントの結果を手元に置く:見積もったリスクと低減措置を手順に反映する
▶ ステップ1:作業を分解する
結論として、作業の始まりから終わりまでを、実際の動きの順にすべて書き出します。この段階では細かくてもかまいません。「脚立を運ぶ」「脚立を開く」「開き止めをかける」のように、目に見える動作で書くのがコツです。準備と後片付けも作業の一部として入れます。
▶ ステップ2:主なステップにまとめる
結論として、書き出した動作を、作業が一段階進む区切りごとにまとめ、「主なステップ」にします。一つの作業で5〜10ステップ程度に収めると、覚えやすく、現場で見返しやすくなります。
- 「何を」「どうする」の形で短く書く(例:「パレットにフォークを差し込む」)
- 一つのステップに、二つ以上の動作を詰め込まない
- 「注意する」「気をつける」はステップには書かず、次の急所に回す
- 番号を振り、作業の順番どおりに並べる
▶ ステップ3:急所を書く(安全・品質・やりやすさ)
結論として、急所とは、そのステップをうまくやれるかどうかを左右するポイントです。一般に、次の3つの観点で考えます。
| 観点 | 考え方 | 例 |
|---|---|---|
| 安全 | 外すとけが・災害につながる点 | 「開き止めを確実にかける」「フォークを最低降下位置まで下げる」 |
| 品質(できばえ) | 外すと不良・やり直しになる点 | 「ランプの口金を奥まで差し込む」「荷の重心をフォークの中央に合わせる」 |
| やりやすさ | 知っていると作業が楽に、速くなる点 | 「交換するランプは先に箱から出しておく」「パレットの差込口の正面から進む」 |
急所は、具体的な数字や動作で書きます。「慎重に」「十分に」のような言葉では、人によって受け取り方が変わります。また、急所を一つのステップに3つも4つも並べると覚えきれません。本当に外してはいけない点に絞ります。
▶ ステップ4:急所の理由を書く
結論として、すべての急所に「なぜそうするのか」の理由を書きます。理由がわかると、手順書に書かれていない場面でも正しく判断でき、「面倒だから」と省かれることも減ります。理由は「〜しないと、〜になるおそれがあるため」のように、起こりうる災害や不具合と結びつけて書きます。
書き終えたら、実際に手順書を読み上げながら作業してもらい、抜けている動作や、現場では守れない急所がないかを確かめます。そのうえで職長や安全担当が確認し、作成日・作成者・承認者を記入して完成です。
作業手順書を書いてみたものの、急所の書き方やリスクアセスメントとのつなげ方に迷ったら、お電話でご相談ください。
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■ 作業手順書の記入例
結論として、記入例は「主なステップ」「急所」「急所の理由」の3列でつくると、現場で一目で読めます。以下は一般的な例です。実際の手順書は、使う機械の取扱説明書、現場の条件、リスクアセスメントの結果に合わせてつくってください。
▶ 例1:脚立を使った天井照明のランプ交換
結論として、脚立作業では、脚立の状態と開き止め、立つ位置、両手がふさがる時間をおさえるのが急所です。この例は、作業する面の高さが2メートル未満の場合を想定しています。高さ2メートル以上の箇所で墜落のおそれがあるときは、足場を組み立てるなどの方法で作業床を設け、それが困難なときは防網を張り、要求性能墜落制止用器具を使用させるなどの措置が必要です(労働安全衛生規則 第518条)。
| No. | 主なステップ | 急所 | 急所の理由 |
|---|---|---|---|
| 1 | 照明のスイッチを切る | スイッチを切り、「作業中・操作禁止」の表示をする | ほかの人が点灯させると、感電ややけどのおそれがあるため |
| 2 | ランプが冷えるのを待つ | 素手で触れて熱くないことを確かめる | 点灯直後のランプは熱く、やけどや取り落としのおそれがあるため |
| 3 | 脚立を点検する | 脚・踏み面に割れ、変形、腐食がないか、開き止め金具が効くかを見る | 著しい損傷・腐食等がない材料であること、脚と水平面の角度75度以下・開き止め金具が求められているため(安衛則 第528条) |
| 4 | 脚立を設置する | 平らで滑らない床に置き、開き止めを確実にかける | 脚が開いたり傾いたりすると転落するため |
| 5 | 脚立に昇る | ランプは腰袋などに入れ、両手で脚立をつかんで昇る | 手に物を持って昇ると、バランスを崩したとき支えられないため |
| 6 | ランプを交換する | 製品の表示・取扱説明書で禁止されている段(天板など)に乗らない。体を乗り出さず、届かなければ降りて脚立を移す | 体の重心が脚立の外に出ると、脚立ごと倒れるため |
| 7 | 脚立から降りる | 外したランプは腰袋に入れ、後ろ向きで1段ずつ降りる | 最後の段の踏み外しによる転倒を防ぐため |
| 8 | 点灯を確認し片付ける | 表示を外してからスイッチを入れ、点灯を確かめる。外したランプは割れないよう保管する | 確認漏れによる再作業や、破損したランプでのけがを防ぐため |
▶ 例2:フォークリフトでのトラックからの荷下ろし
結論として、フォークリフト作業では、作業計画と作業指揮者の確認、始業点検、人との接触防止、運転位置を離れるときの措置が急所です。フォークリフトを用いる作業は、作業計画(運行経路・作業の方法)を定めて関係労働者に周知し(労働安全衛生規則 第151条の3)、作業指揮者に計画にもとづいて指揮させることが義務です(同規則 第151条の4)。作業手順書は、この作業計画と矛盾しないようにつくります。
運転には資格が必要です。最大荷重1トン以上のフォークリフトは技能講習の修了者(労働安全衛生法施行令 第20条第11号)、1トン未満は特別教育を受けた人(労働安全衛生規則 第36条第5号)が運転します(いずれも道路上の走行を除く)。
| No. | 主なステップ | 急所 | 急所の理由 |
|---|---|---|---|
| 1 | 作業計画と指揮者を確認する | 運行経路、荷の置き場所、作業指揮者、誘導者を作業前に確認する | 計画と違う動きをすると、歩行者や他の車両と接触するおそれがあるため(安衛則 第151条の3・第151条の4) |
| 2 | 始業点検をする | 制動装置・操縦装置、荷役装置・油圧装置、車輪、前照灯・後照灯・方向指示器・警報装置を点検する | その日の作業開始前の点検が義務で、異常のまま使うと制動不良などにつながるため(安衛則 第151条の25) |
| 3 | トラックの停止を確認する | トラックの運転者が運転位置を離れるときは、エンジンを止め、駐車ブレーキを確実にかけていることを確かめる | 作業中にトラックが動くと、荷やフォークリフトが落下するおそれがあるため(安衛則 第151条の11) |
| 4 | フォークを差し込む | パレットの正面からまっすぐ進み、フォークを差込口の奥まで入れる | 差し込みが浅いと、持ち上げたときに荷が傾いて落ちるため |
| 5 | 荷を持ち上げて後退する | 少し持ち上げて荷の安定を確かめ、後方を目で確認してから後退する。荷台周辺に人を立ち入らせない | 荷の崩れや、後方の人との接触を防ぐため(安衛則 第151条の7) |
| 6 | 荷を運ぶ | 荷を低い位置に保って走行し、誘導者がいるときはその合図に従う。乗車席以外の箇所に人を乗せない | 高い位置で走ると転倒しやすく、乗車席以外の箇所に人を乗せることは原則禁止のため(安衛則 第151条の7第2項・第151条の13) |
| 7 | 荷を置く | 置き場の正面で止まり、ゆっくり下ろしてからフォークを抜く | 急な操作は荷崩れや転倒の原因になるため |
| 8 | 運転位置を離れる | フォークを最低降下位置に置き、エンジンを止め、駐車ブレーキを確実にかける | フォークへのつまずきや、無人のフォークリフトが動き出すことを防ぐため(安衛則 第151条の11) |
■ 作業別に注意したいこと(高所作業車・玉掛け・足場など)
結論として、法令で作業計画や資格が決まっている作業では、作業手順書をつくる前に、その作業に必要な計画・資格・周知を確認してください。作業手順書だけで法令の義務を満たしたことにはなりません。
| 作業 | 作業手順書のほかに確認すること | 根拠 |
|---|---|---|
| 高所作業車 | 場所の状況、高所作業車の種類・能力等に適応する作業計画(作業の方法)を定め、周知する | 安衛則 第194条の9 |
| フォークリフト | 作業計画(運行経路・作業の方法)、作業指揮者、運転資格(1トン以上は技能講習、1トン未満は特別教育) | 安衛則 第151条の3・第151条の4・第36条第5号、安衛令 第20条第11号 |
| 玉掛け | 資格(つり上げ荷重1トン以上のクレーン等は技能講習、1トン未満は特別教育)。移動式クレーンを使う場合は作業の方法・転倒防止の方法・配置と指揮の系統を定めて周知 | 安衛令 第20条第16号、安衛則 第36条第19号、クレーン則 第66条の2 |
| 足場の組立て・解体・変更 | つり足場・張出し足場・高さ2メートル以上の足場では、時期・範囲・順序の周知、関係者以外の立入禁止、悪天候時の中止など | 安衛則 第564条 |
| 車両系建設機械 | 機械の種類・能力、運行経路、作業の方法を示した作業計画 | 安衛則 第155条 |
特別教育が必要な業務の一覧は特別教育の一覧、作業主任者の選任が必要な作業は作業主任者の一覧で確認できます。
■ 作業手順書のテンプレート(記載項目)
結論として、作業手順書は、ヘッダー(作業の基本情報)と本文(ステップ・急所・理由)の2つに分けると、どの作業でも同じ書式で使えます。次の項目を参考に、自社の様式をつくってください。
| 区分 | 項目 | 書き方のポイント |
|---|---|---|
| ヘッダー | 作業名・作業番号 | 「〇〇の〇〇作業」と範囲がわかる名前にし、番号で管理する |
| ヘッダー | 作業の範囲(始まりと終わり) | どこから始まり、どこで終わる作業かを1行で書く |
| ヘッダー | 必要な資格・教育 | 技能講習・特別教育など、その作業に必要な資格を書く |
| ヘッダー | 使用する機械・工具・材料 | 型式や容量など、取り違えが起きない程度に具体的に書く |
| ヘッダー | 保護具 | 保護帽、安全靴、保護手袋、墜落制止用器具など、その作業で使うものを書く |
| ヘッダー | 人数・役割 | 作業者、指揮者、誘導者、合図者などの配置 |
| ヘッダー | 想定される災害 | リスクアセスメントで見積もった主な危険(墜落、はさまれ、接触など) |
| 本文 | No./主なステップ | 動作の順に番号を振り、「何をどうする」で書く |
| 本文 | 急所 | 安全・品質・やりやすさの観点で、具体的な動作や数字で書く |
| 本文 | 急所の理由 | 起こりうる災害・不具合と結びつけて書く |
| 本文 | 写真・イラスト | 急所の場面を写真で示す(正しい例と誤った例を並べるとわかりやすい) |
| 管理欄 | 作成日・改訂日・改訂内容 | いつ、何を変えたかを残す |
| 管理欄 | 作成者・確認者・承認者 | 現場の作業者・職長・安全担当などが確認したことを残す |
| 管理欄 | 関連する作業計画・RA番号 | 作業計画やリスクアセスメントの記録と結びつける |
■ わかりやすく書くコツ(写真・イラスト・外国語)
結論として、作業手順書は「読ませる」より「見せる」書類にすると、経験の浅い人や外国人労働者にも伝わります。手順を1つずつ区切って簡潔に書き、写真やイラストを添えるのが基本です。
▶ 写真・イラストを使う
結論として、急所の場面は、文字で説明するより写真1枚のほうが確実に伝わります。開き止めがかかった状態、フォークを差し込む位置など、「ここを見てほしい」部分に印をつけます。正しい例と誤った例を並べると、違いがひと目でわかります。
- 写真は実際の現場・実際の機械で撮る
- 1枚の写真で伝えることは1つに絞る
- 文字は短くし、主語と動作をはっきり書く(「〇〇を〇〇する」)
- 専門用語や社内の略語には、言いかえを添える
▶ 新規入場者・外国人労働者への伝え方
結論として、外国人労働者への安全衛生教育は、母国語等を用いる、視聴覚教材を用いるなど、本人が内容を理解できる方法で行います(外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針〔平成19年厚生労働省告示第276号〕)。同じ指針では、労働災害防止のための標識・掲示を図解等の方法で理解できるようにすること、必要な日本語や基本的な合図を習得させることにも努めるとしています。
- やって見せる:手順書を見せながら、職長が実際に作業してみせる
- 言って聞かせる:急所と理由を、短い言葉で一つずつ説明する
- やらせてみる:本人に手順書どおりに作業してもらい、急所を言ってもらう
- 確かめる:理解できたかを確認し、できていない点をその場で直す
翻訳した手順書を用意する場合も、元の日本語の手順書と同じ番号・同じ写真を使い、改訂のときは両方を同時に直します。新規入場者教育や外国人労働者への教育の進め方は、新入社員の安全衛生教育、外国人労働者への安全衛生教育もあわせてご覧ください。
■ 作業手順書を見直すタイミング
結論として、作業手順書は一度つくって終わりではなく、作業や設備が変わるたびに見直します。作業方法・作業手順を新規に採用・変更するとき、設備や原材料を新規に採用・変更するときは、リスクアセスメントを行う時期でもあります(労働安全衛生規則 第24条の11第1項)。
| タイミング | 見直しの観点 |
|---|---|
| 作業方法・手順を変えるとき | 変更後の手順でリスクアセスメントを行い、急所を書き直す |
| 機械・設備・工具・材料を変えるとき | 取扱説明書と照らし、操作の順番や点検項目を直す |
| 災害・ヒヤリハットが起きたとき | 手順のどこで起きたか、急所に抜けがなかったかを確かめる |
| 手順書どおりに作業されていないとき | 守れない手順になっていないか、現場の声を聞いて直す |
| 定期点検(社内で時期を決める) | 変更がなくても、年に1回など時期を決めて内容を確かめる |
ヒヤリハットの集め方はヒヤリハットの事例、毎日の作業前の確認はKY活動の記事が参考になります。KY活動で作業手順書を読み合わせると、急所が現場に定着しやすくなります。
■ よくある質問
▶ Q. 作業手順書の作成は法律で義務づけられていますか?
結論として、「作業手順書」という名称の書類の作成を、すべての作業に一般的に義務づける規定は、本記事で確認した条文の中にはありません。ただし、職長教育では「作業手順の定め方」を教えること(労働安全衛生規則 第40条)、雇入れ時の教育では「作業手順に関すること」を教えること(同規則 第35条)が定められています。また、車両系建設機械(第155条)やフォークリフトなど(第151条の3)、ロープ高所作業(第539条の5)などでは、作業計画を定めることが義務です。
▶ Q. 作業手順書と作業標準書の違いは何ですか?
結論として、両者を区別する法令上の定義は、本記事で確認した条文の中にはありません。現場では、作業の条件や基準をまとめたものを作業標準書、その作業を一つずつの動作の順番と急所に落とし込んだものを作業手順書と呼び分ける例が多く見られます。社内で呼び方と役割を決めておくと混乱しません。
▶ Q. 作業手順書とリスクアセスメントはどう関係しますか?
結論として、作業手順書はリスクアセスメントの結果を現場の動作に反映させる道具です。作業方法や作業手順を新しく採用したり変更したりするときは、リスクアセスメントを行う時期とされています(労働安全衛生規則 第24条の11第1項第3号)。国の指針では、リスク低減措置の3番目の優先順位に「マニュアルの整備等の管理的対策」が挙げられています。
▶ Q. 作業手順書はどのくらいの頻度で見直せばよいですか?
結論として、法令で決まった周期はありません。作業方法や設備・原材料を変えるとき、災害やヒヤリハットが起きたとき、手順書どおりに作業できていないことがわかったときには、必ず見直してください。変更がなくても、年に1回など社内で時期を決めて点検しておくと安心です。
▶ Q. 外国人労働者にはどう伝えればよいですか?
結論として、母国語等を用いる、視聴覚教材を用いるなど、本人が内容を理解できる方法で教育を行います(外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針)。写真やイラストを中心にした手順書をつくり、実際にやって見せてから本人にやってもらい、理解したかを確かめる進め方が効果的です。
■ 作業手順書のチェックリスト
- 作業の始まりと終わりがはっきりした単位で、作業名をつけた
- 実際の作業を見ながら、作業を動作ごとに分解した
- 主なステップは「何をどうする」の形で、5〜10程度にまとめた
- 急所を安全・品質・やりやすさの観点で、具体的な動作や数字で書いた
- すべての急所に理由を書いた
- リスクアセスメントの結果と過去の災害・ヒヤリハットを反映した
- 作業計画・資格・周知が法令で必要な作業かを確認した
- 写真やイラストを入れ、外国人労働者にも伝わる表現にした
- 作成日・作成者・承認者・改訂履歴を記入した
- 見直しの時期を決めた
■ まとめ
- 作業手順書は、作業の主なステップ・急所・理由をまとめ、誰がやっても安全・確実にできるようにする書類。
- 職長教育の「作業手順の定め方」(安衛則 第40条)、雇入れ時教育の「作業手順に関すること」(安衛則 第35条)と結びついている。
- 手順書という名称の一般的な作成義務はないが、フォークリフト・車両系建設機械・高所作業車・ロープ高所作業・石綿の解体等などでは作業計画の作成と周知が義務。
- 書き方は、作業の分解→主なステップ→急所(安全・品質・やりやすさ)→理由。リスクアセスメント(安衛法 第28条の2)の結果を急所に反映する。
- 作業や設備を変えるとき、災害・ヒヤリハットが起きたときに見直し、写真・イラストや母国語の教材で伝える。
■ 講習のご相談
産業技能センターでは、作業手順の定め方を含む「職長・安全衛生責任者教育」を行っています。【初回】は出張講習のみで5名以上・13,000円〜、再教育は9,000円〜です。そのほか、リスクアセスメント担当者研修など多くの科目を1名様8,000円〜(税込・教材費・修了証発行費込み)で行っており、オンライン講習(Google Meet・1名様から)または出張講習(関東1都6県は5名様から)で受講できます。フォークリフトや玉掛けの技能講習は、当センターでは行っていません。登録教習機関でお申し込みください。
職長に作業手順書のつくり方をきちんと身につけてほしいと考えたら、お電話でご相談ください。
📞 042-497-8840 に電話して相談する(相談無料・年中無休・7:00〜21:00)
業種・人数・職長の経験をうかがい、必要な教育と受講の段取りをご案内します。
■ 関連する記事
■ 参考(一次情報・2026年11月4日確認)
- e-Gov法令検索|労働安全衛生法(第28条の2・第59条・第60条・第119条・第120条)
- e-Gov法令検索|労働安全衛生法施行令(第19条・第20条)
- e-Gov法令検索|労働安全衛生規則(第24条の11・第35条・第36条・第40条・第151条の3ほか・第155条・第194条の9・第517条の2・第517条の14・第518条・第528条・第539条の5・第564条)
- e-Gov法令検索|クレーン等安全規則(第66条の2)
- e-Gov法令検索|石綿障害予防規則(第4条)
- 厚生労働省|危険性又は有害性等の調査等に関する指針
- 厚生労働省|外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針
- 職場のあんぜんサイト|荷役作業に係る作業指揮者
