【2026年最新版】チェーンソーによる伐木等特別教育とは?|カリキュラム・費用を解説!

チェーンソーによる伐木等特別教育は、2020年(令和2年)8月1日の改正により大径木・小径木の区分が廃止・統合され、現行は学科9時間+実技9時間(合計18時間)の新カリキュラムで実施されています。旧カリキュラム(学科6時間+実技4時間)で記載されている情報は古いため注意が必要です。

本記事では、現行の労働安全衛生規則第36条第8号と厚生労働省通達(基発0214第9号)に基づき、対象作業、カリキュラム、費用相場、必要書類、補講制度までを、2026年5月時点の最新制度に基づき整理しました。

ご不明点はよくある問い合わせ、または問い合わせページからご相談ください。


■ この記事でわかること

  • 2020年8月の統合改正後の新カリキュラム(学科9時間+実技9時間)
  • 労働安全衛生規則第36条第8号および関連通達の根拠
  • 対象となる作業範囲とチェーンソーの種類
  • 受講料の相場と人材開発支援助成金の活用
  • 旧カリキュラム修了者に必要な補講制度

目次


■ チェーンソーによる伐木等特別教育の早見表

項目内容
根拠条文労働安全衛生法 第59条第3項/労働安全衛生規則 第36条第8号
関係通達基発0214第9号(平成31年2月14日)/チェーンソーによる伐木等作業の安全に関するガイドライン(基発1207第3号)
統合改正の施行日令和2年(2020年)8月1日
対象作業チェーンソーを用いて行う立木の伐木・造材・かかり木の処理・下肢の切創防止 等
教育時間学科9時間+実技9時間(合計18時間)
受講料相場18,000円〜30,000円(1人あたり、教材費・修了証含む)
罰則教育未実施は労働安全衛生法第119条により6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
補講制度旧第8号修了者・旧第8号の2修了者は補講で新カリキュラムに対応可
修了証の有効期限法定の有効期限なし

■ チェーンソーによる伐木等特別教育とは

労働安全衛生法第59条第3項により、危険業務に労働者を就かせるときは、事業者が特別教育を実施する義務があります。チェーンソーを用いた伐木等業務は、労働安全衛生規則第36条第8号で特別教育の対象業務として定められています。

▶ 2020年8月の統合改正

2019年(平成31年)2月14日付け基発0214第9号「労働安全衛生規則の一部を改正する省令等の施行について」により、従来の以下2つの特別教育が令和2年8月1日施行で統合されました。

区分旧制度(2020年7月31日まで)新制度(2020年8月1日以降)
大径木(胸高直径70cm以上等)安衛則第36条第8号 学科8h+実技5h第36条第8号 学科9h+実技9h(統合)
小径木(上記以外)安衛則第36条第8号の2 学科5h+実技3h同上
追加内容造材方法/下肢の切創防止用保護衣/チェーンソー作業の最新安全基準

【注意】 旧カリキュラム(学科6時間+実技4時間)の情報を掲載するサイトが今も残っていますが、現行カリキュラムは学科9時間+実技9時間(合計18時間)です。受講前に必ず最新カリキュラム対応の機関であることを確認してください。

▶ 法的位置づけ

【違反リスク】 事業者が特別教育を実施せず労働者をチェーンソー業務に従事させた場合、労働安全衛生法第119条により6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象となります(2025年6月施行の刑法改正により懲役・禁錮は「拘禁刑」に一本化)。また、重大災害発生時には刑法第211条業務上過失致死傷罪(5年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金)の刑事責任を問われる可能性もあります。


■ 対象となる作業とチェーンソーの種類

▶ 対象業務

労働安全衛生規則第36条第8号は「動力により駆動されるチェーンソーを用いて行う立木の伐木、かかり木の処理または造材の業務」と規定しています。

作業区分具体例
立木の伐木森林伐採(主伐・間伐)/支障木・危険木の除去/災害復旧時の倒木処理
造材伐倒木の規定長への切断/用途別寸法調整/玉切り
かかり木の処理伐倒木が他の立木にかかった状態の解除作業
枝払い伐倒木からの枝の除去

▶ 対象チェーンソーの種類

動力により駆動されるチェーンソーであれば、動力源・サイズを問わず特別教育の対象です。

種類動力源主な用途
エンジン式ガソリンエンジン大径木伐採・長時間作業
電動式(コード式)交流電源小径木・短時間作業
電動式(バッテリー式)充電式バッテリー住宅地・騒音制限区域

【実務ポイント】 電動式・バッテリー式であってもキックバック現象や切創リスクは同様に存在するため、特別教育の対象です。電動チェーンソーのみを使用する場合でも教育受講が必要です。


■ 受講対象者と要件

▶ 対象者

雇用形態教育実施義務者
正社員・契約社員事業者
派遣社員派遣先事業者(労働者派遣法第45条)
アルバイト・パート事業者
請負作業員雇用関係にある事業者
一人親方自主受講(労働災害防止のため強く推奨)

▶ 年齢要件

労働基準法第62条および年少者労働基準規則第8条により、満18歳未満の年少者はチェーンソーによる伐木等業務に就かせることが禁止されています。受講自体は18歳未満でも可能な機関がありますが、実務従事は18歳到達後となります。

▶ 健康状態

チェーンソー作業は振動・騒音・体力負荷を伴うため、心疾患・高血圧・てんかん等の既往歴がある場合は産業医の意見を確認してから受講を検討してください。


■ カリキュラム(学科9時間+実技9時間)

労働安全衛生特別教育規程(昭和47年労働省告示第92号)の改正に基づく現行カリキュラムは以下のとおりです。

▶ 学科科目(9時間)

科目範囲時間
伐木作業に関する知識伐倒の合図/伐倒の方向の決定/受け口・追い口・つるの作り方/かかり木の処理 等4時間
チェーンソーに関する知識チェーンソーの種類・構造/取扱い/点検・整備2時間
振動障害およびその予防に関する知識振動障害(白ろう病)の原因・症状/予防対策2時間
関係法令労働安全衛生法/安衛則/特別教育規程中の関係条項1時間

▶ 実技科目(9時間)

科目範囲時間
伐木の方法伐倒方向の決定/受け口・追い口・つるの作成/かかり木の処理5時間
造材の方法玉切り/挟まれ防止2時間
チェーンソーの操作始動・停止/基本操作/安全装置の確認2時間
チェーンソーの点検および整備始業前点検/ソーチェーンの目立て/給油(上記に含む)

【実務ポイント】 統合改正で「下肢の切創防止用保護衣(チェーンソー防護ズボン・チャップス)」の着用が強く推奨されています。実技時は防護衣・ヘルメット・防振手袋・保護メガネ・耳栓・安全靴の準備が必要です。


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■ 旧カリキュラム修了者の補講制度

2020年7月31日以前に旧第36条第8号または旧第8号の2の特別教育を修了している場合、新カリキュラムをすべて受講し直す必要はありません。基発0214第9号で示された補講制度で対応可能です。

旧制度の修了状況必要な補講内容
旧第36条第8号(大径木)修了者学科:伐木作業に関する知識(追加分)/実技:造材の方法・下肢の切創防止用保護衣に関する科目
旧第36条第8号の2(小径木)修了者学科:大径木に関する知識/実技:大径木の伐倒・造材の方法

【例外規定】 補講時間は機関により異なるため、受講前に旧修了証の確認と補講内容の事前見積を取ることを推奨します。新規受講より時間・費用とも抑えられます。


■ 受講料の相場とコスト

▶ 受講料の目安

形態1名あたり費用目安期間
会場講習(個人受講)18,000円〜30,000円2〜3日
出張講習人数・地域により変動(要見積)2〜3日
補講(旧修了者向け)6,000円〜15,000円半日〜1日

詳細な費用試算は料金シミュレーターでご確認ください。

▶ 助成金の活用

人材開発支援助成金(特定訓練コース・一般訓練コース)の対象となる場合があります。中小企業の助成率は受講料・賃金助成ともに高めに設定されていますが、受講前の計画届提出が必須です。要件は年度により変動するため、厚生労働省の最新要領を確認してください。

▶ 費用負担

労働安全衛生法第59条に基づく特別教育の費用は、原則として事業者負担です。昭和47年9月18日付け基発第602号通達では、特別教育は「所定労働時間内に行うのを原則とし、その間の賃金を支払うこと」「費用は事業者が負担すべき」と示されています。


■ 修了証と記録の保存

▶ 修了証の効力

項目内容
有効期限法定の有効期限なし(生涯有効)
携行現場での携行が推奨
再発行教育実施機関に依頼(手数料・期間は機関により異なる)
紛失対応機関の保管期間内であれば再発行可

▶ 記録の保存

労働安全衛生規則第38条により、特別教育の記録は3年間の保存義務があります。

保存すべき項目:受講者氏名/受講年月日/特別教育の科目/講師の氏名/教育実施場所。

【違反リスク】 記録未作成・未保存は労働基準監督署の臨検時に是正勧告の対象です。事業者は教育修了者一覧と受講記録を文書管理規程に組み込んで管理してください。


■ 関連資格・上位資格

▶ 伐木等作業との関連資格

資格・教育関係性
林業架線作業主任者技能講習架線集材作業の管理資格(実務経験要件あり)
玉掛け技能講習伐採木の運搬・積込みで併用される
車両系木材伐出機械(伐木等機械・走行集材機械)運転特別教育ハーベスタ・フォワーダ等の機械化林業への展開
刈払機取扱作業者安全衛生教育下刈り・草刈作業の併用
振動工具取扱作業者安全衛生教育振動障害予防の関連教育

【実務ポイント】 伐木等作業を行う事業場では、業務内容に応じて作業主任者の選任・安全管理体制の整備が求められる場合があります。事業場の規模・作業内容に応じて、職長教育や安全衛生責任者教育の併修を検討してください。


■ 受講前後のチェックリスト

▶ 受講前チェック

  •  対象作業(伐木・造材・かかり木の処理)に従事する予定の労働者を特定した
  •  旧カリキュラム修了者の有無を確認し、補講か新規受講かを切り分けた
  •  受講者が18歳以上であることを確認した
  •  健康状態(心疾患・高血圧・てんかん等の既往歴)を確認した
  •  受講形態(会場/出張)と日程を確定した
  •  防護衣・ヘルメット・防振手袋・安全靴等の安全装備を準備した
  •  人材開発支援助成金の事前計画届を提出した(活用する場合)

▶ 受講後チェック

  •  修了証を受領し、原本を社内保管した
  •  特別教育の実施記録(受講者・科目・日時・場所・講師)を作成し、3年間保存する体制を整えた
  •  修了者一覧を作成し、現場配置に反映した
  •  チェーンソー作業手順書・始業前点検記録の運用を整備した
  •  振動工具取扱時間の管理体制(年間時間・1日2時間以内目安)を整備した
  •  緊急時対応(応急処置・連絡網・救急搬送)を文書化した

■ まとめ

チェーンソーによる伐木等特別教育は、労働安全衛生規則第36条第8号に基づき事業者に実施義務が課された法定教育です。2020年8月1日施行の統合改正により、現行カリキュラムは学科9時間+実技9時間(合計18時間)に拡充されています。

旧カリキュラム(学科6時間+実技4時間)の情報は現行制度と異なるため、受講前に必ず最新カリキュラム対応の機関であることを確認してください。旧制度の修了者は補講制度で新カリキュラムに対応可能です。

受講料の相場は1名あたり18,000円〜30,000円。特別教育の費用は原則事業者負担で、人材開発支援助成金の活用も可能です。教育実施記録は労働安全衛生規則第38条により3年間の保存義務があります。


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■ 参考情報・公式リソース

サイト名概要リンク
e-Gov法令検索|労働安全衛生規則第36条第8号の条文確認公式サイト
厚生労働省|伐木作業等の安全対策の規制が変わります統合改正の概要資料公式サイト
厚生労働省|チェーンソーによる伐木等作業の安全に関するガイドライン改正ガイドライン本文・解説公式サイト
厚生労働省|職場のあんぜんサイト労働災害事例・安全衛生情報公式サイト
林業・木材製造業労働災害防止協会林業労働災害防止のガイドライン・統計公式サイト
中央労働災害防止協会(中災防)安全衛生講習・刊行物公式サイト
厚生労働省|人材開発支援助成金教育受講費の助成制度公式サイト