職長教育・安全衛生責任者教育とは?|資格・費用・受講方法を解説!

現場の安全と生産性を左右する「職長」と「安全衛生責任者」。労働安全衛生法では、作業チームを率いる職長に就く前に 職長教育・安全衛生責任者教育 を受講することが義務づけられています。
本記事では、対象者と法的根拠を整理し、学科12時間+実技4時間(計2日)の標準カリキュラム、全国平均費用(1万5千~3万円)、さらに通学・出張・オンライン受講の違いを比較。最短で修了証を取得するコツや、助成金・団体割引の活用術、よくある質問までまとめました。これから職長に選任される作業リーダーや、安全衛生担当者はぜひ参考にしてください。
目次
義務化の背景と法的根拠
現場の事故は、作業そのものより指示ミスが原因になることが多い。そこで労働安全衛生法第60条と安衛則第40条は、職長・安全衛生責任者に14時間の安全衛生教育を義務付けた。危険予知や部下への指導方法を体系的に学ばせ、管理体制を強化するのが狙いだ。未受講で指揮させれば、50万円以下の罰金や行政指導の対象になるうえ、事故時の企業責任も重くなる。まずは法律の趣旨を押さえ、計画的に受講を進めよう。
労働安全衛生法と職長の位置づけ
1972 年に施行された労働安全衛生法は「労働災害の絶滅」を目的に、事業者へ安全衛生管理体制の整備を義務づけました。その中核が 職長(作業班長)です。
- 労働安全衛生法 第 60 条
事業者は、危険または有害な作業を行う作業グループの責任者(=職長)に対し、作業方法の指示や安全衛生教育を実施できるよう必要な能力向上教育を行わなければならない。- 労働安全衛生規則 第 40 条
職長を補佐する者として 安全衛生責任者 を選任し、職長と協力して作業者の安全を確保することを求める。
これらの条文を具体化する形で、厚生労働省は「職長・安全衛生責任者教育」(学科 12 h+実技 4 h)を標準カリキュラムとして告示し、建設・製造・物流など幅広い業種に適用しています。
職長と安全衛生責任者の役割の違い
役割 | 主な任務 | 法的位置づけ | 典型的な業務 |
---|---|---|---|
職長(作業班長) | 作業手順の立案・指示、班員への危険予知活動(KY)の実施 | 労安法 60 条 | 作業工程の進捗管理、顧客への報告、現場巡回 |
安全衛生責任者 | 職長を補佐し、安全衛生計画の策定・評価を主導 | 労安則 40 条 | 作業環境測定、ヒヤリハット分析、労基署対応 |
ポイント
- 小規模現場では 「職長が安全衛生責任者を兼任」 するケースが多い。
- 大規模プロジェクトでは、安全衛生責任者が複数の職長を統括し、リスクアセスメントや法令遵守をモニタリングする。
両者は 現場のリーダーと安全マネジメントの専門家 という関係にあり、互いに協力することで安全と生産性を同時に高める仕組みになっています。
受講が必要な業種・対象者
職長教育・安全衛生責任者教育は、「危険または有害な作業を行う作業グループ(労安法 60 条)」を統括するリーダーが対象です。厚生労働省の通達では、以下の業種を中心に受講が義務づけられています。
業種カテゴリ | 代表例 | 教育要否 | 備考 |
---|---|---|---|
建設・土木 | とび・土工、型枠、鉄筋、足場、解体 | 必須 | 原則すべての工区で必要 |
製造・プラント | 機械加工、鉄鋼、化学、食品製造 | 必須 | 5 名以上の班を統括する場合 |
設備保全 | 電気・計装、ボイラー設備、冷凍空調 | 必須 | 高圧電気・高温設備を扱う班 |
物流・倉庫 | フォークリフト運用、ピッキングライン | 必須 | 荷重物取扱いが常態の班 |
林業・造園 | 伐採、集材、特殊伐木 | 必須 | チェンソー・高所作業車併用 |
造船・鉄道・港湾 | 溶接、艤装、荷役 | 必須 | 屋外高所・重機作業が中心 |
ポイント
職長を「兼務」する場合(例:職長がクレーン操作も行う)は、特別教育や技能講習も併修が必要になります。
選任基準と現場規模の目安
現場規模・条件 | 職長選任の目安 | 安全衛生責任者選任の目安 |
---|---|---|
班員 5 名未満 | 現場代理人が兼任するケースあり | 不要(職長が兼務) |
班員 5~20 名 | 職長を1名以上 | 小規模現場なら兼任可 |
班員 20 名超 | 作業区ごとに職長を配置 | 安全衛生責任者を別途選任 |
元請と下請が混在 | 下請ごとに職長を配置 | 元請が全体を統括(安全衛生責任者) |
日替わり短期現場 | 毎日作業方法が変わるため固定職長を置かず「臨時職長」 | 班規模が大きい場合は専任推奨 |
免除・代替が認められるケース
条件 | 省略・代替範囲 | 留意点 |
---|---|---|
過去 5 年以内に同教育を修了し、業務内容が同一 | 再受講免除 | 受講記録を保存、法改正時は追加教育推奨 |
統括安全衛生責任者教育(学科 16 h)を修了 | 職長教育を兼ねる | 現場規模別に追加演習が必要な場合あり |
海外施工現場で同等カリキュラムを英語で受講 | 対応科目の社内置換可 | 和訳テキスト・記録簿が必要 |
職長教育後に他業種へ配置換え(同一企業) | 法令科目を除く重複科目を省略可 | 新リスクに関する追加教育が必須 |
作業日数が 1 か月以内の臨時班 | 現場 KY・TBM で代替 | 省略理由と内容を作業計画書に記載 |
注意
- 完全免除条文はなし。省略する場合は「同等以上の教育内容」を社内で担保し、教育記録簿に理由・対象者・範囲を明記します。
- 特別教育の受講が必要な作業を兼務する職長は、双方の教育を受講して初めて現場に立てると理解してください。
カリキュラムと修了基準
職長教育・安全衛生責任者教育は厚生労働省の指針で
学科 12 時間+実技 4 時間(計 16 時間/2 日) が標準です。
以下は建設業向けモデルカリキュラムです。
学科科目一覧と所要時間(計 12 時間)
科目 | 主な内容 | 時間 |
---|---|---|
職長・安全衛生責任者の役割 | 法的位置づけ/リーダーシップ | 1.0 h |
作業方法と工程管理 | 作業計画立案、出来形・品質管理 | 2.0 h |
労働災害防止対策 | 墜落・重機接触・熱中症等のリスク低減 | 2.0 h |
危険予知活動(KY)・指導方法 | TBM-KY、OJT、コミュニケーション | 2.0 h |
協力会社・多職種の調整 | 元請・下請の責任区分、情報共有 | 2.0 h |
リスクアセスメントと改善 | 発生頻度×重篤度評価、対策優先度 | 2.0 h |
関係法令 | 労安法 59・60 条、安衛則 40 条ほか | 1.0 h |
学科評価
- 選択式テスト 30 問(正答率 70% 以上で合格)
- 不合格者は当日追試または後日再受講
実技科目一覧と評価方法(計 4 時間)
実技テーマ | 実施内容 | 評価ポイント | 時間 |
---|---|---|---|
KYT ロールプレイ | 模擬作業映像を使い危険要因を抽出 | 危険源の網羅性・対策の妥当性 | 1.5 h |
作業手順書作成 | 与えられた工程表から手順書を作成 | 手順の安全性・工程の整合性 | 1.0 h |
指示・指揮訓練 | グループ演習で退避指示・合図を実践 | 声掛けの明瞭さ・判断の迅速性 | 1.0 h |
緊急時対応シナリオ | 墜落事故想定で初動・報告手順を確認 | 通報手順と二次災害防止 | 0.5 h |
実技評価
- 講師チェックリスト(10 項目)で「危険認知・指示伝達・手順整合」を採点
- 全項目クリアで合格(再演習は 1 回まで可)
修了基準
要件 | 基準 |
---|---|
出席 | 学科・実技とも 100% 出席 |
学科試験 | 正答率 70% 以上 |
実技評価 | 全チェック項目合格 |
修了証交付 | 基準達成者へ当日または翌営業日に交付 |
修了証の交付と有効範囲
項目 | 内容 |
---|---|
交付主体 | 講習機関(自社開催の場合は事業者) |
有効範囲 | 全国共通。班規模や工種を問わず有効 |
有効期限 | 法定期限なし(3〜5 年ごとの再教育推奨) |
再発行 | 紛失・破損時は講習機関へ申請(手数料あり) |
ポイント
- 16 時間は最低時間です。大規模現場では演習を拡充し 20 時間コースを採用する場合もあります。
- オンラインのみでの完結は不可。実技(KYT・指示訓練)は対面または出張形式で実施する必要があります。
受講スタイル別の特徴
受講スタイル | 概要 | 主なメリット | 注意点 |
---|---|---|---|
通学制講習 | 2 日間(学科+実技)を講習機関の教室・演習室で受講 | - 重機模型やVR 危険体験など設備が充実 - 定期開催が多く申し込み手続きが簡単 | - 移動時間と交通費がかかる - 繁忙期は定員オーバーで希望日が取りづらい |
出張講習(現場・社内開催) | 講師が事業所や現場へ出向き、会議室+現場仮設で実施 | - 受講者の移動コストゼロ - 自社工程表・作業手順を題材に演習でき実践的 - 10 名以上なら 1 名あたり費用が割安 | - 会場・演習スペース(ホワイトボード、机配置)の確保が必要 - 5 名以下だと割高になりやすい |
オンライン+実技ハイブリッド | 学科 12 h をライブ配信 or オンデマンドで受講し、実技 4 h は集合 | - 全国どこからでも受講可能、録画で復習しやすい - 学科を 1 日で一括受講し、実技を別日開催できる | - 実技日は必ず対面集合が必要 - 通信トラブルで受講が無効になる場合がある |
通学制講習
- 所要時間:2 日(学科 12 h + 実技 4 h)
- 費用相場:15,000〜30,000 円/人
- 向いているケース:少人数で早く取得したい工務店や個人事業主
出張講習(現場・社内開催)
- 所要時間:2 日(工程に応じ実技を現場延長する場合あり)
- 費用目安:基本料金 12〜18 万円+人数×8,000〜10,000 円
- 向いているケース:20 名以上の現場立ち上げ時や全国支店を一括教育したいゼネコン
オンライン+実技ハイブリッド
- 所要時間:学科(リモート 1 日または2夜間)+実技(対面 0.5 日)
- 費用相場:16,000〜28,000 円/人
- 向いているケース:多拠点企業や出張コストを抑えたい中堅施工会社
費用とスケジュールの目安
全国平均費用と内訳(モデルケース)
費用項目 | 通学制講習(1 名) | 出張講習(20 名モデル) | オンライン+実技(1 名) |
---|---|---|---|
受講料(学科+実技) | 14,000〜24,000 円 | 240,000〜300,000 円* | 15,000〜25,000 円 |
テキスト・教材費 | 1,500〜2,000 円 | 25,000〜30,000 円 | 1,500〜2,000 円 |
修了証交付手数料 | 300〜500 円 | 6,000〜8,000 円 | 300〜500 円 |
交通・出張関連費用 | 受講者負担 | 講師の旅費・宿泊込み | 実技集合日の交通費 |
会場・機材使用料 | 講習機関負担 | 会議室・プロジェクタ手配 | 講習機関負担 |
概算合計(1人あたり) | 15,800〜26,500 円 | 約 17,000 円(20 名換算) | 16,800〜27,500 円 |
* 出張講習は「基本料金+人数×単価」で算出。表の合計は 20 名受講時を 1 名あたりに換算した目安です。
最短取得日数とタイムライン
フェーズ | 通学制 | 出張講習 | オンライン+実技 |
---|---|---|---|
申込締切の目安 | 開催日の 7〜10 日前 | 実施日の 4 週間前 | 学科配信日の 5〜7 日前 |
受講 1 日目 | 学科 6 h | 学科 6 h | リモート学科 6 h |
受講 2 日目 | 学科 6 h → 実技 4 h | 学科 6 h → 実技 4 h | リモート学科 6 h → 対面実技 4 h(別日設定可) |
修了証交付 | 2 日目終了後または翌営業日 | 同左 | 実技終了後 当日 |
現場着任までのリードタイム | 2〜3 日 | 2〜3 日 | 2〜3 日 |
タイムライン例(通学制)
日付 | 時間帯 | 内容 |
---|---|---|
Day 1 | 09:00〜16:30 | 学科:職長の役割/工程管理ほか |
16:30〜18:00 | 宿題:KY シート作成 | |
Day 2 | 09:00〜15:00 | 学科+実技:指示訓練・緊急時対応 |
15:30 | 修了証交付 → 翌日からリーダー着任 |
タイムライン例(オンライン+実技)
日付 | 時間帯 | 内容 |
---|---|---|
Day 1 | 13:00〜19:00 | リモート学科(6 h) |
Day 3 | 09:00〜13:00 | 対面実技(4 h) |
13:30 | 修了証交付 → 翌日から現場配属 |
ポイント
- 法定 16 時間のうち 12 時間をオンラインで消化できるため、遠方拠点の一括学科受講に便利。
- 出張講習は 15〜20 名以上で 1 名あたり単価が通学制より安い ことが多いが、会場準備を事前に要確認。
- 修了証は全国共通。最短で 申込から 2 週間以内 に現場リーダーを配置できる。
職長教育と特別教育の関係
職長教育(+安全衛生責任者教育)は「チームを管理するリーダー教育」、特別教育は「危険・有害作業を行う実務者教育」という位置づけです。職長が実際に機械を操作したり高所作業を行う場合は、両方の修了証が必要になります。
視点 | 職長教育 | 特別教育 |
---|---|---|
法的根拠 | 労安法60条、労安則40条 | 労安法59条3項、労安則36条 |
主な目的 | 班全体の安全管理・指揮命令 | 危険作業そのものの安全操作 |
対象 | 作業リーダー・班長 | クレーン・丸のこ・フルハーネスなど列挙48業務の実務者 |
併修が必要になる典型例
現場例 | なぜ併修? | 必要教育 |
---|---|---|
足場組立班の職長が自ら足場に上り組立て作業 | リーダー+危険作業者 | 職長教育+足場組立て等特別教育 |
木造解体現場で職長が重機を運転して引倒し | 指揮者が重機操作 | 職長教育+小型移動式クレーン特別教育 |
塗装班の職長が有機溶剤スプレーを担当 | 作業統括+溶剤ばく露 | 職長教育+有機溶剤特別教育 |
高所電気設備工事で職長がフルハーネス装着作業を実施 | リーダー自身が高所作業 | 職長教育+フルハーネス特別教育 |
ポイント
職長が「指揮のみ」で危険作業を自ら行わない場合は、特別教育を受講しなくても法違反になりません。ただし非常時に操作する可能性がある場合は併修が安全です。
他資格との互換性
他資格・講習 | 職長教育の代替可否 | 特別教育の代替可否 | 備考 |
---|---|---|---|
統括安全衛生責任者教育(16 h) | △(一部科目重複) | × | リーダー教育の上位版だが、現場職長には別途演習が推奨 |
解体工事施工技士 | × | × | 技術資格であり安全教育とは別枠 |
建設機械施工技士 | × | × | 機械操作技能と安全教育は別 |
小型移動式クレーン技能講習 | × | ◎(該当作業なら代替) | 技能講習は特別教育より上位なので操作作業は可 |
フォークリフト運転技能講習 | × | ◎ | 同上 |
- 職長教育を代替できる国家資格は基本的に存在しない
(リーダーシップ・KY・指揮命令という固有領域のため)。 - 技能講習は特別教育の上位に位置づけられるため、該当作業では特別教育の代わりに運転可能。
- ただし、技能講習のみではリーダー教育にならない点に注意してください。
講習機関を選ぶ際のチェックポイント
講師・設備・実績
評価軸 | 確認ポイント | 着眼例 |
---|---|---|
講師の質 | 現場経験年数/保有資格 | 「建設現場での職長経験10年以上」「登録安全衛生エキスパート在籍」 |
カリキュラム | 学科12h+実技4hを満たすか/演習の実践度 | 作業指示ロールプレイやVR危険体験を含むか |
実技設備 | KYTボード、重機模型、倒壊シミュレータ | 「ホワイトボード型KYツール」「高さ2mの足場モデル」 |
修了証発行 | 即日交付可否/電子データ対応 | 「当日紙+PDF」「マイページで再DL可」 |
実績 | 年間受講者数/大手企業・公共案件採用 | 「年間1000名」「国交省案件で採用」 |
アフターサポート | 法改正通知、動画アーカイブ | 「リカレント講習30%OFF」「事故事例ニュース配信」 |
料金透明性 | 見積書内訳/追加費用 | テキスト・修了証・模型使用料込みか |
選び方のコツ
- 法定時間を満たすかを最初に確認。
- 講師の現場経験と演習ツールの充実度で候補を絞る。
- 修了証の即日交付や再発行手数料まで比較すると追加コストを防げる。
団体割引・助成金の活用方法
施策 | 内容 | 適用条件 | 手続きフロー |
---|---|---|---|
団体割引 | 8〜10名以上一括申込で5〜20%OFF | 同一日程・同会場 | ①人数連絡→②割引見積→③請求書 |
年間パッケージ契約 | 年間受講枠をまとめ買いして単価を下げる | 年間契約書締結 | ①枠購入→②随時予約 |
キャリアアップ助成金 | OFF-JT費用と賃金を助成 | 雇用保険適用事業所 | ①計画届提出→②受講→③支給申請 |
人材開発支援助成金 | 中小企業の技能訓練費を補助 | 年間計画提出 | ①年間計画→②実施→③実績報告 |
建退共拠出金控除 | 講習費を経費算入し節税 | 建退共加入 | 決算・年調で経費処理 |
活用ポイント
- 見積段階で割引率を確認し、対象人数をまとめる。
- 助成金は 計画届を受講前に提出 が大原則。受講後の申請は不支給。
- 賃金助成を申請する場合は 出席簿・賃金台帳 をセットで保管。
- 講習費・交通費は全額損金算入できるため、年度内に一括受講すると税負担を抑えやすい。
団体割引と助成金を組み合わせれば、実質コストを 30〜40% 削減できるケースもあります。価格だけでなくサポート内容まで含めて比較しましょう。
受講当日の流れ
受付から講義・実技まで(2 日間モデル)
時刻(目安) | Day 1(学科 6 h) | 詳細ポイント |
---|---|---|
08 : 30 | 受付開始 | 受講票・本人確認書類を提示し、テキストと名札を受け取る |
08 : 50 | オリエンテーション | 日程説明、非常口・喫煙所案内、スマホ取扱ルール |
09 : 00 | 学科① 職長の役割と法的根拠 | リーダーシップ/安全衛生責任者との違い |
10 : 30 | 学科② 工程管理と作業手順 | 品質と安全を両立する工程設計 |
12 : 00 | 昼休憩(60 分) | 会場または近隣飲食店で昼食 |
13 : 00 | 学科③ 危険予知活動(KY)と指導技法 | TBM-KY、OJT のコツ |
15 : 00 | 学科④ 労働災害防止対策 | 墜落・重機接触・熱中症 等 |
16 : 30 | 学科⑤ リスクアセスメント | 発生頻度×重篤度で優先度付け |
18 : 00 | 宿題(KY シート作成)/解散 | 翌日の実技演習で使用 |
時刻(目安) | Day 2(学科 6 h + 実技 4 h) | 詳細ポイント |
---|---|---|
08 : 30 | 集合・前日宿題の共有 | 班ごとに KY 発表 |
09 : 00 | 学科⑥ 多職種調整と関係法令 | 元請・下請の責任区分 |
10 : 30 | 学科試験(30 問) | 正答率 70 % 以上で合格 |
11 : 15 | 実技① KYT ロールプレイ | 危険源抽出と対策立案 |
12 : 15 | 昼休憩(45 分) | |
13 : 00 | 実技② 作業手順書作成 | 支保工・動線分離を盛込む |
14 : 00 | 実技③ 指示・指揮訓練 | 声掛け・退避合図の実演 |
15 : 00 | 実技④ 緊急時対応シナリオ | 墜落事故想定で通報・初動 |
15 : 30 | 演習評価・講評 | 講師チェックシート採点 |
16 : 00 | 修了証交付・解散 | 当日交付。再発行手続き案内 |
時間配分は講習機関により前後することがあります。
持ち物・服装・注意事項
カテゴリ | 必須 | 任意・推奨 | 備考 |
---|---|---|---|
書類 | 受講票/本人確認書類/筆記用具 | 電卓 | 本人確認不可だと受講できません |
服装 | 長袖作業服または長袖長ズボン/安全靴 | 綿インナー | 半袖・短パン・サンダル不可 |
保護具 | ヘルメット/フルハーネス(貸与可) | 反射ベスト | 自社支給品を持参すると実践的 |
その他 | 昼食・飲料水・タオル | 雨具/モバイルバッテリー | 会場に自販機がない場合あり |
注意事項
- 遅刻・早退不可:法定 16 時間を満たさないと修了証は発行されません。
- 体調不良や急用で受講できない場合は、必ず事前に講習機関へ連絡し振替日程を相談してください。
- 学科試験不合格者は追試または再受講になることがあります。
- 実技では 危険予知シート・作業手順書の提出 が求められます。事前に現場資料を確認しておくとスムーズです。
よくある質問(FAQ)
受講期限・更新はある?
修了証そのものに法定の有効期限はありません。ただし、労働安全衛生規則第40条の解釈通知で「作業内容や職長の業務が変わった場合は再教育を行うこと」が示されています。実務上は 3〜5年ごと、または工法・法令改正のタイミングでリカレント講習を受け、最新の安全管理手法をアップデートする企業が多くなっています。
修了証を紛失した場合は?
- 受講した講習機関へ再発行を申請します。
- 本人確認書類と受講年月日が分かる書類(領収書や受講票の写し)が必要です。
- 手数料は 1,000〜2,000 円が相場で、発行まで 1〜2 週間程度かかる場合があります。
- 紛失リスクに備え、受講後すぐにコピーやスマホ撮影でデータ保管しておくと安心です。
再教育のタイミング
再教育実施の契機 | 具体例 | 推奨内容 |
---|---|---|
法改正・新指針 | 労安則改正、墜落制止用器具の新基準など | 変更点を中心に 4〜6 時間の追加講義 |
工法・設備変更 | 新型重機導入、プレハブ工法採用 | リスクアセスメントの見直し演習 |
事故・ヒヤリハット発生 | 墜落・重機接触・倒壊寸前事例 | 事例分析と再発防止策のグループ討議 |
職長の配置転換 | 他業種・他現場へ異動 | 新現場特有の危険源教育+KY実技 |
長期ブランク | 現場離脱が 3 年以上 | フルカリキュラムを再受講する企業が多数 |
ポイント
- 再教育の実施記録(日時・内容・対象者)を教育記録簿として保管し、労基署の立入時に提示できるようにします。
- 事故や重大ヒヤリ後は、班員全員を巻き込んだ 緊急KY活動 と 追加指示訓練 を行うと効果的です。
まとめ ─ 安全とリーダーシップを両立するために
職長教育・安全衛生責任者教育は、危険有害作業を行う作業班の“安全×生産性”を同時に支える中核教育です。学科12時間でリーダーに必要な法令知識やリスクアセスメント手法を学び、実技4時間のロールプレイで指示・指揮スキルを体得することで、現場を俯瞰しつつ迅速にリスクを排除できる人材へと成長できます。さらに、自身がクレーン操作や高所作業を行う場合は特別教育を併修することで、リーダーシップと実務スキルの両輪がそろい、安全と工程効率を高水準で維持できます。法定更新は不要ながら、3〜5年ごとの再教育や法改正時のアップデートを行えば、現場の安全文化を継続的に強化できるでしょう。本記事のカリキュラム、費用、助成金情報を活用し、計画的に資格取得とリカレント教育を実践してください。
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