木造建築物解体工事作業指揮者等安全教育とは?|資格・費用・受講方法を解説!

木造家屋の解体現場では、構造の崩落や重機との接触など多様なリスクが入り混じります。こうした高リスク作業を安全に統括するのが「木造建築物解体工事作業指揮者」です。

労働安全衛生法に基づき、指揮者となる技術者には 木造建築物解体工事作業指揮者等安全教育 の受講が義務化されています。本記事では 対象者と法的根拠 を整理し、学科 5 時間 + 演習 1 時間の標準カリキュラム、全国平均費用(8,000~15,000 円)、そして 通学・出張・オンライン併用の受講方法 を比較。さらに最短 1 日で修了証を取得するコツや、助成金・団体割引の活用術まで解説します。これから解体工事を請け負う施工管理者や中小建設業の安全衛生担当者は、現場の労働災害ゼロを目指す第一歩としてぜひ参考にしてください。

義務化された背景と法的根拠

労働安全衛生法と解体則の位置づけ

木造住宅の解体は壁・柱・梁が突然崩れる危険が高く、重機との接触や落下物も複合するため、労働安全衛生法では 解体工事を統括・指揮する者 に安全衛生教育の受講を義務づけています。

  • 労働安全衛生法第59条2項
    事業者は、危険または有害な業務に従事させる労働者に対し必要な安全衛生教育を行わなければならない。
  • 労働安全衛生規則第36条9号〈解体則〉
    「木造建築物の解体工事」を危険有害業務に指定し、作業指揮者を選任するよう規定。
  • 基発第0407001号通達(2023 年改正)
    木造解体工事作業指揮者等安全教育の最低カリキュラム(学科 5 h+演習 1 h)と修了証様式を示す。

つまり、現場の安全計画を立案し作業を統括する技術者は、法 59 条 → 解体則 36 条 → 通達カリキュラム の三段構えで教育受講が必須です。

木造解体工事で多発する災害事例

事故型典型的発生要因主な防止策
崩壊・倒壊不均衡な手順で壁・梁を先に外す/老朽材の想定外破断工程ごとの支保工、手順書遵守、試し壊し
墜落・転落屋根・梁上での切断作業中に踏み抜き高所作業車・フルハーネス、足場の先行設置
挟まれ・巻き込まれ重機旋回半径へ立ち入る重機隔離帯の設定、回転灯・警報ブザー
飛来落下物2 階床材や瓦が投下→下部作業員直撃投下シュート設置、立入禁止帯の明示

厚生労働省資料によると、建設業死亡災害の 38 % が 墜落・転落、11 % が 崩壊・倒壊 で占められ、いずれも解体工事で頻発する事故型です。こうした背景から、木造解体現場では指揮者に危険予知(KY)と手順管理を徹底させることが法的に求められています。

指揮者に求められる役割と責任

作業指揮者は、木造建築物の解体工事における安全・工程・品質を総合的にマネジメントするキーパーソンです。以下の 2 項目が中心的な職務となります。

作業計画の立案とリスクアセスメント

  • 手順の設計:屋根材→外壁→梁・柱の順に解体するなど、崩壊しない工程を策定し書面化する。
  • 構造検証:現地調査で老朽化・腐食・増改築歴を把握し、支保工や仮設足場の配置を決定する。
  • リスクの洗い出し:崩壊・墜落・重機接触・粉じん・騒音など、解体特有の危険源をリストアップ。
  • 評価と対策:発生確率と影響度を評価し、優先度の高いリスクから排除・低減策を盛り込む。
  • 周辺対策:近隣家屋・道路・電線を考慮し、防音パネルや散水、飛散防止ネットを計画に反映する。
  • 提出・共有:作業計画書を事業者・元請・労基署へ提出し、現場全員へ周知する。

労働者への安全指示と現場統括

  • KY(危険予知)活動:作業開始前に手順確認とリスク共有を行い、当日の工程変更を即時反映。
  • 重機オペレーターとの連携:旋回範囲・合図・待避位置を決定し、立入禁止区域を明示。
  • 保護具・装備管理:フルハーネス、ヘルメット、呼吸用保護具の着用状況を巡回し是正。
  • 環境モニタリング:倒壊警報センサーや粉じん計など、計測機器の設置とデータの確認。
  • 作業中断の権限行使:安全基準外の行為や天候急変(強風・降雨)時は作業を即時中断。
  • 記録と報告:日報に作業状況・ヒヤリハットを記載し、元請や労務管理者へ共有。
  • 関係者調整:資材搬出の車両誘導や近隣住民への説明など、外部対応を含む統括管理。

ポイント

  • 作業計画は“書面化”と“周知”が必須。現場変更が生じた場合は速やかに再評価する。
  • 指揮者は安全だけでなく工程効率も担保する立場だが、安全を最優先とする判断が求められる。

受講が必要な作業と対象者

木造建築物解体工事作業指揮者等安全教育は、「木造構造物を機械または手工具で解体する作業を統括・指揮する者」を対象とする法定教育です。実際には下表のような工事規模・作業範囲に該当する場合、元請・下請を問わず指揮者(現場代理人や職長など)が受講し、修了証を携帯する義務があります。

対象となる工事規模・作業範囲

区分具体例教育の要否
建築物規模延べ面積 80 ㎡ を超える木造家屋、2 階建て共同住宅、古民家再生のための全解体など必須
部分解体屋根葺き替えに伴う小屋組み撤去、耐震改修での外壁一部撤去原則必須(崩壊リスクを伴う場合)
内装解体のみ間仕切り撤去、造作材・建具の取り外し構造体に手を付けなければ職長教育で代替可
重機併用油圧ショベル+つかみ機での引倒し解体必須(重機オペレーションの指揮含む)
手ばらし解体バール・チェンソー等での手解体必須(崩壊・墜落リスクが高い)
補助・合図重機合図、散水係、車両誘導原則不要(ただし作業間協議会で手順周知は必要)

補足

  • 延べ 80 ㎡ 以下であっても、隣接家屋が近接し倒壊時の第三者災害が想定される場合は、労基署から指揮者選任を求められることがあります。
  • 鉄骨造やRC 造の混構造建物でも、「木造部分の解体」を独立工区として施工する場合は受講が必要です。

免除・代替が認められるケース

条件省略または代替範囲注意点
過去 3 年以内に同教育を修了追加受講不要作業内容が大幅に変わる場合は再教育が望ましい
解体工事施工技士(1・2 級)取得者学科の一部(法令・構造知識)を社内教育で振替可実技演習(手順書作成・支保工計画)は受講推奨
職長・安全衛生責任者教育を 2 年以内に修了リーダーシップ・KY 部分を省略可崩壊・重機災害の専門知識は受講が必要
工区が 10 ㎡ 未満の小規模解体作業指揮者を置かず職長が兼任書面による作業計画と元請承認が前提
短期の補助スタッフ(1 日未満)指揮者教育の代わりに作業前安全教育危険箇所の立入禁止帯を明示し監督下で作業

重要

  • 法令上の完全免除条文はなく、代替・省略は「同等以上の教育内容が担保される場合」に限定。
  • 省略時は必ず「省略理由・範囲・対象者」を教育記録簿に記載し、監督署の指摘に備えること。

カリキュラムと修了基準

木造建築物解体工事作業指揮者等安全教育は、厚生労働省通達(基発0407001号)で
学科5時間+演習1時間(計6時間) が法定最低ラインと定められています。
多くの講習機関は1日完結型で実施し、学科試験と演習評価に合格した受講者へ修了証を発行します。

学科科目一覧と所要時間

科目主な内容時間
木造構造と解体手順架構・仕口の弱点、崩壊防止手順、支保工計画1.5 h
重機併用解体の安全管理油圧ショベル・つかみ機の操作範囲、立入禁止帯1.0 h
リスクアセスメント実務作業計画書・KY シートの作成、優先度付け0.5 h
墜落・飛来落下対策フルハーネス使用、高所足場・防護ネット0.5 h
災害事例と関係法令労安法・解体則、元請・下請の責任区分1.5 h
学科計5.0 h

学科評価

  • 選択式テスト 25 問(正答率 70 % 以上で合格)
  • 不合格者は当日追試または後日再受講

演習内容と評価方法

演習テーマ実施内容評価ポイント時間
作業計画シミュレーション模擬図面を用いて解体順序と支保工配置を決定崩壊・墜落リスクの抽出と対策の妥当性30 min
重機・作業員動線レイアウト模型上で重機旋回域と待避帯を設定動線分離・合図位置の明確化15 min
緊急時対応ロールプレイ倒壊寸前の想定で作業中断と退避指示指揮命令の速さと的確さ15 min
演習計1.0 h

演習評価

  • 講師チェックシート(10 項目)で「手順適合・危険判断・指示伝達」を採点
  • 全項目クリアで合格(再演習は1回まで許容)

修了基準

要件基準
出席学科・演習とも 100 % 出席
学科テスト正答率 70 % 以上
演習評価チェックリスト全項目合格
修了証交付基準達成者へ当日または翌営業日に交付

修了証の交付と有効範囲

項目内容
交付主体講習機関(自社開催の場合は事業者)
有効範囲全国共通・工事規模を問わず有効
有効期限法定期限なし(新工法導入・法改正時は再教育推奨)
再発行紛失・破損時は講習機関へ申請(手数料あり)

ポイント

  • 6時間は“最低時間”です。大型物件や重機比率が高い現場では、演習時間を延長し8時間コースを採用する講習機関もあります。
  • 完全オンラインは不可。演習で「作業計画作成」と「指揮命令」の実践が義務付けられているため、対面または出張方式で実施する必要があります。

受講スタイル別の特徴

受講スタイル概要主なメリット注意点
通学制講習受講者が講習機関の教室・演習室に集合して学科 5 h+演習 1 h を受講・重機模型や支保工模型を備えた設備で体系的に学べる
・定期開催が多く日程調整しやすい
・移動時間と交通費がかかる
・繁忙期は定員オーバーで予約しづらい
出張講習(現場・社内開催)講師が事業所や作業所へ出向き、社内会議室+現場仮設で実施・受講者の移動コストゼロ
・自社図面を用いた実践的演習が可能
・10 名以上なら割安になることが多い
・演習スペース(10 ㎡程度)の確保や模擬図面準備が主催側の負担
・5 名以下だと割高になりやすい
オンライン+演習ハイブリッド学科をライブ配信またはオンデマンドで受講し、演習のみ対面で実施・学科をリモートで受講でき遠方でも参加しやすい
・録画を復習に活用できる
・演習日は必ず集合が必要
・通信環境不良時は学科を再受講する場合がある

通学制講習

  • 所要時間:6 時間(学科 5 h+演習 1 h)
  • 費用相場:8,000〜15,000 円/人
  • 向いているケース:少人数で早期に取得したい中小解体業者、個人事業主

出張講習(現場・社内開催)

  • 所要時間:6〜7 時間(現場図面を使った演習を延長する場合あり)
  • 費用目安:基本料金 10〜15 万円+人数×8,000〜10,000 円
  • 向いているケース:同一現場に 10 名以上の作業指揮者候補がいるゼネコンやハウスメーカー

オンライン+演習ハイブリッド

  • 所要時間:学科(リモート 5 h)+演習(対面 1 h)
  • 費用相場:9,000〜16,000 円/人
  • 向いているケース:遠隔地の支店・現場が多く、学科を一度に済ませたい多拠点企業

費用とスケジュールの目安

全国平均費用と内訳(モデルケース)

費用項目通学制講習(1 名)出張講習(10 名モデル)オンライン+演習(1 名)
受講料(学科+演習)7,500〜12,000 円85,000〜110,000 円*8,000〜13,000 円
テキスト・教材費1,000〜1,500 円10,000〜12,000 円1,000〜1,500 円
修了証交付手数料300〜500 円3,000〜4,000 円300〜500 円
交通・出張関連費用受講者負担講師の旅費・宿泊込実技集合日の交通費
会場・機材使用料講習機関負担主催側または講師側見積講習機関負担
概算合計8,800〜14,000 円100,000〜130,000 円9,300〜15,000 円

*出張講習は「基本料金+人数×単価」で算出(上記は 10 名参加時の凡例)。


最短取得日数とタイムライン

フェーズ通学制出張講習オンライン+演習
申込締切の目安開催日の 7〜10 日前実施日の 3〜4 週間前学科配信日の 5〜7 日前
受講当日(学科)09:00〜14:00(5 h)09:00〜14:00(5 h)リモート 5 h(前日または同日午前)
受講当日(演習)14:15〜15:15(1 h)14:15〜15:45(1〜1.5 h)現地 1 h(当日午後)
修了証交付当日または翌営業日当日または翌営業日演習終了後 当日
現場着任まで1〜2 日1〜2 日1〜2 日

タイムライン例(通学制・個人受講)

  1. 申込:講習日の 8 日前
  2. 受講票受領:5 日前
  3. 当日
    09:00〜14:00 学科 5 h
    14:15〜15:15 演習(作業計画シミュレーション)
  4. 15:30 修了証交付 → 翌日から現場で指揮可能

タイムライン例(出張講習・10 名)

  1. 希望日ヒアリング:1 か月前
  2. 見積確定・契約:3 週間前
  3. 教材発送・図面準備:1 週間前
  4. 当日
    09:00〜15:45 学科+演習(休憩含む)
  5. 16:00 修了証交付 → 翌日から稼働可

ポイント

  • 法定教育自体は 1 日(6時間)で完結するため、最短 2 日あれば受講から現場着任まで可能。
  • 出張講習は人数が多いほど 1 名あたりのコストが下がるが、会場準備・図面印刷など事前手配が必要。
  • オンライン+演習は学科を一括受講できるため多拠点企業に最適。ただし演習日の移動時間は考慮すること。

講習機関の選び方と比較ポイント

チェックリスト(講師・設備・実績)

評価軸確認ポイント着眼例
講師の質解体工事施工技士・登録解体工事講習修了者の有無/現場経験年数「木造解体歴 10 年以上」「年間 30 現場の安全指導実績」
カリキュラム学科 5 h+演習 1 h を満たし、演習で作業計画書の作成まで行うか模擬図面・支保工模型・重機模型がそろっているか
実習設備倒壊シミュレータ/重機可動模型/VR 危険体験「重機旋回域を可視化できる床マット」など
修了証発行即日交付/電子データ対応/再発行の手軽さ「当日紙+PDF ダウンロード」「再発行 1,100 円」
実績年間受講者数/大手ゼネコン採用例「年間 800 名」「公共工事 JV 指名」
アフターサポート法改正メルマガ/現場巡回サービス「リカレント講習 30 % OFF」「現場指導オプション」
料金透明性見積書内訳/追加費用の有無テキスト・修了証・模型使用料込みか
立地・日程駅近・駐車場/月間開催回数「繁忙期でも毎週開催」「無料駐車 20 台」

選び方のコツ

  1. 法定時間を満たすかを最初に確認。
  2. 講師の現場経験演習ツールの充実度で絞り込む。
  3. 修了証の即日交付再発行フローまでチェックすると追加コストを防げる。

団体割引・助成金の活用方法

施策内容適用条件手続きの流れ
団体割引8~10 名以上一括申込で 5~20 % 割引同一日程・同会場①人数連絡 → ②割引見積 → ③請求書発行
年間パッケージ契約年間受講枠をまとめ買いして単価を下げる年間契約書締結①枠確保 → ②必要月に受講登録
キャリアアップ助成金OFF-JT 費用+賃金助成雇用保険適用事業所①訓練計画届 → ②受講 → ③支給申請
人材開発支援助成金中小企業の技能訓練費を補助年間計画提出①年間計画 → ②実施 → ③実績報告
建退共拠出金控除講習費を損金算入し節税建退共加入企業決算・年末調整で経費処理

活用ポイント

  1. 見積段階で割引率を確認し、対象人数をまとめる。
  2. 助成金は 計画届は受講前に提出 が鉄則。受講後申請は不支給。
  3. 賃金助成を申請する場合は 出席簿と賃金台帳 をセットで保管。
  4. 講習費・交通費は全額損金算入できるため、年度内に一括受講すると税負担を抑えやすい。

団体割引+助成金+経費処理を組み合わせれば、実質コストを 30~40 % 削減 できる場合もあります。価格だけでなくサポート内容まで含めて比較検討しましょう。

受講当日の流れ

受付から講義・演習まで(モデルタイムライン)

時刻(目安)内容詳細ポイント
08:30受付開始受講票・本人確認書類を提示し、テキストと名札を受け取る
08:50オリエンテーション日程説明、非常口・喫煙所案内、スマホ取扱いルール
09:00学科① 木造構造と解体手順支保工計画、倒壊メカニズム(休憩 10 分含む)
10:30学科② 重機併用解体の安全旋回半径・立入禁止帯、合図方法
11:30学科③ 墜落・飛来落下対策フルハーネス、高所足場、散水
12:00昼休憩(60 分)会場内または近隣飲食店を利用
13:00学科④ リスクアセスメントと法令解体則・作業計画書・元請責任
14:00学科テスト(25 問)正答率 70 % 以上で合格
14:30演習① 作業計画シミュレーション模擬図面で解体順序・支保工を決定
15:00演習② 重機・作業員動線レイアウト模型やマグネットで動線分離を作成
15:30演習③ 緊急時対応ロールプレイ倒壊寸前を想定し退避指示を実践
15:50演習評価・講評講師チェックシートで採点、質疑応答
16:20修了証交付・解散当日交付。再発行手続き案内も実施

上記は標準 6 時間コースの一例です。講習機関により時間配分が前後する場合があります。


持ち物・服装・注意事項

カテゴリ必須任意・推奨備考
書類受講票、本人確認書類、筆記用具電卓本人確認ができないと受講不可
服装長袖作業服または長袖長ズボン、安全靴綿製インナー半袖・短パン・サンダル禁止
保護具ヘルメット、フルハーネス(貸与可)、手袋耳栓、ゴーグル自社支給品を持参すると実践的
その他昼食・飲料水・タオル雨具、モバイルバッテリー会場に自販機がない場合あり

注意事項

  • 遅刻・早退不可:法定 6 時間を欠くと修了証が発行できません。
  • 体調不良や急用で欠席する際は 必ず事前連絡 し、振替可能か確認してください。
  • 学科テスト不合格者は追試または再受講になる場合があります。
  • 演習では 支保工計画書と倒壊防止手順の提出 が求められます。準備不足だと再演習になるので、事前に木造構造の基本を復習しておきましょう。

よくある質問(FAQ)

受講期限・更新はある?

修了証には法定の有効期限がありません。ただし、解体工法の変更や法改正、事故発生などで危険要因が変わった場合は、事業者に再教育を実施する義務があります。実務上は3〜5年ごと、あるいは新工法・新重機導入時にリカレント講習を行い、最新の安全基準を全員で共有する企業が多数です。

他資格との違い・互換性

資格・講習主な対象業務本教育との関係
登録解体工事講習建設リサイクル法で規定される解体工事の技術管理者法域が異なり代替不可。両方の修了証が必要
解体工事施工技士(1・2級)技術力を証明する国家資格学科内容が一部重複するが、本教育は別途必要
職長・安全衛生責任者教育作業チーム全体の安全管理木造解体特有の崩壊・重機リスクは未カバー
フルハーネス特別教育高所作業での墜落防止解体作業指揮の工程管理までは扱わない

結論:上位資格や関連資格があっても、木造解体の「作業指揮者」になるには本教育を個別に受講する必要があります。

受講できない場合の代替案

  • 近隣に講習機関がない/日程が合わない
    → 学科をオンラインで受講し、演習のみを別日に集合するハイブリッド講習を利用するか、講師派遣の出張講習を手配する。
  • 当日に体調不良や急用が発生した
    → 事前連絡をすれば振替受講が可能な場合が多いが、講習機関によっては全日程の再受講が必要。規定を事前に確認しておく。
  • 日本語が不慣れな外国人作業者
    → 多言語テキスト(英語・ベトナム語など)を提供する講習機関を選ぶか、社内通訳の同伴可否を事前に確認する。
  • 身体的事情で演習が難しい
    → 合図者や計画書作成担当として配置し、現場操作は有資格者が担当する体制を構築。事業者はリスクアセスメントを行い、補助具や配置転換を検討する。

ポイント
・振替や代替案を利用する場合でも、演習で「倒壊防止手順」や「緊急時指示」を体験的に習得することが必須です。
・省略・代替を適用した際は、理由・範囲・対象者を教育記録簿に残し、監督署の確認に備えてください。

まとめ ─ 木造解体の安全と効率を両立するために

木造建築物の解体工事は、崩壊・墜落・重機接触など多重リスクが常に隣り合わせです。木造建築物解体工事作業指揮者等安全教育を受講すれば、構造の弱点を踏まえた支保工計画や重機動線の分離、緊急時の退避手順まで体系的に学べます。学科 5 時間+演習 1 時間の半日コースで修了証を取得でき、通学・出張・オンライン併用の各スタイルを組み合わせれば、現場の人数や工期に合わせた柔軟な教育計画が可能です。団体割引や助成金を活用すればコストを抑えつつ、多拠点の作業指揮者を一括育成できます。さらに、工法変更や法改正のタイミングでリカレント講習を行えば、安全基準を常に最新状態に保てるため、労働災害ゼロと工程効率の両立が現実的な目標となります。今日紹介したポイントを参考に、自社の解体現場で安全文化を根付かせましょう。

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